メレンゲ作りから見るキムミンギュの魅力とその親和性について.pdf
SEVENTEEN学部ミンギュ学科
__9746km 惚気
韓国バラエティの巨匠:ナヨンソクPDが、世界的アイドルグループSEVENTEENとタッグを組み、ヒーリングバラエティ:『NANA TOUR』を制作した。そのコンテンツの中では、メンバーがイタリアでの観光やアクテビティを楽しむだけでなく、番組側が用意した数々のゲームも執り行われる。その中でとりわけ大きな存在感を発揮していたのは「あなたは今何を?ゲーム」である。このゲームは、ランダムで与えられたミッションを個々人がこなし、賞金を獲得を目指すというサバイバルゲームである。その中で、SEVENTEENのメンバー、キムミンギュは、「メレンゲ作り」というミッションを引いた。本稿では、キムミンギュのメレンゲ作りの過程、及びキムミンギュの魅力とメレンゲ作りの親和性について考察する。なお、キムミンギュについては、以下よりミンギュと表記する。
まず、ミッションの詳細と条件について論ずる。そもそもメレンゲとは、卵白と砂糖をひたすら混ぜることでできるお菓子である。ミンギュに課せられたミッションは、制限時間40分以内にメレンゲを作り、カメラに向かい、頭上でボウルを裏返し、メレンゲが落ちなければミッション成功、というものだった。
このミッションを引いたミンギュは咄嗟に「もう1度引いていいですか?」と交渉するなど、難易度の高いミッションであることを自覚していた。しかし、メレンゲについては、作り方は知らなかったものの「マカロンに入っているやつ」という認識はあったため、この時点で完成時のイメージは掴めていたと思われる。スタッフに言われた「簡単な方ですよ」という言葉に少年のような笑顔を浮かべ、「頑張って作ります!」と明朗に返事をしていた。しかし彼はこの後地獄を見ることとなる。
開始の合図と共にキッチンに向かったミンギュは、すぐさま卵白と砂糖をボウルに入れ、メレンゲ作りの準備を始めた。しかし、すかさず邪魔が入る。というのも、このゲームはミッションをクリアした者同士で賞金を山分けするため、成功者を減らす必要があり、メンバーはお互いにミッション遂行を阻止する必要があった。次々とメンバーが現れては、拘束され、ボウルを取られる。この時点でミンギュは「アンデーーーッ❗️❗️」と苛立った様子を見せ、「██████!」と、放送できないような暴言を吐いている。至極当然である。筆者もまた、阪神ファン人格で野次と怒号を飛ばしていた。
ボウルを取り返したのも束の間、キッチンには大勢のメンバーが出入りしており、ミッションを予測されたり監視されていたりボウルを奪われたりなど、常に危険と隣合わせにも関わらず、ミンギュは再びボウルを取り出し、果敢にミッションを進めていく。筆者のお花畑フィルターを通すと、その姿はまさにオーロラ姫を助けるべく茨の道を切り開くフィリップ王子さながらの勇敢さである。よって、ここを激めろポイントその1とする。
しかし、自ら手を引っ掛け、作りかけのメレンゲが入ったボウルをシンクに落としてしまうという、おっちょこちょいムーブもしてしまうのもまた、ミンギュなのである。これが激めろポイントその2だ。彼はシンクにボウルを落とすと同時に、画面の向こうで何億人の女を落としたのだろうか。この時点で筆者の理性も、水気のあるシンクに散らばった砂糖のように、デロデロに溶けているのである。手を引っ掛けてしまい、シンクにボウルを落としてしまうのは当然だろう。ミンギュにとって、地球は小さすぎるのである。
気を取り直して3回目の挑戦にて、「僕は時間がかかるから邪魔しないで!」と、徐々に情報を開示し、メンバーの説得を試み始める。メンバーは懸命にボウルを混ぜるミンギュを見て(阻止せずとも不可能だろう)と諦めて離れていく。これがミンギュの狙いだったのだろうか。しかしその狙いも虚しく、ドギョム、ジョシュアに定期的に追いかけられ、逃げ回りながら子犬のような声を出す。
