日商マスターに認定されました

先日、日本商工会議所より、3年越しの念願の「日商マスター」に認定されました。

その「日商マスター」とは、どんなものなのか、認定されるにはどんなプロセスが必要なのかを紹介します。

日商マスターとは
IT(情報技術)の指導者の資質向上を図るため、日本商工会議所が1992年度からスタートさせた認定制度です。
情報通信技術とその活用技術が、企業の経営戦略ツール(道具)として、また快適な生活を過ごすための家庭ツールとして必須のものとなった今日、これらの技術を有効に活用するためには、正しい日本語を使う能力や意図する相手に情報を迅速に送達する技術、多様な情報の中から業務や生活に必要な情報やデータを迅速に選択し、的確に分析できる手法などの習得が不可欠です。
「日商マスター認定制度」は、これら情報通信技術に関して幅広い知識を有し、かつ新しい情報ツールの活用に豊富な経験とを兼ね備えた有能な指導者を育成・認定し、産業界における効率的ビジネスの推進と国民生活の向上ならびに情報通信技術の活用環境の構築に寄与することを目的とする制度です。

(日商マスター公式サイトhttps://www.kentei.ne.jp/masより引用)

ものすごくわかりやすく言ってしまうと、「Word、Excel、PowerPointの活用方法を指導できる人を日本商工会議所が認定する制度」です。

簡単に言うとそういうことなのですが、日商マスター公式サイトに書いてあるように、効率的ビジネスの推進ができる専門家であることが必要なので、現在での最新のデジタル技術を総合的に組み合わせて、よりその事業に合わせた規模で提案し、実現できる人ということになります。

また、認定のためには、指導した実績に基づくレポートを作成することが必要であることから、パソコン利用の指導者向けの資格であることがわかります。

以上のことを踏まえてまとめると、「実務に即したパソコンの活用方法を総合的に組み合わせて提案・指導できる人」ということになり、職業的に言えば、ITコンサルタントパソコンインストラクターがそれに当たるかと思います。

僕としては、「日本商工会議所認定のパソコンインストラクター」というイメージが強いです。

日本商工会議所のパソコン試験

日商マスターの詳細を紹介する前に、日本商工会議所の試験のコンセプトと、その中でも日商PC検定がどんなことを目指しているのかを解説します。

皆さんは「簿記検定」という資格試験を聞いたことがあると思います。僕は日本で運転免許の次に有名な資格だと思っています。「簿記検定」はいくつか種類があるのですが、その中でももっとも有名で難易度とレベルが高いのはこの日本商工会議所の「日商簿記」です。

「日本商工会議所」は、商業や工業の分野で活動する企業が会員となり、日本のビジネス環境を向上させることを目的とした組織です。会員企業は、経済の発展や業界の標準化、政策提言などを通じて、ビジネス界全体の利益を代表し、促進する役割を担っています。

その日本商工会議所が試験を行う意味も、今の日本のビジネスにおいて、ビジネスのプロフェッショナルを育成し、ビジネスを加速するという意味があると思っています。

簿記検定では、まさに会計分野のプロのスキルを獲得できますので、財務管理の強化、コスト削減、リスク管理、税務申告の正確性、ビジネス戦略の策定といった企業を成長させることができるようになります。

日本商工会議所の資格試験はたくさんありますが、根底にはどの試験もこのような、企業を成長させるスキルの獲得というものがあります。

日商マスターになるためには、日本商工会議所の資格にいくつか合格している必要があります。

1つは日商PC検定で、以下の3つに合格している必要があります。

  • 日商PC検定文書作成2級以上(Word)

  • 日商PC検定データ活用2級以上(Excel)

  • 日商PC検定プレゼン資料2級以上(PowerPoint)

もう1つは簿記系の検定で次のどちらかに合格している必要があります。

  • 日商簿記検定3級以上

  • 日商原価計算初級

  • 電子会計実務検定3級以上

WordやExcelの試験で、最も有名なのは「MOS」です。MOSは実際にファイルを操作して、指定された機能を扱えるかを審査する機能重視の資格試験で、どんな仕事にも共通するすべての基礎だと思っています。だから問題文で指定された機能を扱えるかどうかがポイントです。

対して、日商PC検定も実技試験ではありますが、問題文ではどの機能を使うという指示はなく、どの機能を使って解いても構いません。暗算できるなら暗算し結果を手入力してもよいですし、関数が得意であれば関数を駆使して求めてもよいという、目的重視の試験です。

