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ほっこり系

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あなたをほっこりさせたい文章です。
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クリスマスイブをボランティアに捧げるという選択肢を

クリスマスイブをボランティアに捧げるという選択肢を

クリスマスイブ。ぼくは赤い衣装と帽子に身を包み、たくさんの白ヒゲを生やして車を走らせていた。

これから会える子どもたちは、どんな反応をしてくれるんだろう。大きくなるワクワクを携えて、ハンドルを握りしめる。

助手席には、同じく全身真っ赤な衣装に包まれた男性がひとり。

「むつみちゃんは…5歳。もうすぐ習い事を始めるから応援してほしい…なるほど」

子どもたちの情報を読みながらブツブツと言葉を漏ら

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神保町を散歩して、読書家と本を交換したのなら

神保町を散歩して、読書家と本を交換したのなら

パンみみ日記から溢れ出してしまった1日を綴りたい。



休日に神保町へ。ランチにカレーが食べたくなり、「まんてん」の店前へ。すると、今日はお店が休みであることが発覚した。「ガーンッ!」という効果音が鳴り響く。

とぼとぼと周囲を歩いていると、「煮込み伝次」というお店が目に入った。店内のお姉さん店員と目が合い、そろそろと扉を開けるとすごく嬉しそうに「いらっしゃいませ!」と声をかけてくれた。

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「どこで何読む?」本好きたちのおしゃべり議事録

「読んでる本があとちょっとで終わりそうなので、2冊目も持って外出するんです。けど、その作品の気分じゃなくなったりして」

「カフェで本読んでたら、店員に『長居しすぎ』って思われてないか不安になって、集中できなくなっちゃって」

わかる。めっちゃわかる。共感の連続。これは先日参加した、本好きが集まるイベントの会話だ。

本について語る機会は、多くない。読書家人口がそもそも少ないし、「さあ、本の話をし

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旅は不確かな歯車とともに

旅は不確かな歯車とともに

行くのが1日ズレていたら。その場所に滞在するのが1時間ズレていたら。出会う体験や人が、まるっきり変わってしまうことがある。

そんな「不確かな歯車」がギミックとして取り込まれているのが、旅の魅力なんだと思う。

***

先日、大学の友人たちと登山へ行った。目的地は岐阜県の乗鞍岳。3,000mを超える山だけど、標高が高い登山口までバスで行けるので、比較的初心者でもチャレンジしやすい山だ。