かわいい。
これが激めろポイントその3である。
彼は本当に自分の大きさとかわいさに気づいていない。彼が子犬の鳴き声で抵抗する度、筆者は画面のこちら側で妖怪のような奇声をあげてしまうため、本当にやめていただきたいのである。
ミンハオとドギョム、通称クチルズで三つ巴の戦いになった際、ドギョムがミンギュに同盟を持ちかけた。コンロの火がつけられなかったドギョムは、ミンギュに火をつけて欲しかったのだ。親切にもドギョムの要望に答え、火をつけてあげるが、ギブアンドテイクが成立した訳ではなく、結果的にミンギュがドギョムを手伝ってあげただけであった。しかし、これが世に言う「ギュソク」なのである。
その後、ミンギュはキッチンから逃亡し、事なきを得る。ここで注目したいのが、この逃亡の速さである。これが実写版トムジェリすぎるのである。あまりにもすばしっこいため、彼が約2mの巨大男であることを忘れてしまう。筆者には確実に、フリフリのかわいいしっぽが見えた。この場面はep3-4 37:08~を参照されたい。
しかし、彼が逃げた先は、メレンゲ作りの天敵:水が大量にある、風呂場だったのである。こんな奇跡があるだろうか。バラエティ番組にて「運がないです…」という彼は、バラエティ的に運を持ちすぎているのだ。この世にバラエティの神さまがいるのならありがとうと抱きしめたい_____なのである。そのため、これを激めろポイントその4としたい。ミンギュという男は、バラエティの神さまをもめろめろにする男なのだ。
そして案の定ミンハオに見つかり、風呂場で攻防戦が繰り広げられる。しかしここで、ミンギュが力士顔負けの押し出しを始めるのである。めちゃくちゃ(どすこい❗️)しているのである。筆者はミンハオの肋骨が心配で心配で仕方がなかった。デカ男:ミンハオの両手を使った攻撃を片手で阻止するドデカ男:ミンギュはもはや恐怖の存在である。しかし、力士さながらの押し出し技を繰り広げながら、子犬のように大はしゃぎして「1回だけ見逃して、お願い!」と子犬のような弱々しい声を出すのである。
子犬ミンギュの「アンデッ !!チンチャアンデッ!!アンッッッデーーー!!!!ェェ~~ェ…」を毎朝のアラームにしたい。(君の膵臓を食べたい)
ミンハオに無事水を入れられ、完膚なきまでに叩きのめされたミンギュは、ここで初めてミッションを口外する。確かにミッションを知ったメンバーは諦めて、他のところへ行く。しかし、当の本人であるミンギュの辞書に、"諦める"の文字はないのだ。その後も子犬のように鳴きながら、風呂場の端にちょこんと座り、水の入ったメレンゲ(のようなもの)を懸命に混ぜ続ける。
🚨하지만 잠깐만요🚨
その腕がありえないくらいデカいのである。
無論、激めろポイントその5である。
ミンギュという男は、子犬の声を出しながら、ボディービルダー顔負けのポージングをキメているのである。子犬とボディービルダー、我々の脳内では並立することのない概念が、ミンギュの前には並立し得るのである。ミンギュは地球の秩序を壊し、また、我々の思考の殻を破る存在なのである。
あまりにもターキーレッグすぎる。個人的にチェイルターキーレッグシーンはep4-1 4:56である。
そしてこの後、精神と時の部屋と化した風呂場には、ミンギュがメレンゲを混ぜる音が鳴り響く。10分間、彼は無心でメレンゲを混ぜ続けるのである。激めろポイントその6の爆誕だ。彼はメレンゲ作りを通して、地道な努力の大切さを体現するのである。
そして、その音を聞きつけたら、絶対に看過しないのがSEVENTEENだろう。また風呂場に新しい刺客が現れる。
「それ、本当に成功させたいの?」と聞かれたミンギュは「成功させたいよ、できるだけトライはしてみたい」と、希望を捨てずに答える。ここまででミンギュは、何度失敗し、何度挑戦しただろうか。もうこの時点で筆者の脳内には『栄光の架橋』が流れており、ぐしゃぐしゃに泣いていた。ミンギュの気概と根性は眩しすぎるのだ。どう考えてもけっこんしたいに決まっているのである。
