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英語になった日本語

たまたま見つけたこちらの記事。

「日本語由来の17個の英単語)」

メリアム・ウェブスターは辞書の出版で有名なアメリカの会社です。

Ninja、Sukiyaki、Sushi、Tsunamiなどかな~と思って読んでみれば、結構意外な内容でした。

リストアップされていたのは、以下の単語です。

Tycoon (タイクーン)…現代英語では「政財界の有力者、大物」という意味。1854年の開国後、初代アメリカ総領事として日本にやってきたタウンゼント・ハリスが世俗権力のトップとしての将軍の正式名称を「大君」と考えたことから英語の仲間入り。元々は中国語からの借用語。

Honcho(ホンチョウ)…「トップ」、「チームリーダー」の意味。日本語の「班長」から。第二次大戦中、日本で捕虜となっていたアメリカ兵たちが覚えて使うようになったのが始まり。同じ意味で「head honcho」とも言います。同じ頭文字の単語を並べる頭韻法(アリタレーション)は英語話者の大好物ですから。

Kudzu(クズ)…葛。ローマ字の綴りと違うので注意ですね。19世紀末に園芸用植物としてアジアからアメリカに輸入された後、土砂崩れ防止のために土手などに植えられアメリカ南東部に広がりました。繁殖力が強いので、今はちょっと迷惑がられている雑草です。葛湯や葛まんじゅう、おいしいですけど、アメリカの人たちは食用にはしないようですね。でも、葛まんじゅうはインスタ映えしそうだから、数年後に流行っていたりするかもしれませんね。

Skosh(スコッシュ)…「少し」の意味。戦後、日本駐留のアメリカ兵から広まったそうです。「I'm a skosh tired.(少し疲れた)」のように「little bit」の代わりに使うようです。

Ramen(ラーメン)…麺類のラーメンです。手柄を横取りしたみたいで中国人に怒られそうです。

Futon(フ-トン、右下がりに読みます)…お布団のこと。欧米人はたぶん、この単語に敷布団のイメージを持っていて、「futon mattress」と使われることが多いように思います。バネ入りの固い西洋のマットレスと違って、折りたたんだり、丸めたりして収納できるのがメリットですね。掛け布団は「quilt(クイルト)」やイギリス英語だと「duvet(ドゥーベイ)」を使います。

Sudoku(スゥドーク、「ド」にアクセント)…数独パズル。

Rickshaw(リックショー)…人力車。アジアの名物のようなイメージですが、今はアメリカのいくつかの都市でも見られるんだそうです。在米の方、本当ですか?(半信半疑)

Hunky-dory(ハンキードーリー)…「最高にいい」、「万事上々」といった意味。
「hunk」は今は廃れてしまったニューヨーク方言で「家」のこと。元々はオランダ語です。それが形容詞化して「hunky」となり「悪くない」とか「なかなか良い」という意味で使われるようになったそうです。
なぜオランダ語かって?ニューヨークに最初に植民した白人はオランダ人で、その頃はその名もニューアムステルダムだったことを考えれば、「なるほどなるほど」と腑に落ちる気がします。
さて、日本語と関係ある(かも、真相は不明)とされているのは、後ろ半分の「dory」。19世紀末頃、日本に滞在中のアメリカ人船員たちに人気があった一帯があり、そこから「ハンキーなストリート」→「ハンキー通り」→「hunky-dory」となったのでは、と言われているそうです。そんなバナナ。

余談ですが、この「hunky-dory」は1971年発売のデヴィッド・ボウイのアルバムとしてご存知の方も多いかもしれません。
私はこのアルバム中の「Life on Mars?」という歌が好きなんです。
イギリスに来るまでボウイは好きでも何でもなかったのですが、移住して間もない2006年にこの歌からタイトルを取ったBBCドラマが始まり、そこで耳にしてから好きになりました。
ドラマの内容はというと、交通事故で2006年の現代から1973年にタイムスリップしてしまった刑事が、カルチャーショックなどを感じながら過去の世界でも刑事をやるというSF刑事ドラマで、放映当初からかなり評価が高かったように記憶しています。日本でも『時空刑事1973 ライフ・オン・マーズ』という題名でアマゾンで見られるようです。70年代当時の流行りの音楽もたくさん使われているので、海外ドラマのファンだけでなく音楽好きも楽しめるかも?


さて、メリアム・ウェブスターの記事に話を戻します。

残りは割と予想どおりのAnimeMangaOrigamiYakuzaTankaHaikuSenryuSushiなどが続きます。

残りの分で取り上げる価値があるのはこの二つでしょうか。

Ginkgo(ギンコウ)…銀杏(いちょう)。ぎんなんは「ginkgo nuts」です。これもローマ字綴りとは違うので注意が必要ですね。サプリや健康食品好きの欧米人には割と知られていると思います。

Emoji(イモウジ)…絵文字のこと。昔からあった ;-)  や  ( ͡° ͜ʖ ͡°) のようなエモティコン(emoticons)の画像版です。偶然にも同じ「エモ」の音で始まっていて、感情(エモーション)の表現方法の呼び名として英語話者に受け入れられやすかったのでは、と想像します。

記事からは以上です。

私は「『Typhoon(タイフーン、台風)』も日本語由来じゃないの?」と思ったのですが、実は違うんですって。
『語源由来辞典』や他いくつかのサイトによりますと、日本ではもともとは「野分(のわき・のわけ)」、気象用語では「颶風(ぐふう)」。
それが明治時代末に中央気象台長によって「颱風(たいふう)」となり、当用漢字の制定に伴い1946年に「台風」となったとのことです。
日本語の「颱風」の語源は、中国の方言の「大風(タイフーン)」から。英語の「Typhoon」は、中国語の「大風」とアラビア語の「tufan(暴風雨、洪水)」がアラブ商人によって混ざってできたというのが有力な説らしいです。ギリシャ神話の風の神「typhon(テュフォン)」からという説も。
いずれにせよ、日本語オリジナルではないということですね。

言葉が伝える人の移動の歴史って面白いですね。


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