土曜日

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推しがいるお仕事 #推し短歌

推しがいるお仕事 #推し短歌

〈月曜からのおしごと〉

「会社」×「推し」「推しがいるお仕事」をテーマに詠んでみました。推しがいるお仕事は楽しい。そしてお仕事には推しが要る。そんな気持ちを三十一文字に吹き込みました。

仕事には推しが必要だ

なぜ会社に行くのか。仕事をするためなのか。違います。推しに会いに行くためです(極論)。

やりたくないことをやって、色んなことを我慢して、たまにはご褒美がほしくなるもの。それはデスクに入

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話をさえぎる、けんちんうどん

話をさえぎる、けんちんうどん

この間の週末、福島へ遊びに行った。ぼくが新入社員の頃、はじめて配属となった場所。色々な思い出がふわりと浮かぶ中、あの人のことを思い出した。

元気でいるかな。まだお仕事続けているのかな。あのときのうどんのこと、ぼくは覚えてるよ。

***

新卒2年目。ぼくはお客様先を担当させてもらい、営業デビューを果たした。お客様先は法人も個人もいて、一緒にビジネスをするパートナー関係だ。

仕事柄とにかく問い

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「思わず誰かの顔が浮かぶ」街に住めたら

「思わず誰かの顔が浮かぶ」街に住めたら

転職を機に引越をしてから、2ヶ月が経った。今の生活にも、少しずつ慣れてきた。

けれど、住んでいる街を「自分の居場所」と完全に認識するのは、まだ先になりそう。「何かが足りない」という気持ちが、心の底でうずくまっている。

こんなとき、いつも思い出すのは、あの場所。社会人になって初めて1人暮らしを始めた、あの街だ。

そして街と一緒に浮かぶのは、あの人たちの顔。元気でいるのかな。思わず、考えてしまう

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新郎の手には旗を。新婦の手には鳴子を。

新郎の手には旗を。新婦の手には鳴子を。

目を疑う。参列者の半分が、はっぴを着ている。そう思えば、新郎が旗を振り出す。新婦が鳴子を持って踊っている。

ここって結婚式場だっけ。お祭り会場なのかな。

「普通の結婚式」の概念が吹き飛ぶのを感じながら、ぼくも鳴子を打ち鳴らしていた。

・・・・・・・・・・・・・・

結婚式に行くことになった。前任地で所属していた、よさこいチームのメンバー同士の式だ。新婦がチームの代表で、新郎が旗士。旗士とは、

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「あーあ、忘れものしてよかった!」

「あーあ、忘れものしてよかった!」

「ここのやつ、ふわっふわだし、甘さ控えめで最高なの!」

大好きな先輩2人に囲まれながら、パンケーキに切り込みを入れる。中にこもった蒸気と甘い匂いが溢れ、「今日が休日だ」ってことを再認識させてくれる。

幸せな休みの日。けれど、ちょっぴり寂しい。こうして一緒に過ごせるのが、あと少しだとわかってしまったから。

・・・・・・・・・・・

この間、よさこいサークルで忘れものを預かった。練習場所に、誰か

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誰かとの旅は海で、ひとり旅は湖

誰かとの旅は海で、ひとり旅は湖

ぼくはひとりで過ごす時間が好きだ。カフェで本をじっくり読んだり。ふらっとラーメンを食べに行ったり。日帰り温泉でのんびり湯に浸かったり。

けれど、宿泊を伴う「ひとり旅」をしたことがなかった。憧れていたけど、きっかけと少しの勇気が足りなくて。

この間、初めてひとり旅をした。ちょっとだけ寂しいけど、心が安らいで、たっぷり自分と向き合える時間になった。

そのとき抱いた感情は、まるで波が立たない湖面の

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気がつけば「観客」から「演者」になっていて

気がつけば「観客」から「演者」になっていて

「人生の主役って感じで踊りなさいな。自信が魅力になるよ。」

その言葉をお守りにして、止まらない鼓動にせかされながら、足に「前に進んで」とお願いする。

目を細めるくらいのまぶしい照明。全身に響く胸の音。肩を揺らす息。あぁ、この舞台に立ってる。

憧れていた空間は、こっちから見るとこんな景色なんだ。

🚶‍♂️

この間、ぼくが住む地域でYOSAKOIソーラン祭りが開催された。このお祭りはよさこ

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ひとんちのおにぎり。いつぶりだろうね。

ひとんちのおにぎり。いつぶりだろうね。

膝に置いた手をキュッとしながら、声を出してみる。

「あの…ぼくも1つもらってもいいですか?」

ほっぺに米粒がつきそうなほど大きな塊。両手で受け取りながら、ぼくは考える。

こんなのって、いつぶりだっけ。

🚶‍♂️

「いち、にー、さん、しー!ごー、ろく、しち、はち!」

ある日曜日。澄み渡った空の下、ぼくはリズムをとりながら体を動かしていた。

今日はよさこいチームの外練習だ。公園で振りや

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4年も経てば、道は3つになってるわけで

4年も経てば、道は3つになってるわけで

「明日の朝ごはん、7時半集合でいい?」

「今日、ホテルのWi-Fiの調子悪くないか」

「明日のテストってさ、範囲ここだっけ」

4年前のグループLINEの会話を遡る。この3人のLINEが、また動き出すことになるなんてね。

🚶‍♂️

ぼくが新入社員の頃。

入社したばかりのぼくたちは、最初の1ヶ月は研修尽くしだった。都内の研修施設で、同期が200人集まってみっちり講義を受ける。

自宅から

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仕事のためにチームでいたんじゃなくて、チームでいるために仕事をしていた

仕事のためにチームでいたんじゃなくて、チームでいるために仕事をしていた

この春で、社会人5年目になる。まだまだ心持ちは若手でいたけれど、気づいたら後輩が増えていた。

職場で後輩から、仕事の質問や相談されることも日常的になってきた。

その度に、思い出す。あの2人のことを。

ぼくはあなたたちみたいに、はたらく意味を与える先輩になれているのだろうか。

🌸

3年前、ぼくは社会人2年目となり、担当企業を持たせてもらった。いわゆる営業デビューだ。ドキドキしたけど、早く

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