そしてジョンハンによるドデカ水合戦を経て、メレンゲとミンギュと筆者のメンタルは、水浸しになる。
もうダメだ。
諦めよう、ミンギュ。
なにをしたって砂糖と卵白は、
メレンゲにはならないんだ。
しかし、しっぽの下がったレトリバーが放った言葉は、まさに青天の霹靂だった。
「でも、最後までやってみるべきですよね?」
人類の進化はトライアンドエラーの連続だった。先人たちが果敢に挑戦し、自己を犠牲にしてまでも前例を作ってくれたおかげで、いまの私たちの生活がある。
ミンギュもまた、作りかけのメレンゲを失い、ボウルを失い、ハンドミキサーを失い、やっとの思いで完成させたメレンゲも失った。そんなエラーの連続だった。その中でもミンギュはこの過酷な環境に適応し、フォークやスプーンを使って懸命にメレンゲを作った。使えるものを探し出す力、使えるものを最大限に活用する力。これは人類の進化の過程そのものではないか。私たちはいま、人類史に残る瞬間に立ち会っているのだ。
水浴びを終えたレトリバーは、その後キッチンへと移動する。ヘンゼルとグレーテルさながら、廊下にボタボタと水滴を落としていくチャーミングボーイである。そして、ちんまりと座りながらゴリ腕でメレンゲを混ぜていく。ほかのメンバーのシーンでも、キッチンに行くと(カショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショカショ…)というBGMが永遠に聞こえる。ぜひ耳を澄ませてみていただきたい。
しばらくするとミンギュは「できた!」と声を弾ませ、カメラに向かって得意げに、頭の上でボウルをひっくり返して見せた。しかし、無惨にもメレンゲがミンギュの頭に降り積もった。
待って。
パフェの完成である。
筆者は、メレンゲを浴びて「フェ~~ン…」と泣くミンギュとは別の涙を流していた。
これはあまりにも食べるしかないだろう。不憫な状況に「フェ~~~ン…」するミンギュよりおいしいものを筆者は未だかつて見たことがない。そこに卵白と砂糖がかかったのだ。全宇宙待望のケミ、通称メレンギュの誕生である。美味しそう。食べる。食べたい。食べます。いただきます。ご馳走さまでした。
そして再びキッチンの隅でカショカショbotと化したミンギュに、ほかのメンバーは「可哀想すぎる」と同情を示し始める。ミンギュの健気な努力は、阻止を阻止したのだ。最後に勝つのは、やはり努力である。努力は我々を裏切らないのだ。
そしてミンギュは再びカメラの前に立ち、メレンゲの入ったボウルを頭の上で裏返した。
「できた!?いま落ちなかったですよね!?」
ついにミンギュはメレンゲを完成させたのだ。
なんということだろうか。筆者の脳内では、オリンピック顔負けの盛り上がりを見せていた。5万人の歓声が脳内に響き渡る。どう考えてもぶっちぎりの金メダルだ。
しかし、主人公に試練は付き物なのである。
なんと、「このメレンゲを制限時間終了の夜11時まで、保ち続けなければならない」という条件が追加で提示されたのだ。
筆者は激怒した。(メロスは激怒した)
コンテンツとして視聴者にだけ後出しをしたのかもしれないが、ミンギュの様子から見るにこの条件は事前に開示されていなかったように思われる。これがバラエティというのとなのかもしれないが、筆者が当事者であれば余裕でイタリアごとブッ飛ばしている。
壁に強く投げたスーパーボールが強く投げた分だけこちらに強く跳ね返ってくるように、なにかに熱意をかければかけた分だけ、壁にぶつかったその熱意は、負の感情としてこちらに強く跳ね返ってくるはずだ。つまり、本来このゲームにこれほど熱意を持って取り組んでいるミンギュにとって、この仕打ちはなかなかのものなのである。しかし彼は、怒ることもなく、拗ねることもなく、諦めることもなく、次々に手を替え品を替え、着実に成功へと歩を進めていく。
