おはなし「君について」
君と初めて出会ったのは、まだ僕たちがお互いに駆け出しの物書きだった頃だ。
新人作家の集まりで、初めての会話をした。
その時から、僕は君に惹かれていたのだろう。
雰囲気のいい書店があるとか、インスピレーションの湧く夕日が見られるとか、
そんな仕様もない理由をつけては、君と二人で会うことを心待ちにしていた。
これは、そんなデートの十回目でのことだ。
小心者だった僕は、十回、君と会うことができたら、と願掛けのような心持ちだったのだ。
その日、僕は君を喫茶店に連れて行った。
珈琲が格