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100歩でどこまで?【それぞれの100】

家から100歩でどこまでいけるか、やってみよう。
前日の思いつきで、三男と僕の「朝の実験」が決まった。
忘れないうちにと、スマホに歩数計アプリを入れた。
当日の天候は曇り。
夜のうちに雨が降ったようで、地面は潤っている。
風が少しひんやりする。
朝、家を出るのは、妻が一番早い。
7時15分までには出る。
少しでも早く帰るための勤務時間にしてもらっている。
二番めが次男。
始業前に友だちと遊ぶのが楽しみだそうだ。
楽しみ過ぎて、妻よりも早く出ようとするのが困りもの。
早すぎると先生に迷惑をかけるから、少し待たせておく。
その次は長男。
学ランに身を包み、弁当を持って、いってきますと家を出る。
なぜか自転車通学を拒み、徒歩で学校に向かう。
最後が三男。
冬の寒い日以外、年中ほぼ半ズボンなのは、保育園の頃から。
Tシャツ姿も寒くないかと気になるけど、大丈夫らしい。
着替えを済ませて、忘れ物がないか確認する。
ハンカチをポケットに入れ、マスクをつけ、水筒を肩にかける。
あ、帽子も。
三男の帽子は、この4月から黄色じゃなくなった。
ランドセルも、黄色いカバーを外した。
これがいいと選んだ、青いランドセル。
次男のも、青。
でも、次男のと違って、ベルトの縁に赤いラインがある。
これがお気に入り。
すべて揃ったのを確認したら、出発だ。
三男がくつを履く隣で、スマホの歩数計アプリを起動させた。
玄関を出る。
5歩先に階段がある。
3階から2階まで、15段。
さらに共用廊下を歩いて、階段を1階へ下りる。
この調子だと、マンションの敷地を出る前に100歩になりそうだ。
1階に着き、重い鉄製のドアを開けるとエントランスが広がる。
小学生になり、三男も開けられるようになった。
エントランスを抜け、自動ドアを出る。
その次は、大きな扉を押し開ける。
駐車スペースを突っ切って、道路のところまでたどり着く。
ここまでで、151歩。
やっぱり、ここをスタート地点にしよう。
仕切り直し。
せっかくだから、声に出して、数えながら歩く。
1、2、3、4。
僕のふつうは、三男の大股。
水筒が揺れ、ランドセルの音が大きく響く。
5、6、7、8。
一歩ずつ、周りの景色が動く。
すぐ隣の家は、今日も静かだ。
門は閉まったまま。
もうだれも住んでいないようにも見える。
そこの人に会ったことがないから。
でも、庭の木が荒れ放題というわけではない。
手入れされているのだろうか。
ということは、人が住んでいるのかもしれない。
いつか、会える日が来るまでの、お楽しみだ。
その隣は、数年前に区画整理されて、家がたくさん建った。
次男の同級生の家もある。
今日はもう先に行ってるのかな。
会えば、静かにあいさつしてくれる。
まじめさが伝わる少年だ。
その区画の道向かいには、コインパーキングがある。
去年、建っていた家が取り壊されて、駐車場になった。
近所に家が増えた分、ちょっとした用事で使われているようだ。
いつも何台かの車がある。
今日は、白い軽自動車が一台。
40分100円。
夜は60分100円。
駐車場の隣には、町内の掲示板が立っている。
公民館だより、人権の広報誌、交通安全のチラシ、献血の案内。
最近の公民館だよりは、QRコードつき。
左下のQRコードは、去年から始まった公民館ブログのもの。
2丁目の会長さんが育てた、盆栽の写真がよく載っている。
季節に合わせて、公民館に持って来てくれるそうだ。
盆栽が趣味だった父の影響か、僕も盆栽を見るのは好きだ。
今、トップに表示されている盆栽は、鮮やかな緑がまぶしい。
掲示板の道向かいにも、新しい家が3軒建った。
もとは、大きな庭のある立派な家が建っていた。
取り壊されたのは、2年前。
朝によく会って、あいさつを交わしていた老夫婦が住んでいた。
転居される日に、今日が最後なんですと教えてくれた。
今までありがとうねという言葉は、こちらこそだった。
庭の木がなくなり、家がなくなっていくのは、切なかった。
元気にされているだろうか。
新しい真っ白な家には、新しい家族が引っ越してきている。
地域の新しいつながりを作れたらいいなと思う。
前に目を向けると、広い道路が見えてきた。
片側2車線ずつの、校区内で一番大きい道路だ。
今日もたくさんの車が走っている。
スピードを上げて赤信号を突っ走る車も来るから、注意が必要。
交通安全の手本を見せるのは、大人の役目。
子どもたちと通学路を歩くと、そう痛感させられる。
恥ずかしい姿は見せられない。
車もそうだし、自転車も、歩行者も。
危険な運転も、信号無視も、すごく目立つ。
95、96、97。
「朝の実験」のゴールはもうすぐだ。
信号が変わるのを待つのは、なるべく道路から離れた場所で。
なんと、その地点が、ちょうど100歩。

毎週テーマを決めて共同運営を続ける日刊マガジン『書くンジャーズ』。
今週のテーマは、【 それぞれの100 】でした。

「家から100歩でどこまでいける?」の実験をしてみたら、信号待ちをしている地点でちょうど100歩になりました。
なので昨日、「#100文字の世界」にその記事をアップしてみました。

今日も、一歩ずつ
これが明日につながる

最後のこの部分は、実は、今日への布石。
ということで、自分で回収して、今日の投稿は100行チャレンジ!

100行目が100歩目になることだけを決めて書いたら、こんな感じになったのです。

パソコンで書いてるから、スマホで見たら途中で改行されて100行じゃないかもしれません。その時は、「。」の数をかぞえてね♪・・と思っているのは、土曜日担当の吉村伊織(よしむらいおり)です。

今週も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

メンバーの【それぞれの100】も、忘れずにチェックしてくださいね。

それではまた、お会いしましょう。

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