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こぼれ落ちない記憶をつなぐ【好きな歌】

大切な人と、
どんな歌を聴きながら、
どんな思い出をつくりたいか?

地域の方々と過ごす時間に、そんなことを考えていました。

数年前から、住んでいる校区の社会福祉協議会で活動しています。
『ささえあい、ふれあう福祉のまちづくり』を目指して、高齢者や障がいのある方、ボランティアが集う交流会や、三世代が一緒になって活動するイベント、見守りのためのネットワークづくりなどを企画・運営するものです。

いつも楽しみなのが、カフェ事業。
高齢者の方々が集い、昼食を食べたりお茶を飲んだりしながら、おしゃべりを楽しんだり、介護や福祉情報を学ぶプログラムになっています。
子どもボランティアも活躍してくれて、毎回笑顔がいっぱいの空間です。

ピアノの伴奏に合わせて、なつかしの歌をみんなで歌う時間には、とてもおだやかな雰囲気になります。
きっと、歌いながら、一人ひとりが”思い出のあの頃”にタイムスリップされているんでしょうね。

以前、認知症サポートの勉強で、「記憶」についての興味深い話を学びました。
認知症は、記憶がこぼれ落ちてしまうような状態ですが、記憶の種類によって失われ方が異なるそうです。

記憶には、「手続き記憶」と「感情記憶」があります。
手続き記憶は、物事をうまく進めるための情報。例えば、家電の使い方や料理の手順だったり、家の中のどこに何があるとか、いつ何を買ったかとか。
忘れてしまうと、日常生活に支障がうまれます。

感情記憶は、その名の通り、嬉しかったり、楽しかったり、悲しかったりした記憶。「思い出」と言ったら分かりやすいですかね。

この2種類で、先にこぼれ落ちるのが、「手続き記憶」。
昨日までやれていたことが突然できなくなるとか、急に忘れっぽくなるような症状として現れてきます。
反対に、「感情記憶」は、心の奥にずっと残っているそうです。

勉強会で見たビデオでは、認知症が進んで日常生活がうまくまわらなくなり、怒りっぽく攻撃的になった女性が、家族の思い出の写真を見ながらおだやかさを取り戻す様子が紹介されていました。
人生のいろんなことを忘れてしまったのではなく、その時に感じた感情がちゃんと残っていることが伝わる内容でした。

感情記憶は、見たもの、聞いたこと、味わったものなど、五感で感じたもので心に刻まれ、また呼び起こすことができるようです。

ビデオの中では、写真が呼び起こすきっかけになっていましたが、思い出の品物や、食べ物、香り、そして、歌もその役割を担ってくれます。

校区の高齢者の方々と歌いながら味わったおだやかさは、皆さんの楽しい思い出だったんでしょうね。

ただ、この時の歌は、感情記憶を呼び起こすきっかけにはなるけど、そもそもの思い出がなければ心は動かないはずです。

歌を一緒に歌った人、歌をBGMにしながら何かを語り合った人、その人たちとの体験があってこそ。

今まで体験してきた思い出はもちろん大切にしつつ、これからも人との関わりの中で感じることをたくさん味わって、心に刻んでいきたいと思います。

毎週、テーマを決めて、メンバーが心を込めた記事を書いている『書くンジャーズ』
今週のテーマは『好きな歌』ということで、土曜日担当の吉村伊織(よしむらいおり)がお届けしました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ほかのメンバーの『好きな歌』も、お見逃しなく!

それでは、また。

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