まさにビジネスでは、どんな機能を使ってでも、正確に素早く楽に結果を求めることが重要で、そのためにはどんな手段をとっても構わないのです。同じ結果を求める機能のうち、最も効率の良い安全な方法を選んでいく必要があるとも言えます。

「MOS」は基礎、「日商PC検定」は実務という違いがあると言えるでしょう。

このように日本商工会議所の日商PC検定には、実際に仕事で使えるのか、ということを強く求められます。

日商マスターになるプロセス

私が日商マスターになるためには、次のような順番で資格を取得しました。

MOSのWordとExcelの一般、上級レベルとPowerPointを取得しているレベルから想定した勉強時間も書いています。

  1. 日商PC検定文書作成2級
    勉強時間20時間、受験料7,330円、勉強用のテキスト約3,000円

  2. 日商PC検定データ活用2級
    勉強時間20時間、受験料7,330円、勉強用のテキスト約3,000円

  3. 日商PC検定プレゼン資料2級
    勉強時間20時間、受験料7,330円、勉強用のテキスト約3,000円

  4. 日商原価計算初級
    以下の集合研修の前までに取得しておく必要があります。
    勉強時間10時間、受験料2,200円、勉強用のテキスト約1,000円

  5. 集合研修
    1年に一回、東京で集合研修が開催されるので参加が必要です。
    コロナ過ではオンラインで実施されました。
    毎年11月くらいに日商PC検定公式ページに掲示、参加費10,000円

  6. 一次審査(書類選考)
    過去のパソコン教育の実績から、定型フォーマットの指導実績リスト・レポートを作成し提出します。

  7. 二次審査(面談)
    一次審査で提出した書類をもとに、工夫したポイントや指導が適切だったかを面談で審査れます。
    受験料10,480 円(一次審査分を含む)

  8. 日商マスター登録
    以上のプロセスをすべて合格すると日商マスターとなることができます。登録料を支払うと認定されます。
    認定料33,500円・認定期間3年分

以上のように、総額約9万円がかかります。普通に考えれば少し高い印象もあるかと思いますが、日本商工会議所というブランドの認定を受けられるのであれば、私としてはメリットの方が断然大きいです。

もう一つ取得しにくいのが、試験の受験会場の少なさです。

日商PC検定は各都道府県に試験会場がありますが、日商原価計算初級の受験会場が少ないということがあります。

今後、試験会場が増えていくことを願います。

どうして日商マスターになりたかったのか

歴史としては1992年より開始されているのですが、どうして今まで取得しなかったのかというと、この制度を知らなかったからです。

残念ながら、この制度はまだ世間的に認知されていないし、たとえ日商PC検定を受験した人でさえ、最終的なゴールとしてこの制度があるということがわからない人がほとんどです。

日本商工会議所のパソコン系試験は、とても実務的に即戦力な人材かどうかを審査する試験です。

古くは「ワープロ検定」という文書作成の試験から始まって、その当時は、印刷した用紙で採点していました。これからもわかるように、出来上がり重視で、途中の作成プロセスは全く問われません。とはいうものの、効率よい作り方をしなければ絶対に作成時間が間に合わないため、課題に併せてその場で作り方を自分で選ばなければならないことからも実務系だということがわかります。

そのようなコンセプトを持つ日本商工会議所がパソコン指導者向けに制定した制度であれば、実務を教えるパソコンインストラクター向けの制度として間違いのないもので、その知名度が低いというのは、もったいないと思いました。

実は、日商マスターになりたかった一番の理由はここでした。

それに併せて、パソコンインストラクターの資格として、日本商工会議所という大きな組織が認定する資格なので、一つのブランドになると思います。そのブランドに乗っかり、日本の企業のパソコンの使い方について指導する足掛かりとしたいという、フリーランスとしての戦略もあります。

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何より、昔から日本商工会議所のパソコン系試験のファンでもあり、おそらくその試験コンセプトを誰よりも理解しているという自負もあるので、そういった意味で日商PC試験を応援するということでもありました。

私自身、正直、日商マスターになったものの、「日商マスター」の正体を完全に理解しているとは思っていません。それはこれから勉強していきます。

当面の活動としては、SNSやYouTubeなどで、日商マスターの存在のアピール、その内容について私自身が勉強してわかったことの発信が主になると思います。

いずれ、日商PC検定を盛り上げて、ビジネスにおいて真の意味でのパソコンが使える人を育て、日本のビジネスを加速していく小さな力になりたいと思っています。

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