イタリアごとブッ飛ばす筆者の心の器の大きさがおちょこの裏とすると、ミンギュの心の器の大きさは宇宙である。月とすっぽんならぬ、宇宙とおちょこの裏である。
この世に彼よりデカいものなどないのだ。この世の森羅万象においては何事も、彼が最大なのである。よって、これを激めろポイントその7 としたい。
さて、ここで箸休めとして、筆者が行ったメレンゲ作り追体験について述べさせていただこう。
ここまで必死にメレンゲを作るミンギュを見て、居ても立っても居られず、メレンゲを作らずには居られなかった。メレンギュを語るには自分もメレンゲ作りを体験すべきである、という結論に至ったのだ。メレンゲを作るとは、いったいどういうことなのか。身をもって体験しなければ、メレンゲ作りの真髄には辿り着けないだろう。
まず、材料は砂糖、卵白のみ。これを混ぜ合わせるというシンプルな構成だ。しかし一応作り方を検索してみると、「砂糖は先に入れると固まりにくくなるので、しばらくしてから数回に分けて入れること」と書いてある。筆者は激怒した。(メロス2)
これは言ってくれないとわからないやつである。
未来と過去どちらに行きたい?と聞かれたら、「未来」と答えていたが、これからは「過去」と答えようと思う。この時に戻って、ミンギュに砂糖はあとから入れるのだと教えたい。(新訳アイラブユー)
筆者も電動の泡立て器は使用せず、ハンドミキサーのみで行った。フォークやスプーンは試してみたが、日が暮れ、夜が明け、令和が終わり、新時代に突入してしまう未来が見えたので、大人しくハンドミキサーにした。スプーンとフォークでも平然と混ぜ続けたミンギュの凄まじさを実感した。
ひたすら混ぜること、ひとまず1分。
腕がちぎれた。
え?これで1分?この運動量で?軽く絶望した。
第一、平らなキッチンですらメチャクチャ混ぜにくい。ミンギュはこれをしゃがんだ状態で、膝の上で行っていた。まじか。
5分経過。ひたすら混ぜているため、がんばらないと目の焦点が合わなくなってくる。瞑想に近いものを感じた。メレンゲ作りとは、自己と向き合い、自己を見つめ直す行為なのかもしれない。
しかし、メレンゲの赤ちゃんはいまだsara saraだ。天の川のように…。ひたすら泡の状態が続く。消えないシャボン玉が見たいのなら、メレンゲを作ることをおすすめする。
そしてなんとか10分経過。ついにメレンゲは固まった。傾ける時に人生で一番緊張したと言っても過言ではない。言いようのない幸福感と達成感が芽生えた。たった10分。されど10分。この10分はどんな10分よりも濃い10分だった。これに水を入れられたり、ボウルごと奪われたりしたら、筆者はこの日の夜のニュースに名前が載っていたと思う。ミンギュのメンタルはあまりにも強靭なのである。
そして、メレンゲ作りを通して、気づいたことがあった。メレンゲが固まるとともに、筆者の両上腕二頭筋も固まったのだ。つまり、メレンゲ作りは筋トレだったのである。料理と筋トレ、彼の得意分野同士がリンクする奇跡の分野が、メレンゲ作りなのだ。メレンゲ作りは彼の得意分野ということになる。メレンゲとミンギュを出会わせてくれた神さまがいるのならありがとうと抱きしめたい_______なのである。
メレンゲを作ってみて、もうひとつ、分かったことがあった。メレンゲは時間が経つと緩くなるのだ。少し目を離した隙に、どんどん平らになっていく。メレンゲと絆を結んだと思っていたのはわたしだけだったのだ。このことから、制限時間40分で行われるメレンゲ作りは、メレンゲを作り終えることがミッションの肝ではないのかもしれない。いかにうまく妨害を交わし、いかにうまくメレンゲを保持するかというところが問われていたのだ。
では、無事メレンゲを作り終えたミンギュは、どのようにしてメレンゲを保持するのか。終盤はそこに着目して論を進める。
