とこしえの備忘録

漢字とバイオインフォマティクスと数学の人。備忘録としていろいろ書きます

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数検1級 ★1 和積の公式

問題$${sin20°\cdot sin40°\cdot sin60°\cdot sin80°}$$の値を求めなさい。 解答和積公式より $$ \begin{split} sin20°\cdot sin40°&=\dfrac{1}{2}\Bigl(cos(20°-40°)-cos(20°+40°)\Bigl)\\ &=\dfrac{1}{2}\Bigl(cos20°-cos60°\Bigl)\\ &=\dfrac{1}{2}\Bigl(cos20°-\dfrac{1}{2

    • 2-2 メンデル遺伝学②

       この記事では前回に引き続きメンデルの残した業績を通して遺伝学の基礎をまとめていく。特にメンデルの法則と呼ばれるものについて詳しくみていくことにする。 メンデルの第一法則(分離の法則) 生物が配偶子を産生するとき、対になっている遺伝子が分離し、配偶子がそのうち片方だけを受け取るというのが分離の法則である。これによってメンデルの実験の$${F_1}$$世代と$${F_2}$$世代の対立遺伝子の組合せが説明できる。 バネットの方形  交配による遺伝子型の組み合わせはバネット

      • 2-1 メンデル遺伝学①

         この記事では遺伝学の基礎になるメンデルの実験とその解釈についてまとめていく。 初期の遺伝研究と仮説 遺伝に関する現代的な実験が行われずとも、その研究の歴史はかなり長い。5000年前にはナツメヤシや馬の雑種作成を行っていた記録がのこっており、また19世紀にはチューリップなどの装飾用商業植物の育種が盛んにおこなわれた。こういった背景から遺伝に関する仮説が2つ提唱された。 仮説1-各親は等しく子に寄与する(正しい仮説) 相反交雑によってこの仮説が正しいことが示唆された。これ

        • 1-6 細胞死について

           細胞分裂の目的の一つに、死んだ細胞を補充することが挙げられる。ここでは細胞がどのように死んでいくかについてまとめていく。 細胞死の種類と目的 細胞が死ぬ方法は2つある。ひとつはネクローシスであり、毒素による損傷や栄養素の不足によるものである。所謂"炎症"を伴う形で膨らんで破裂し、内容物を放出することで完了する。  もうひとつはアポトーシスである。これは損傷などとは異なり、遺伝的にプログラムされた、つまり予定されている細胞死である。以下に2つの細胞死の違いをまとめる。 $

        数検1級 ★1 和積の公式

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        記事

          1-5 減数分裂

           有性生殖に備えて染色体の数を半分に減らす過程が減数分裂である。大きな特徴は 2回の核分裂が行われ最終的に4つの細胞になる しかしDNAの複製は1回しか行われない 有糸分裂とは違って減数分裂で生じた細胞は互いに異なり、親細胞とも異なっている  これらに加えて覚えておきたいのが 半数体の細胞は1組の完全な染色体セットを持つ 減数分裂の過程により子孫の遺伝的多様性が促進される 第一減数分裂第一減数分裂は以下の2つの特徴がある。第一に、相同染色体が全長に沿う形でそれぞ

          1-4 生活環における細胞分裂の役割

           前回の記事では有糸分裂について触れたが、真核細胞には減数分裂と呼ばれる遺伝的多様性に非常に重要であるもう一つの細胞分裂が存在する。この記事ではその役割について、特に生殖に主眼を置いて触れていく。減数分裂の機序は次回の記事。  有糸分裂では1つの細胞が細胞周期を繰り返すことによって大量の細胞になる。一方で減数分裂は2回の分裂を通して4個の娘細胞を産生して、それ以上は複製されないことが多い。減数分裂の役割はなんだろうか。 有糸分裂は遺伝的不変性をもたらす 有糸分裂による生殖

          1-4 生活環における細胞分裂の役割

          1-3有糸分裂の機序

           この記事では細胞周期のM期で起こっていることを詳細に見ていく。 DNAと染色体 DNAは細胞内で種々のタンパク質と結合してクロマチン(染色質)を形成している。このクロマチンはM期に凝集して染色体(クロモソーム)として顕微鏡で観察できるようになる。このとき、染色体には2本の二重螺旋DNAが存在している。通常時はクロモソーム1つにつき1本の二重螺旋DNAが存在する。 ※広義の場合細胞周期・凝集の度合いに関わらず染色体と呼ぶこともある。  S期でDNA分子が複製されるが、こ

          1-3有糸分裂の機序

          1-2真核細胞の分裂制御

          細胞周期 1つの真核細胞から2つの細胞が生じる過程を細胞周期と呼ぶ。細胞周期は大きく分裂期(M期、mitosis=有糸分裂)と間期に分けられ、大半が間期にあたる。この記事では間期においてどのようにして有糸分裂が促されるかについて書く。  間期はG1期、S期、G2期に分けられる。特にS期はDNAの複製が行われる。Sはsynthesisの略。 G1期とG2期はS期とM期の間にある。GはGapの略。 G1期  基本的にはS期のために準備している。大事なのが細胞によってその長さ

