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668. NEJM Journal Watch 感染症関連4本

1. Iodine Is Inferior to Mupirocin for Nasal Decolonization in the Intensive Care Unit

JAMA 2023 Oct 10; 330:1337.
137の病院で、ICU入院時にムピロシンを1日2回投与する群とポビドンヨード鼻腔スワブを5日間使用する群に無作為割り付け。すべての患者が毎日CHG入浴を受けた。ヨード群では多くの培養で黄色ブドウ球菌とMRSAが陽性であった。しかし、黄色ブドウ球菌血流感染は両群で同程度の頻度で発生した。ベースラインの対照群(鼻腔内除染を行わなかった2009~2011年)と比較すると、いずれの介入でも臨床培養陽性が少なく、血流感染も有意に少なかった。

2. Curbing Nursing Home Infections with Antiseptics

N Engl J Med 2023 Oct 10; [e-pub]. (https://doi.org/10.1056/NEJMoa2215254. opens in new tab)
2017年から2018年にかけての18ヵ月間、カリフォルニア州の14の老人ホームの看護職員が、患者(計約14,000人)を石鹸ではなくクロルヘキシジン溶液で入浴させ、定期的に10%ポビドンヨード溶液を鼻腔に塗布するようにした。14施設中3施設は管理上の不手際からクロルヘキシジンのルーチンを全く開始できず、ポピドンヨードのプロトコル遵守率は60%程度であった。それにもかかわらず、この期間中に急性期病院への感染に関連した転院の頻度は入所者の間で有意に減少していた。サブ解析では、一般的なMDROの保菌率も防腐剤の使用により有意に減少していた。

3. Omadacycline for Nontuberculous Mycobacterial Infections

Antimicrob Agents Chemother 2023 Sep 28; [e-pub]. (https://doi.org/10.1128/aac.00824-23. opens in new tab)
2020年1月から2023年3月までの米国16施設にわたるレトロスペクティブ観察研究。NTM治療のためにオマダサイクリンを3ヵ月以上(投与期間中央値6ヵ月)投与された患者75人を対象に、臨床効果、安全性、忍容性を評価した。感染症は肺炎(44%)、軟部組織感染症(25%)、骨髄炎(13%)が最も多く、菌の種類はM. abscessus(80%)、M. chelonae(12%)、M. avium(9%)、M. fortuitum(5%)であった。OMCとともに投与される可能性のある抗生物質は、アジスロマイシン、クロファジミン、オキサゾリジノン(リネゾリドまたはテジゾリド)、イミペネム、アミカシン(静注または吸入)があった。3ヵ月後、6ヵ月後、12ヵ月後の臨床的治療成功率は、それぞれ80%、79%、76%であった。2回以上の培養陰性は3ヵ月時点で83%であった。感染に関連した死亡は1例のみであった。有害事象は24例に発現し、うち7例でOMCを中止した。胃腸障害はOMC経口投与を受けた患者で多かった。

4. Another Reason for Maternal SARS-CoV-2 Vaccination During Pregnancy

MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2023 Sep 29; 72:1057.
妊婦へのSARS-CoV-2ワクチン接種の新生児への効果を検討。オミクロン優勢時の20州のデータを検討し、症例はCOVID-19で入院した生後6ヵ月未満の乳児。コントロールは、入院したがCOVID-19検査は陰性だった乳児とした。ワクチン接種女性は、妊娠中にCOVID-19ワクチンの2回目または3回目の接種を受けた女性と定義した(ワクチン未接種の女性との比較)。全部で377人のCOVID-19に感染した新生児と339人の対照がマッチングされた。入院リスクを減少させるワクチンの有効性は、6ヵ月未満の乳児では35%、3ヵ月未満の乳児では54%であった。50人の重症新生児の84%が、ワクチン未接種の女性から生まれていた。

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