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【読書メモ】入門!システム思考

2023.11.11


1. 読もうと思ったきっかけ

多摩美術大学 TUBでシステミックデザイン関連の図書の中にあった一冊。まずはシステム思考について全体像をつかみたかったので図書館で借りて読んでみた。

2. 全体の感想

課題解決する時に、個別ではなく、全体(つながり)を見る。短気でなく中長期で見るということ、それが構造、システムで考えるという意味で、「システム思考」だということがわかった。1950年代からある考え方というのもあり、目新しい感じはしないけれども、実感としては大事だということはわかる。

一方で、どう実践していくかというところで、ツールとして「時系列変化パターングラフ」「ループ図」なるものが出てくるのだけど、これが平面的で、変数もしぼってるように感じられて、システム思考を体現できているのか疑問は残った。今の時代だともう少しツールを駆使して見やすくできそう。

気になる点としては、「システム思考」で検索をかけると、ビジネス系のページが多く出てきて、学術的なものとは少し違うのかなと。その辺りは自分の好みとは少し違うかもしれない。システム思考についてはこのコンサル?会社のページに詳しく紹介されている。

https://www.change-agent.jp/systemsthinking/index.html

システミックデザインの理解という部分で、全体(のつながり)を見ることや循環(パターン)の理解の重要性などシステム思考の考え方は理解するのにちょうどよかった。
あと、システム思考7ヶ条なるものがあって、その1として「人や状況を責めない、自分を責めない」というのがあり、これ自体が理論的かどうかはさておき、悪いことの原因を個人に落とし込まないという部分は好感がもてた。そこはシステム・構造が原因なんだというのはよい態度だと思った。

3. 読書メモ

第1章 いろいろな方向から見れば

・目の前にある問題を個別の要素に分類・分析していき、その要素を変えることで問題の解決を考える従来ながらの方法を「分析的思考」と呼ぶ。そして多様な視点から全体を理解し、要素の関係や組み合わせから問題解決を考える方法を「システム思考」と呼ぶ。(p.31)

第2章 二つの「考える」方法

・現実世界では、全体を見ようとして行動している自分も、実は全体の中の一つであり、自分の体をはずして全体を観察することはできない。全体を理解するには、行動を通して、かつ周辺の理解をつなぎ、そして積み上げていくしか方法がないのである。(p.54)

・私たちは自らの思い込みで現実の世界を見ていることがある。その思い込みと、見えていることが異なっている場合、見えているものが「おかしい」と思ってしまう。

・問題を解決するための方策をとったのに、なぜ新たな問題が起こってしまうのだろうか?それぞれが自分の目の前にあることだけを見て、問題を解決するために分析的思考から行動しているからである。全体像を理解することなく、目の前のことだけで、「これが問題だ」と思い、目先のもっとも有効だと思える解決策に走ると、結果として新たな問題を引き起こしてしまうのである。(p.62)

第3章 システム思考を理解する

・システム思考のアプローチは次ページのイラストのような「氷山モデル」に表すことができる。私たちが目にして一喜一憂しているできごとは、海水面にういている氷山の一角だと考える。そして、多くの場合、よく見るとそこにはパターンが存在する。(p.73)

システム思考の基本ツール①時系列パターングラフ
システム思考の重要な特徴は、できごとを単独でとらえるのではなく、時間の経過に伴うパターンとしてとらえることにある。(p.76)

「時系列変化パターングラフ」は縦軸に、増やしたい、または減らしたい変数をとり、横軸には過去から未来への時間軸をとる。そして、そのグラフの上に「いままで」「このまま」「望ましい」の三つのパターンを書き込むのである。(p.80)

システム思考の基本ツール②ループ図

・私たちは意識していようといまいと多くの場合、「状況→認知→行動」という因果の流れで行動しているのだ(p.82)

・「行動」は「状況」を変化させ、その変化した「状況」がさらに「行動」を変化させる循環の構造になっている(中略)この循環を「フィードバック・ループ」、略して「ループ」と呼ぶ(p.82)

・フィードバック・ループには二種類しかない。変化をどんどん強めていく力が働く「自己強化型ループ」と、変化を安定に向けて均衡させる力が働く「バランス型ループ」である。

「今日の問題は、昨日の解決策から起きている」
ある問題を解決しても、その解決策のせいで別の問題が起きてしまう

・繰り返し同じ問題が起こるとき、もしくはいくら取り組みをしても解決しないとき、それは構造に問題があるとシステム思考では考える

・「解決のツボは問題から一見遠くにあることもある」
・「問題はパターン構造が引き起こしている」
・「人を責めない。自分を責めない」

第4章 システム原型の紹介〜望ましいパターンを生み出すために〜

・構造には分野にかかわらず共通して見られるいくつかのパターンがある。システム思考ではこの共通して見られる基本パターンを「システム原型」と呼んでいる。

システム原型をビジネスの文脈にまとめなおしたのが、システム思考や「学習する組織」の第一人者であるピーター・センゲらである。

  • 遅れのある調整

  • 成長の限界

  • 問題のすり替わり

  • 外部者への依存

  • ずり落ちる目標

  • エスカレート

  • 強者はますます強く

  • 共有地の悲劇

  • うまくいかない解決策

  • 卵かニワトリか

・システム原型は、システムの罠に陥っている状況を、パターンや構造から診断し、罠から抜け出すために有効なツール

第5章 システム思考を使って行動する

・社会システム全体を変えていくために、私たちに求められている最も重要なことはコミュニケーションとネットワークの力である(p.142)

・熱い気持ちを持続できる期間は人によって違うが、普通は数週間から数ヶ月程度と考えた方がよい。(中略)熱い気持ちに頼らない仕組み、自分を動かし続けることができる仕組みを作ることである。(p.158)

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