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ブックレビュー「悪い習慣をやめる技術」


 つれあいからの勧めがあり、読んだ本です。
帯にもあるように、いわゆる「ハマって」しまった癖を治す方法が書かれた本です。

 本書はハマってしまった癖のなかでも、ストーカー行為をメインに取り上げています。
 最近、ニュースで大々的に取り上げられた「福岡ストーカー刺殺事件」では、ストーカー規制法に基づく、被害者への接近禁止命令や、被害者へは警察から通報装置を持たせていたということが伝えられておりました。こういった措置が行われていたにもかかわらず、痛ましい事件は発生しました。いわゆる対処措置は講じられていましたが、加害行動をやめさせる根本対策がなされていなかったため、事件を防げなかったと考えられています。

 本書は、こうした問題の根本対策として「条件反射制御法」ということを提言し、ストーカーは治ると明言しています。

 パヴロフというロシアの医学・生理学者は、人の脳には司令塔たる2つの中枢神経系があり、「無意識的」な神経系と「意識的な」神経系があると定義しました。「無意識的な」神経系を「第1信号系」と呼び、防御、摂食、生殖といった動物的な行動とその成功と失敗を繰り返すことにより、条件反射が育まれるといいます。一方「意識的な」神経系を「第2信号系」と呼び、思考や意思(~してはいけない)といった人間的な行動を制御する神経系を指します。「第1信号系」は「第2信号系」に比べ、太古昔から生命体を維持する行動の反復を支える司令塔であるため、一つの行動が反復されると、発現されやすく、一般に人は「分かっちゃいるけど、やめられない」という状態に陥りやすいということです。

 「第一信号系」の活動を訓練によって弱くし、あるいは中断させ、最終的に行動制御を可能にするのが「条件反射制御法」で、これは「脳トレ」によって、取り入れられると言います。本書ではその具体的方法や、カウンセリング事例がいくつか掲載されています。

 話を戻しますが、何もストーカー行為に限った話ではありません。例えばストレスかかると、過食になってしまう、アルコールに走ってしまう、たばこの量が増えてしまう。ネットにはまって抜け出せない。ちょっとしたことでも批判をされると、怒りが収まらない、人前にでると緊張して言葉が出ないなど、人は「無くて七癖」、良い習慣もあれば、悪い習慣もあるわけで、習慣で悩んでいる方には、ぜひともお勧めしたい一冊です。ちなみに、「脳トレ」はとてもシンプルな訓練ですが、現実問題続けることは難しそうに感じました。でも、それこそ意思と周りの支えがあれば、できないことはないとも感じました。

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