まず最初に、彼は冷凍庫での保存を試みた。メレンゲは凍らせてしまうと解凍する際に溶けて分離してしまうらしい。しかし、制限時間は残りわずかであるため、凍る可能性は少なく、もし凍ったとしてもボウルから零れない状態を11時まで保持すれば良いため、これは条件を満たしていると言える。
あとは時間を過ぎるのを待つだけ。のはずだった。
「諦めて洗濯でもしよっと!」と濡れた洋服を洗濯しシャワーを浴びに行った際に、悲劇は訪れた。部屋に置いていたボウルと泡立て器を隠されたのだ。筆者のメレンゲ作り追体験で明記したように、メレンゲは泡立て器がないと、軽く5億年はかかってしまう。
しかし彼は諦めることなく、フォークとスプーンと小さいボウルを使ってメレンゲを作ることをやめない。ここまでで、彼は明らかに鍛えられている。今までの試練のおかげで、こんなことでへこたれてたまるか❗️の"こんなこと"のハードルが異常に高くなっているのだ。
ミンギュがキッチンにいるため、邪魔をしにくるメンバーたちもキッチンをうろうろする。おもむろに冷蔵庫を開けたメンバーが、冷凍庫のメレンゲを見つける。自然な流れだった。
「終わった!」とミンギュは初めて弱音を吐く。ボウルと泡立て器を隠されても平気だったのは、この冷凍メレンゲがあったからだろう。「僕は最善を尽くしたよ…」と諦めモードに入ったレトリバーはか弱い鳴き声をあげていた。画面のこちら側の筆者はそんなものではない。阿鼻叫喚である。時間を待つという行為をする人間に、時間の神さまは不平等だ。「実は時間って平等じゃないんだ」この歌詞の意味を本当の意味でようやく理解した。
諦めモードに入りながらも、作っていたメレンゲを完成させた。スプーンとフォークで。しれっと完成させているが、正気の沙汰ではない。この35分の間に、ミンギュは明らかにメレンゲ職人になっていた。
ミンギュはそれを冷蔵庫の上に置いてあった秤の上に隠した。身長2mの彼が腕を伸ばして置いた先は、地上5mの高台だ。だれにも見つかるまい。筆者はホッと胸を撫で下ろし、安心し切っていた。
残り5分。
リビングではメンバーが集まり、それぞれのミッションを振り返りながら談笑している。
しかし、メレンゲ捜索の魔の手がキッチンへと伸びていた。頼む、見つかるな。推理小説ばりのスリルだった。手に汗握る展開とはこの事だ。心拍数はゆうに200を超えていた。
しかし無惨にも、メレンゲは見つかってしまった。
その絶望たるや。呆気なかった。ミンギュのように筆者もまたなにを言うでもなく、メレンゲに水が入れられるのを眺めていた。本当にショックな景色は、ドラマのようにスローモーションにはならない。自然の摂理かのようなスピードで呆気なく終わっていく。薄まったメレンゲが流れていく様をただ眺めていた。
しかし当の本人は、不貞腐れることなく、どうせなら分量くれない?とメンバーたちの前でチャレンジ失敗を認める。そして、残りあと何分?2分ある?やれるだけやってみる!と、まだ諦めない。残り10秒のカウントが入る中、懸命に混ぜ続ける。ゴールテープを切るのを見守られる感動の最後だ。筆者もカウントダウンをした。みな平等に迎えるはずのゴールの瞬間に主人公になるミンギュは、とても愛されている_______
和やかな気持ちになったのも束の間だった。励ましにきてくれたと思ったメンバーに華麗に水を入れられ、11時ちょうどに、メレンゲはジャバジャバになった。制限時間の40分が、終わった。
目を開けているのに目の前が真っ暗だ。なぜだろうか。ミンギュが作ったメレンゲは、筆者にとってこの世の希望だった。もう元に戻ることのないメレンゲに、現実を思い知った。現実とは、こんなにも容赦がないものなのか。筆者はそこで再生を止め、ひたすら宙を眺めていた。
隣で見ていた筆者ママがおもむろに「この子、な〜かなかにいい男だね」と呟いた。ハッとした。これが全てである。
