見出し画像

ウイスキー蒸溜所、ジンをつくる え?

前回に引き続き、またーり、ゆたーり、ウイスキーを語っていきたいと思います。もちろん、そこにファイナンスな観点も忘れずに!

で、タイトルでいきなり「ジン」の話が出てきました!
きむら、お前自由すぎるだろ…と思われたかもしれません。
が、実は!前回の記事の内容とすこーし関連するので、よかったら今回もご笑覧くださいませ。

キャッシュアウトが辛いよ

前回、ウイスキー事業は超先行投資型で資金繰りが厳しい!という話をしました。覚えていますか?覚えてなかったら…まぁいいや。カンタンに言うと、蒸留した後熟成させないといけないので、その間のキャッシュインがなく、また設備投資も必要なのでヤバい!という話でした。

さて、そんなウイスキー事業ですが、みんなどうしているのか?
実はある程度、「セオリー」があるんですね。それがタイトルにもある「ジンづくり」です。

日本のクラフトジンブームの裏側

2017~19年くらい、日本で「クラフトジン」が流行ったのは覚えてらっしゃいますか?
え?そんなの知らない?う~ん、とにかく流行りました!(雑!)

サントリー社が「六」というジンを出したり、京都で「季の美」というジャケ買いしそうなカッコいいボトルのジンをリリースしたりしました。広島では日本で原生のジュニパーベリーを使ったジンとして「桜尾」をリリース。
皆さん、ジンといえば「ジントニック」や「ジンフィズ」など、カクテルを思い浮かべるかもしれません。ジンはカクテルのベースに使われることも多いですね。
ジンの定義は他のサイトなりに委ねるとして、この「ジンブーム」の裏側に、「ウイスキー」があったとすれば…皆さんどう思いますか?
もちろん、リリースされたジンはどれも香味豊か・個性的で美味しいものです(個人的には桜尾が好きで、桜尾とベルモットをあわせて「ヒロシマティーニ」とかつくります苦笑)。

ジャパニーズウイスキーのブランド爆上がり!

前回お話したとおり、山崎や白州、響といったウイスキーが原酒不足が原因で品薄になりました。原酒不足を招いたのは「空前のジャパニーズウイスキーブーム」が背景にあります。日本でのウイスキーブームの火付け役は、NHKドラマ「マッサン」でしたが、実はこれより前からグローバルで日本のウイスキーは注目されていました。

2000年に入り、ウイスキーの国際的なコンテストで、日本のウイスキーが入賞するようになりました。そこからというもの、サントリーの山崎、響、白州、さらにニッカの余市など、国際大会で常連となりました。
それに伴い海外では、ジャパニーズウイスキーは高値で取引されるようになりました。2017年、私がシンガポール駐在中に、タイ人の友人とお酒を飲んでるときに「彼氏がウイスキー関連の仕事してて山崎25年もらったんだけど、のむべき?売るべき?」と聞かれて、調べたらすでに当時で50万円でした。ちなみに山崎25年、2021年現在、100万円まで値上がりしています。

さらに、新興ウイスキーメーカーであるベンチャーウイスキーのブランド「イチローズモルト」は創業当時から注目を集めていました。

このジャパニーズ・ウイスキーの先人たちの活躍によって、国際的に「Japanese Whisky」がブランドとなったわけです。

乗りましょう!このビッグウェーブに!

ということで、昔からの酒造メーカーもこぞってウイスキー蒸留に乗り出します。

しかーし!そこに立ちはだかるのは「資金繰り」。
蒸留し、熟成期間中のキャッシュインどうするか?
まじで、ぴえんです。

そう、そこでみなさんが手を付けたのが「ジン」だったわけです。
少々荒っぽい言い方をしますと、ウイスキー蒸留ができる設備があれば、ジンをつくることができます。

画像1

そしてジンは熟成させる必要がありません。
さらにさらに、ジンは様々なハーブを原料としますので、個性を出しやすいのです。日本由来の柚子や山椒を使ったり。
個性も出しやすく、つくってすぐ売れる!

ジンはいい文明!

このように、ウイスキーの熟成期間中にクラフトジンを作って販売し、営業キャッシュフローを生む。
そういう工夫を新進気鋭の蒸溜所を行っているわけです。
ありがとう、ジン。貴殿のおかげでまたよいウイスキーと出会えそうだ!

他にもある!熟成中の資金繰り策!

ジンを作って営業キャッシュフローを回す、というのは別に日本が初!というわけではありません。本場スコットランドでもジンをリリースしている蒸溜所も結構あります。

そしてこの資金繰り策は「ジンづくり」だけではありません。
パッと思いつくのでジンもいれて5つくらい、かな!

1. 既存蒸溜所から原酒のオリジナルブレンド等
2. 他の蒸留酒をつくる
3. ビールをつくる
4. その他のものをつくる
5. 「ニューポット」として段階的に限定品としてリリースする

1は結構多いですね。少し事情は異なりますが、前述のイチローズモルトのベンチャーウイスキーも保有していた原酒をベースに出しております。
2の他の蒸留酒を作る、というのはまさしく前述のジン作りですね。他にウォッカを作ったりもしますね。基本的には熟成させる必要がなく、「作ってすぐ売れる」というのが基本となります。
3はウイスキーの原材料が大麦(モルト)なので、ビールを作れたりもします。追加の設備が必要かもしれません。
4で有名なのはまさしくニッカ。もともと創業当時は「日本果汁」(略してニッカとなった)ということで「りんごジュース」をつくって販売してました。
5は最近日本のクラフトウイスキー蒸溜所がよくやりますね。そこまで熟成してない状態でも限定品としてリリースします。

このニューポットでさえ、最近はプレミアムが付き始めました。
昨年末にリリースした静岡のガイアフロー蒸溜所は熟成3年という若いウイスキー:プロローグKをリリースしました。リリース時の通常の小売価格は9,000円弱(これでも高いけど)でしたが、最近フリマアプリで見ると6万円まで高騰してました。う~ん、転売は悪い文明。

あ~今日はなんだかジンが飲みたくなってきました。

【今日のウイスキーの「へ~」】

ジンをベースにヴェルモットとつくるカクテルがマティーニですが、マティーニを「カクテルの王様」といいます。一方、ジンではなく、ウイスキーをベースにヴェルモットとつくるカクテルがマンハッタン。こちらはカクテルの女王と言われています。

*本稿は100%趣味で書かれています。できる限り正確な情報でと思っておりますが、仕事の合間の息抜きに書いていますので、新たに色々調査したり、参考文献をひっくり返したりして書いてるわけではなく、ウイスキー飲んで、筆の勢いのまま書いております。もし間違いなどありましたら優しくご指摘ください笑



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?