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子育て世代に大切なことを教えてくれる地域の人たち【出会いと別れ】

その別れは、一年前、小学校の卒業式の前日に訪れました。

普段は電話をすることがない人から、その朝に電話がかかってきて知りました。

地域でお世話になっていた人の、お別れの日。

家族・親族以外で、今までにないほど涙があふれて止まらない経験でした。

出会いのは、校区の会議。
その人は、地域の交通安全に携わる役割を担っていらっしゃいました。

「やさしそうなおじいちゃん」
それが最初の印象です。

小学校のPTAでは、通学路の見守りでお世話になっていました。
うちの小学校では、スクールガードと呼んでいます。僕が会長になる数年前にスクールガードが組織化され、立ち上げ時にはその人にもお世話になったそうです。

地域の中に足を踏み入れると、僕たちの両親よりもさらに上の世代の方々との接点が生まれます。担い手不足の問題もあって、70・80代の方も多いことに最初は驚かされました。
その人も、その一人です。

おじいちゃん、おばあちゃん世代の知り合いが増えると、学びが多いし話していても楽しいのですが、世の常として、自分と同世代の人たちよりも別れの日が早く訪れます。

そんな場面が増えることは、喜ばしいことではないけれど、考えさせられることも多くて、人生の深みを増してくれるような気がしてなりません。

一年前の別れの日には、子どもたちを見守り続けてくれた感謝と、寂しさと、もうひとつ何とも言えない感情が入り混じって、涙があふれてきました。

何とも言えない感情は、悔しさやもどかしさにも似たもの。

その人には、自分のお孫さんはいらっしゃいませんでした。それでも、地域に住む子どもたちのためにと、見守りを続けてくださったのです。
自分の子どもや、孫のような感覚で、子どもたちに接してくださったんだと思います。見返りを求めることなく。

悔しさやもどかしさを感じたのは、そのことを知らずに過ごしている大人がたくさんいるから。
そして、卒業式や新年度にかかる時期には、PTAや地域の役割に対する、ネガティブな情報がたくさん出てくるから。

新聞、テレビ、ネットのニュースで、大変さに焦点を当てた内容がピックアップされます。
たしかに、大変さもありますが、それがすべてではありません。

何かの行事を「すること」だけではなく、学校や家庭を支えてくれている地域とをつなぐ役割があって、お互い様の関係をつくっているのです。
それによって、何事もなく平和に過ぎていく日常が支えられています。

僕は、そのことを知らずに、ほぼ無関心で過ごしてきた日々がありました。なので、以前の僕のように、地域の人たちのことを知らずに過ごしている人がいると思います。
一部の情報によってネガティブな印象が膨らんでしまったら、子どもたちのために動いてくれている方々に申し訳ない気がします。


一年前にお別れの日が訪れたその人は、そんな地域の人たちの代表として、僕たちに訴えかけてくれたような気がしています。

年度が変わるこの時期は、新たな役割を持つ人も多くなります。
はじめて体験する人は、様々な出会いに戸惑うことも多いと思います。僕の一年目は、よく分からないまま、あっという間に過ぎました。

「やること」に追われがちで余裕が持てないかもしれませんが、その土台になっている地域の方々やこれまでに積み上げられてきたものあるんだと、心の片隅で覚えておいてください。

子育てをしている僕たち世代が忘れてはいけないことだし、心強い存在になるあたたかいものがそこにあります。


【出会いと別れ】がテーマとなった、今週の『書くンジャーズ』
忘れられない別れの思い出と、そこで感じたものを書いたのは、土曜日担当の吉村伊織(よしむらいおり)でした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ほかのメンバーの『出会いと別れ』は、どんな思い出が綴られているのでしょうか?

それでは、またお会いしましょう。

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