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死にまつわる歴史トリビア

(死刑の描写などが含まれています。苦手な方はご注意ください。)


私の10歳の娘が本を読まないと以前に愚痴をこぼしたことがあります。
あいかわらず物語に興味がないようなので、実話系はどうだろうと思い、子供向けの「死」にまつわる歴史トリビアの本を図書館で借りてみました。
…すると食いつきました。ホラーゲームが好きな子なのでいけそうな予感はあったのですが大当たり。

エジプトのミイラや湿地遺体、世界の納骨堂や霊廟、各地の死神や死者のお祭り、昔の埋葬方法に拷問道具、怪死、変死、猟奇事件、etc。私が読んでも面白くて、二人で毎晩、ストーリータイムを楽しんでいます。

特に印象に残ったものをご紹介。

人皮装丁本(にんぴそうていほん)…その名の通り、人の皮をなめして作った本。見た目は普通のレザーと見分けがつきません。本書で取り上げられているのは、19世紀イングランドで起きた「赤い納屋殺人事件」の犯人の皮で作ったもの。本の中身は彼自身の裁判記録の写しだそうです。皮革職人さんは嫌だっただろうなぁ。それとも他の動物を扱うのと大差なかったのでしょうか。

・有名なバーボンウイスキーを作ったジャック・ダニエルさんの死因は、金庫が開かないことに腹を立てて蹴っ飛ばした時に足を怪我し、それが元で敗血症になった結果だそうです。とても親近感を覚えました。

・私の謎・不思議事件好きは年季が入っているので、すでに知っている内容も多かったのですが、それでも読むたびに戦慄を覚えるのは、1959年にソ連のウラル山脈で起きた「ディアトロフ峠事件」
雪山スキー・ハイキングをしていた9人のグループが遭難、後に全員が遺体で発見されたのですが、肋骨や頭蓋骨が折れていたり、舌や眼球が無くなっていたり、また雪山にもかかわらず服を脱いでいる遺体や放射線の被ばくが確認された遺体などがあり、あまりの不可解さに世界が震撼したといいます。

長らくミステリーのままだったこの事件を近年になって科学的に解明しようと試みた地盤工学者の方の記事がネットにありました。

ただ、残念ながらこの方々の研究論文も「合理的な説明」であるだけで、真相は確かめようがないということのようです。そして陰謀論は続く…。


ところで、論文の著者の一人、アレクサンダー・プズリン氏について面白いことが記事に書かれています。

この科学研究はプズリン氏のロシア人の妻からも応援された。「ディアトロフの謎を解いているんだと妻に言ったら、初めて私を心から尊敬するまなざしで見てくれました」と氏は振り返る。

(日経電子版「ナショジオニュース」より引用)

真面目な記事にステルスで紛れ込む自虐ユーモア…。
ディアトロフ事件は不気味で怖いですが、これを読んで何だかほっこりしてしまいました。



*トップ画像の本のタイトル「HUNG, DRAWN & QUARTERED」は昔のイングランドの死刑のことです。国王に対する反逆罪で捕まった罪人は、まず刑場まで馬でひきずられ(drawn)、それから死ぬ寸前まで首を吊られ(hung)、次に内臓を抉り出され(時には眼前でそれを燃やされ)、それから四つ裂きにされ(quartered)、そして最後にバラバラになった頭や体を見世物にされたということです。副題の「History's Gruesome Bits」は「歴史上のグロいこぼれ話」といったぐらいの意味です。


ありがたくいただきます。