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【本】わたしの考えをかえた児童文学

「小さなモモにできたこと、それはほかでもありません、あいての話を聞くことでした。」

『モモ』
ミヒャエル・エンデ作 大島かおり訳
岩波少年文庫

育児休暇から復帰して、仕事で人と話すことにものすごく疲れてしまい、帰ったら毎日ぐったりなっていた

人と会話するのがすごく嫌で嫌でしょうがなく、空いた時間すべて本ばっかり読んでいたときに『モモ』に出会った

有名な本だし、多分学生の頃にも読もうとして、児童文学のクセにあまりにも分厚くて読まなかった記憶がある

この本は、会話するのが嫌なわたしに、「話をきくこと」の方が大切で、それができれば人は満足することを教えてくれた

仕事で、会話の方法などを研修でうけることもあり、知識はある方だと思っていたけど、自分がそもそも会話が嫌で嫌でしょうがなかったら、ストレスは回避できない

自分の知識から返す言葉を選びながら、話を聞くから、考えている間にどんどん話が進む
その繰り返しで毎日辛かったし、会話できない自分にも嫌気がさした

でも、「小さなモモにできたこと、それはほかでもありません、あいての話を聞くことでした。」という文を読んだ瞬間、アッと思った

わたしも、ひたすら話を聞くだけにしよう

次の日から「話を聞く」ことに集中して、返す言葉は聞いた話から素直に疑問に思ったことと、話の続きを促す言葉にした

どうしても聞かないと仕事にならないときは質問するが、ほぼ相手のペース

その方法で、気持ちがずいぶん楽になった
相手も楽しそうだし、わたしも話さなくていいし
ちょっと苦手なタイプの人でも、対応しやすくなった

言葉の少ない人との会話は少しむずかしいが、なんとかなるし
若い方も、話すだけ話して、知りたかった情報を得ることができ、楽しそうに帰っていかれるので、変な会話にはなってないようだ

会話術の本もたくさん読んで、同じことが書いてあったのに、なんで『モモ』だけは、すんなりと言葉を受け止められたのかわからない
でも、ただひたすら聞くだけに徹するモモの様子を思い浮かべることができたから、同じことをやってみようと思えた

児童文学は読みやすくて、内容を理解しやすい
状況を思い浮かべながら読むことで、自分の考える力を伸ばしてくれると思う
『モモ』はわたしのストレスを一つ減らしてくれた優秀な児童文学の本になった

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