#3:CFOは「最強のマーケターだ!」


ご無沙汰しております。プロフィナンス代表の木村です。

原稿も書いていたのが2019年末ですが、うっかり・・・公開ボタンを押さず、下書きのまま放置・・・
久しぶりに自分の記事を見直すタイミングで、「あれ、3つ目がないぞ」でようやく気づくというオチでした。今更ではありますが、エモいファイナンスの当初予定の3部作を一旦締めくくろうと思います。

さて、前回、ファイナンスとは仲間づくりであるというお話をしました。
では、そのファイナンス(仲間づくり)の最高責任者であるCFOとは、どのような人物であるべきなのでしょうか?

■いわゆるCFO

一般的に、CFOを務められるほどにファイナンスが得意な方というのは、勉強も仕事もできて真面目な方が多いと思います。ファイナンスの実務で使う言語は会計ですから、会計士の方がCFOになるケースも多いですよね。
ファイナンスはボードゲームに似ていて、「法・規制という一定のルール・条件の下、いかにうまくプレーするか」が重要であり、ルール・理論とそこから得られた実践知に対する理解の深さが勝敗を決するゲームです。
ルールを理解するという点では、会計士の方が多いというのも納得ですね。もちろん理解しているというのは、「知ってる」だけではなく、「駆使できる」ことが重要となります。

■CFOはムードメーカーであれ!

前回の内容から、ファイナンスが仲間づくりであると考えたときに、CFOの人物像としては、勉強や仕事ができて優秀なだけでは不十分であると私は考えています。
CFOは、営業などのフロント部門の従業員よりは、管理・バックオフィス部門のメンバーと仕事を共にすることが多いと思います。
契約が取れたときや商品が売れたときなど、喜びや達成感を感じる機会が多いフロント部門と違って、バックオフィス管理部門の仕事は「当たり前のことを当たり前にやる」側面が色濃く、達成感を感じづらい仕事になりがちです。
だからこそ、その上司・トップとなるCFOは、一つひとつ細かく仕事をチェックして、しかめっ面で「これは違う」などと揚げ足を取るのではなく、彼らが明るく楽しく、モチベーション高く働けるように心を砕き、彼らから「もっとこの人と一緒に働きたい!」と思ってもらえる存在であるべきだと僕は思います。また問題が起きるときは、できる限り早く察知できるよう、問題を迅速に相談・報告してくれることを評価し、雰囲気を作る必要があります。問題を報告してきた部下を叱責するなんて言語道断。次から報告が遅くなります。
少しでも報告を早くしてもらうには、問題を報告してきたメンバーに対して明るく朗らかに、「よく報告してくれた。大変だったな!あとは任せろ!」と(心のなかでは顔面蒼白であったとしても)言い切ることが必要です。
どベンチャーでまずは自分が経営実務について全て対応しないといけない立場にある場合が多いでしょう。そんなときは、スーパービジネスパーソンとして、目を血走らせて頑張る必要があるかもしれません。
組織が大きくなるにつれて、「自分ができること」より、「組織としてできること」が重要とになります。
だからこそCFOは、ファイナンスの知識や経験を駆使して、冷静に組織の状況を分析し、打てる最善の施策を考えつつ、ムードメーカーであるべき、と思います。要は「笑って修羅場を乗り越えられる人」がCFOとして求められる人間像です。

■CFOは最強のマーケターであれ!

CFOはムードメーカーであれ」、もそうですが、CFOの本質的な意味合いでいうと、「CFOはマーケター以上にマーケターであれ」とも考えています。
僕の友人の起業家とお酒を酌み交わしながら(彼も僕もウィスキー好きなので)こんな話をしました。
この世の中に会社より高い値段がつくものはない
車は?高くてもせいぜい数億円。
不動産は?高くてもせいぜい数十~数百億円。
けど会社は?その時価総額は数兆円に登ることもあります。
CFOの職務とは突き詰めるとそんな値段がつく会社を、投資家に売り込むことです。
社内のマーケターは会社のプロダクトのマーケティングを行います。
しかし、CFOは「会社そのものをマーケティングする」のです。
マーケティングの権威であるコトラー先生も「資金調達マーケティング」という本を出しています(日本ではあまり売れなかったようですが… )。
実際に欧米企業のCFOは、全世界に飛び回って各国の投資家に自社がいかに魅力的かをプレゼンして回っています。
このようにCFOは本質的にはマーケターの要素を帯びているわけです。

ね?しかめっ面で数値とにらめっこするだけがCFOの仕事ではないんです!
どちらかというと、そこにいるだけで周りが安心するような存在であることが重要なのではないか、と個人的に考えております。

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これまで3回にわたり、「エモいファイナンス」シリーズとして、
ファイナンスって未来の設計デザインで、
仲間づくりで、文化づくりに責任をもち、
会社というものの魅力を最大限プレゼンテーションする最強のマーケターだ、
という話をしてきました。
そういえば全くファイナンスの理論については触れていませんでしたね(笑)。
この連載を通して一人でも多くの方にファイナンスへ興味をもっていただき、ファイナンスというものをもっと前向きにポジティブに捉えてもらえるようになったのなら僥倖です。
興味がもてたら、ファイナンスの入門書も読んでみてください。
またファイナンスの専門家の方々、CFOの方々には是非、
「こういう考え方もあるのか」
と捉えていただきつつ、もっとご自身の専門分野に自信と誇りをもってほしいと思うのです。 


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