          1-2真核細胞の分裂制御

          1-1原核細胞と真核細胞の分裂

           単細胞生物と多細胞生物の分裂はその基本的な目的が異なる。前者は繁殖するために、後者は成長や組織の修復に際して、細胞分裂という手段が用いられる。 細胞分裂するために必要な4つのステップ増殖を促すシグナルが必要 DNAや細胞内小器官の複製によって新しい2つの細胞が同一の遺伝子と完全な機能を備えている。 複製したDNAを2つの娘細胞に分配する過程が必要。(分離と呼ばれる) 細胞膜の再構築(細胞質分裂と呼ばれる)が行われ、新しい細胞に分離すること。  これらの過程は原核細

          1-1原核細胞と真核細胞の分裂

          Hi-C法の原理と目的、解析ツール

          基本事項ゲノムの三次元構造の解析法の一つで、2009年に開発された。次世代シーケンサーを用いて空間的に近接したゲノム領域を網羅的に検出することで、ゲノムの三次元構造の解析を行える。Hi-Cはhigh-throughput chromosome conformation captureの略。 ゲノム情報自体は塩基配列の1次元情報ですが、遺伝子発現を効率よく制御するためにはその細胞及び器官での特異的な3次元構造を持つことが必要になってきます。そのため、三次元構造を解析する手法が必

          Hi-C法の原理と目的、解析ツール

          映画レビュー『Otesánek』

          基本情報感想 アマプラでたまたま見かけたので興味本位で見ました。最初30分は構成やカメラワーク、トランジションが陳腐で「あまり期待できないかなぁ」と思っていましたが、終わってみればかなり纏まりの良い映画で、構成も面白かったです。  元の民話のストーリーは至ってシンプル、バッドエンド版桃太郎みたいな雰囲気を感じました。切り株が化け物になり、それが人々を襲う。そして最後は斬り殺されてみんな助かるという至極単純な物語。  しかし、この映画ではそれに加えてホラーク夫妻の世間に対す

          映画レビュー『Otesánek』

          補講4:中国周辺の異民族史

          スキタイ(前6世紀前後)→ユーラシア大陸の騎馬民族として最初に登場する民族。イラン系の人々で黒海北岸~カスピ海北岸地域を中心に活動。古代ギリシアとか春秋戦国時代と同じ時期。 ◎スキタイ文化 →金、青銅、鉄器などを扱う高度な文化。首長の墓(クルガン)には数多の金製品が副葬されている。 ●黄金人間の尖り帽子 →アケメネス朝ペルシア(前550年~前330年)の碑文やヘロドトスの記述にあったもの。1969年にカザフスタン南部の遺跡から発見。 ◎ヘロドトスによる記述 →『歴史』の

          補講4:中国周辺の異民族史

          映画レビュー『時計仕掛けのオレンジ』

          基本情報監督 スタンリー・キューブリック 『シャイニング』(1980) 『2001年宇宙の旅』(1968) 登場人物 アレックス・デラージ(役:マルコム・マクダウェル) 感想 1971年公開の映画『A Clockwork Orange』こと『時計じかけのオレンジ』を見ました。  露骨なまでの暴力・セックス表現(ナッドサット言葉ならウルトラヴァイオレンス)、要するに野蛮さ/人間の本能に従うような嗜虐的な悪と、アレックス出所後に家を追い出した両親や利用しようとした作家の老

          映画レビュー『時計仕掛けのオレンジ』

          テトラゾリウム浸透試験

          「テトラゾリウム浸透試験」(Tetrazolium Penetration Assay)は、生物学や生化学の研究で使用される実験的な手法の1つです。このアッセイは、細胞の生存能力や代謝活性を評価するために利用されます。 通常、テトラゾリウム塩と呼ばれる化合物(例えば、MTT、XTT、WST-1など)が使用されます。これらの化合物は、代謝活性の高い細胞内で還元されることにより、可視性のある色素または形態の変化を引き起こします。この変化は、細胞が生きており、代謝活動を行っている

          テトラゾリウム浸透試験

          Y1H assay

          ChIP-qPCR ①DNAとその領域に結合しているタンパク質(ヒストンとか転写因子とか)をホルムアルデヒドで架橋固定 ②超音波処理や酵素処理により可溶性の断片化クロマチンにする ③タンパク質に対する特異的抗体を加えて免疫沈降 ④タンパク質をはがしてqPCRすると結合量が分かる →既知のゲノム上のタンパク質結合部位でのタンパク質-DNA相互作用の有無を定量的に評価できる手法。 ルシフェラーゼレポーターアッセイ →遺伝子の発現がどれくらい活発かを数値化する方法。 遺伝子

          PCで編集したExcelがOnedrive経由だとiPhoneで読み取り専用になる問題のトラブルシューティング

          設定→Officeドキュメントのプレビューを「オフ」にすると解決しました。

          PCで編集したExcelがOnedrive経由だとiPhoneで読み取り専用になる問題のトラブルシューティング