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トレーニング勉強会Q&A

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勉強会でのQ&Aです。 プロの意見から一般飼い主さんの試行錯誤まで、いろんな角度からの意見を掲載しています。 質問は一つでも答えは一つではありません。正解を見つけるより、その思… もっと読む
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嫌悪刺激を使う人への説明方法

正の強化を使ったトレーナーは動物のトレーニングのみに正の強化を使うのではありません。 嫌悪刺激を使う必要がない事をどうやって効果的に伝えることができますか?という質問へのケン・ラミレズの答えが素晴らしいのでここでご紹介します。 否定しない嫌悪刺激は私たちの生活の一部なのです。誰しもが、嫌悪刺激を受けながら育ってきました。誰しもが、両親から、先生から、だめ!いけない!やめなさい!と言われた続けた経験を持っています。真実を申しますと、罰は機能するのです。罰が行動を減少させるの

Q&A 拒否意思表示設定は必要か?

Karen Pryor Academy ライブエピソード#23で、動物がトレーニングに参加したくないときに意思表示をすることができるユニークなトレーニングプロトコルが紹介されました。 ケン・ラミレスはかつてイルカに拒否の概念を教えています。トレーニング中のイルカが、指示された行動を取りたくない時、プールサイドに設置された赤いブイに触れることで、拒否を示すことが出来ると教えました。 動物に選択肢を与え、その選択肢に拒否が含まれることは、自由意思を尊重する意味でとても重要です

Q&A 散歩中の匂い嗅ぎ

Q. 散歩中の匂い嗅ぎはおおむねネガティブな意味合いしかないため、飼い主が決めた場所以外ではさせないほうがよい、と教わったのですがそうなのでしょうか。 ネガティブと考える理由は?犬にとって匂い嗅ぎは情報収集です。何故匂い嗅ぎをネガティブな意味合いしかないと決めてしまったのか、そのいきさつは分かりませんが、犬が匂い嗅ぎをすることで起こる人間にとって不都合な部分に焦点を当てたアドバイスのように見受けます。例えば  ◆匂い嗅ぎに没頭してお散歩が出来ない  ◆汚れたところに鼻を突っ

Q&A 科学的であることの重要性

Q3. 体罰や嫌悪刺激を使わないが科学的ではないトレーニング方法について、皆さんはどう思うか聞いてみたいです。 私がインスタでたまたま見つけたとある人物(ご自身のことをドッグビヘイビアエキスパートと言っています)は食べ物を一切使わず、体罰も嫌悪刺激も使わず、エネルギーで会話し導くそうです。これだけ聞くとなんか宗教っぽいですが、投稿を見る限りでは結果を出しているようなんですよね。SNSなので嘘はいくらでもつけます。ただ、あくまで私が感じることですが、インチキのようにも思えません

Q&A エンリッチメントについて

Q1. 日本では、トレーナーを頼るのは、実際に困っている人が圧倒的に多いと思います。(犬が困っていても、自分が困っていなければ、頼らない) 実際に、飼育環境などを見られた上で、アドバイスにより犬も飼い主もこう変わったというような犬のエンリッチメント事例があれば教えてください。 A 一緒に暮らすのに困った場合、ソリューションとしてエンリッチメントの提案をする場合、飼い主が簡単にできる事を念頭に置いて提案します。例えば、  ▶散歩時間の追加  ▶コング等を使ったエンリッチメント

Q&A トレーニングを行う理由

勉強会の参加者からの質問です Q1. アニマルウェルフェア5つの自由に基づいた生活、環境作り、ストレスマネジメント、採食エンリッチメント、ハズバンダリートレーニングらへんを続けたら、犬はそれなりに落ち着いた一緒にいて楽な家族になってくれると思いこんでいるのですが、どうでしょうか? いわゆる問題行動は「アニマルウェルフェア5つの自由」がベースになっていれば起こらないのか? 1.飢えと渇きからの自由 2.不快からの自由 3.痛み・傷害・病気からの自由 4.恐怖や抑圧からの自由

Q&Aトレーニングセッションの長さ

Q. 練習する時間を短くと仰っていましたが、その犬によるとは思いますがだいたい何分くらいがいいんでしょうか? 1回のセッションはほんの数分例えば、犬にハンドターゲットを教える時は、一回のセッションは1〜2分。もしもっと長く練習したいのなら、その数分のセッションを休憩を挟んで何回か繰り返すようにします。 短時間のセッションを繰り返す利点短時間にすることで、動物の集中力を欠くことなく練習することができます。数回の連続したセッションを休憩を挟んで行う場合も、セッション一回終わる

Q&A 訓練中の犬だと知ってもらうには

Q. 興奮しやすい犬の飼い主で、現在落ち着く練習をしているところです。しかし動物病院に行くと歓迎の気持ちから甲高い声で迎えられ、どうしても興奮してしまいます。この場合、トレーニング中である事を伝えて犬を興奮させないようにお願いするべきでしょうか。動物病院勤務の人にならなんとか伝えられても、待合の飼い主さんや散歩ですれ違う見知らぬ人には伝えにくく、どしても犬が興奮してしまいます。 協力をお願いする動物病院勤務の方には、そのまま訓練中である事を伝えていいでしょう。散歩で出会う知

その方法は正しいですか?

動物のトレーニングに携わる人は、いろんな角度から検証された適切なトレーニング方法をクライアント(飼い主)に伝える必要があります。ルールや方法のみを伝えるのではなく、その仕組みを科学的に説明し理解を促すのが望ましいと考えています。 次の記述は、子犬にお座りを教える方法として提示されたものです。 お座りができたら、五回に一回くらいランダムでおやつをあげます ランダムにすると、いつもらえるかわからないから真剣になる 毎回もらえると、だんだん飽きる 発信者は繁殖を本業とする人で

誤解されるオペラント条件付け

オペラント条件づけ(operant conditioning)とは、報酬や嫌悪刺激(罰)に適応して、自発的に対象となる行動を行うようにまたは止めるように、学習するようになるという、行動主義心理学の基本的な理論です。 刺激が加えられるか、刺激を減らすか。それによって行動が増えるか減るかに分けられます。 刺激が減る 行動が減る  負の弱化 刺激が減る 行動が増える 負の強化 刺激が増る 行動が減る  正の弱化 刺激が増る 行動が増える 正の強化 この時の「正」「負」は増減を