以前バラエティー番組で、「やるかやらないか迷ったら」という質問に無条件にゴー!と答えていた。メレンゲ作りにはそれが顕著に現れていた。これまでに数々の激めろポイントを挙げたが、激めろポイントとは結局、何事にもまず取り組むというこの姿勢に集約される。
努力は君を裏切らない
中高生のころ通っていた塾の壁に貼られていた文言だ。講師になってからも目にしていたため、約10年間知らず知らずのうちに刷り込まれ、筆者の根幹には少なからずこの精神がある。ミンギュのメレンゲ作りを通して、この文言を思い出した。努力は本当に裏切らないのか。
筆者の答えは依然としてYESである。そして、この問題を考える上で重要なのは「なにをもって裏切るというか」という点である。
ただ単にミッション成功/失敗がその尺度であるならば、努力は裏切ると言えるだろう。ミンギュが苦労して混ぜ続けた卵白と砂糖は、メレンゲにはならなかった。しかし、メレンゲ作りはミンギュの魅力が最大に発揮された場面だった。諦めることなく、地道な作業をし続け、不貞腐れることなくミッションを遂行した。このミンギュの姿にどれだけ多くのカラットが心を打たれただろうか。彼の功績は大きい。
結果なんかじゃなくて、がんばった過程が大事なんじゃん☆
そんな甘っちょろいことが言いたいのではない。第一、彼は結果が求められる厳しい世界で生きている。その彼が結果を邪険にするはずがない。結果に拘らなかったら、あんなに頑張れるはずがない。結果に拘ってきた人だからこそ、結果が出ないこともあるということも知っているのだろう。画面のこちら側で明日のジョーになった筆者とは反対に、彼はあっけらかんとしていた。
結果への執着と、現実の許容。彼はこのバランスが黄金比なのだ。これを世間ではバランスの取れた人と呼ぶのである。彼は結果という外的要因に支配される側ではなく、何事にも彼がイニシアチブを握っているのだ。つまり、何事も自分のものにするのがうまい。結果よりプロセスが大事だと、思わせる。結果とミンギュの努力を天秤にかけた時、なぜかミンギュの努力の方が重くなるのだ。絶対的であるはずだった結果が、彼の前には霞むのだ。それほどに彼の努力は、凄まじいのである。凄まじいほどに労力を割くのである。そしてそれを可能にする気力と体力の持ち主なのである。
このような文脈で、努力はミンギュを裏切らなかった。よって、努力は裏切らないと言えるのである。
ここまで、メレンゲ作りから見るミンギュの魅力について考察を行った。このメレンゲ作りは、可愛さ、積極性、根性、ポジティブさ、愛嬌、筋肉、忍耐力、心の広さ____。ミンギュの魅力がすべて詰まったコンテンツと言っても過言ではない。メレンゲ新規、という言葉が誕生してもおかしくないだろう。筆者がここでミンギュを初めて知ったとしたら、間違いなくメレンゲ新規になっている。それほどに、ミンギュのおたくにとっては非常に重要なコンテンツであると感じる。「ミンギュのどういう所が好き?」と聞かれたら、意識をすべて集約させ、一言入魂の精神で「顔」と答えていたが、「詳しくはNANATOUR ep3-4~4-1で」も付け足そうと思う。
筆者は理想の結婚相手の条件として、「無人島で生き延びられそうな人」を挙げている。ポジティブさと計画性、気力と体力、頼もしさとかわいさ、許容力と忍耐力を持ち合わせている彼は、まさに理想そのものである。15年間無人島で生き続けた某モクハ顔負けの生命力である。やるか迷ったらやる、やると決めたらやる、やらなければならないならやる、やって解決するならやる。彼のこの哲学は大変めろい。そして言うだけではなく、今回のコンテンツのようにそれを体現する言行一致の人なのである。よって、「ミンギュほんとにけっこんしたい」を本論文の結びとする。
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