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EUROのベストゲームは1984年の準決勝 フランスVSポルトガル

当時のヨーロッパ選手権の本大会の出場国は、僅か8カ国。ソビエトも、ユーゴスラビアも、解体前であり、今ほど参加国は多くはないが、それでも8カ国は高い壁だった。現にオランダも、イングランドも、イタリアも予選で敗退している。2年前のワールドチャンピオン、イタリアは予選で無惨に惨敗、オランダはスペインとのマッチレースに負け、イングランドはウェンブリーで、初めてデンマークに負けている(デンマークにとっては歴史的勝利)。本大会は開催国・フランスが優勝候補。プラティニ、ティガナ、ジレス、フェルナンデスの中盤の四銃士を中心に、予選Aリーグを圧勝して、準決勝に進出した。相手はダークホースのポルトガル。予選Bリーグの西ドイツは最終戦、スペインのマセーダのヘディングに得点を許し、予選リーグで敗退。準決勝はフランスVSポルトガルとなり、下馬評は圧倒的にフランス有利。予想通り、フランスは前半、ゴール前のフリーキックを得るとプラティニが当然、蹴ると見せかけて、左利きのドメルグが豪快にゴールを決めて、フランスが先制。このままフランスが押し切ると思いきや、ポルトガルも後半、ジョルダンの得点で追いつき同点、このまま延長戦に入った。延長戦開始前にプラティニが選手に鼓舞する。しかし、まさかの展開が待っていた。延長前半、センタリングから反対サイドにいた、ポルトガル・ジョルダンの地面に叩きつけるようなシュートがキーパー・バツの頭上を超えて1点勝ち越し。必死に1点を追うフランスが怒涛の攻め、それを凌ぐポルトガル。延長後半に入り時間が過ぎていくなか、フランスがまたしてもドメルグの得点で追いつく。左利きのサイドバックのドメルグの2得点。戦術なんて関係ない、とにかく得点するの先決だ。その後もフランスが攻めつづける。そして、フランスが遂に逆転する。カウンターからティガナのドリブル、最後はプラティニにボールが渡り勝ち越しのゴールを決め3対2、薄氷の勝利だった。今と違って、中盤に大きなスペースがあり、現代サッカーとは、全く試合は別物に見えるが、それは古き良き時代のサッカー、エンターテインメント性は格別な一戦だった。一方、1966年_ワールドカップ・イングランド以来の大舞台となったポルトガル。ヨーロッパの国のサッカーのレベルの高さを痛感した一戦でもあった。日本がワールドカップに出場することを思い描けなかった時代の素晴らしい試合だった。

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