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円の下落が止まりません!

先日から投稿してきた人形劇について、
新たに第4シリーズを以下、記載したいと思います。


本作は、

オープニング
   ↓
メインキャラ4人のコーナー
   ↓
エンディング

という形で、1つの回を構成していく前提で考えています。




今回は、メインキャラ4人のコーナーの1つ目、
「ハバネロ姉さんの『行ってみろ!やってみろ!』」をお送りします。


<人形劇 登場人物>


・もんじゃ姫

 →本作の主人公。
  頭の上にもんじゃ焼きが乗った、ぼんやりしてて空想好きな女の子。


・さばみそ博士

 →頭の上にさばの味噌煮が乗った、
  語りたがりで、ついウィットに富んだことを言おうとする男の子。


・ハバネロ姉さん

 →メインキャラで唯一の突っ込み役。唐辛子の髪飾りを着けていて、
  ピリッとした性格で、行動的な姉御肌。


・ブルーハワイ兄貴

 →頭の上にブルーハワイのかき氷が乗った、
  きれいなお姉さんが大好きな、能天気で自由な大柄の兄ちゃん。





~ハバネロ姉さんの「行ってみろ!やってみろ!」~


都心の街中に集められた3人。





「今日はこんな大都会に呼び出されて、一体何なんだよ」


そうボヤくのは、頭にかき氷が乗ったお調子者、ブルーハワイ兄貴。


「ウィンドウショッピングで、秋物の服とか買いに行くのかなぁ」


絶対に当たることの無い大予言を毎回残すのは、


頭にもんじゃ焼が乗ったぼんやり娘、本作の主人公・もんじゃ姫。


「設定した集合時間と、姉さんの時計には


おそらく時差があるんでしょうな」


友人の時間感覚に対し、やんわりと苦言を呈するのは、


頭にさばのみそ煮を乗せた、心優しきはんなり王子、さばみそ博士。






「おう、お前ら全員、時間通りに集まってるなー」


最後にズカズカと歩み寄ってくるのは、唐辛子の髪飾りを付けた、


泣く子も黙る激辛クイーン、ハバネロ姉さんである。


博士「今日は我々、集合時間の30分前に集まり、


   姉さんをお待ち申し上げておりました」


口を突いて出るのは、丁寧な言葉かのように聞こえる


やんわりとした嫌味ばかり。


兄貴「こんな人込みで30分も立ちっ放しじゃ、もうすっかりシナシナだぜ」


もん「今日は皆で、秋服でも見に行くのー?」


この田舎者4人で都心をウィンドウショッピングなど、目も当てられない。






姉さん「お前ら、こないだの博士が紹介した小説覚えてるか?」


急な姉さんからの問いかけに、ポカンとした顔の兄貴ともんじゃ姫。


兄貴「何か、JKがキャンプ行くヤツ?」


姉さん「それはアニメだろ!」


もん「えっと…、OLさんが"定時で帰ります"とかいうの?」


姉さん「それはTBSのドラマ!」


博士「皆さん、私の話も多少は覚えてて下さっているんですね」


過去に勧めたアニメやドラマのことが、物覚えの悪い彼ら2人の


口から出たのを聞き、何とも言えない嬉しさを感じている博士。






姉さん「博士がこないだ紹介した『農ガール、農ライフ』の作者、


    垣谷 美雨 先生の著書『老後の資金がありません!』が、


    色々あって1年位伸びた末、ようやく公開に漕ぎ着けたので、


    せっかくだから今日は、その映画を皆で観に行くということだ」


兄貴「あー、凄ぇ世知辛い話を書いてる先生、そういや言ってたな」


博士「それがまた、垣谷先生の味でもあります」


もん「映画館行くの久々だし、楽しみだなぁー」






姉さんに連れられ、とある映画館へと向かう一同。


兄貴「年季入ってるなー、この映画館」


一同が到着したのは、往年の日本映画ファンに愛された老舗の映画館。


係員にチケットを渡して、地下に降りると、


シアターすぐ外の売店を見て、そのメニューの少なさに驚く一同。


もん「凄い!ポップコーン塩味とオレンジジュースしかない!」


博士「シンプルイズベストですな」


姉さん「ここ来る年代層が、キャラメルポップコーン食いながら


    コーラは飲まんだろ」


ポップコーン2つとオレンジジュース4つを購入し、シアターに入る一同。






いよいよ、上映開始。


「老後の資金がありません!」を2時間堪能(以下、ネタバレ注意)。






もん「天海祐希さんだー!」


   あっ、旦那さんは"孤独のグルメ"の人かなー」





もん「友近さん、演技上手いなぁ」


兄貴「つーか、葬儀費用高ぇー」






博士「この景色は、港北ニュータウンですかな」


もん「眺めの良い所だねぇー」





もん「アハハハハ、餃子の歌面白いー!」

兄貴「稲中卓球部みたいな顔してんな、この人」





もん「えぇー!ここで、まさかの三谷幸喜ーっ!?」


姉さん「(小声で)静かに見ろ、アホ!」





最後は、氷川きよしのエンディング曲を聴きながらエンドロールを見送り、


大満足でシアターを後にする一同(ネタバレタイム終了)。





喫茶店に向かって、ぶらぶらと都心の街並みを歩く。


姉さん「博士に勧められた『農ガール、農ライフ』も面白かったけど、


    今日の『老後の資金がありません!』も、


    1年待っただけのことはあっただろ」


もん「面白かったー!映画なんて行くの、凄い久しぶりだったし」


兄貴「ポップコーンがあの量、一瞬で無くなったのも驚いたぜ」


もん「そんなに早く食べてないっ!」


博士「いやしかし、皆さんに小説を紹介した甲斐があったというものです」


姉さん「ラストシーンがまた良かったな。


    人には、色んな生き方があるってもんだ」


兄貴「姉さんも昔から、法や免許に縛られず自由に生きてたもんな」


姉さん「語弊のある言い方すんじゃねぇ!」


焼きたての餃子よりも熱い蹴りが、


尻の割れ目に刺さり「ウッ」と悶絶する兄貴。






博士「冠婚葬祭やご家族の為の出費があれだけかかるものだと知ると、


   結婚して家庭を築くという一般的なライフプランが、


   いかにハードルの高いものかを、改めて感じさせられますな」


もん「そうだよねぇ。それでいて、さらに老後は2,000万必要なんでしょ?」


姉さん「頑張って貯めたとて、円高で円の価値も急激に下がってるからな」


兄貴「もうこうなったら、徳川埋蔵金でも掘り当てるか」


姉さん「糸井重里と一緒に、一生掘り続けてろ」


もん「でも、お金がそんなにたくさん無かったとしても、

   人との繋がりで幸せに生きていく方法もありそうだけど…」





映画のラストシーンで見た、登場人物達の弾ける笑顔が、


もんじゃ姫の頭に残っていた。




博士「まさに、仰る通り。


   大事なのはお金の"円"ではなく、…人の"縁"ということですな」






そこそこ良いことを言った博士であったが、


丁度お目当ての喫茶店に到着し、


もんじゃ姫の「わー、可愛いお店ーっ!」という感嘆の声に、


儚くもかき消されたのであった。





~ハバネロ姉さんの「行ってみろ!やってみろ!」 終わり~

その100円玉が、誰かの生きがいになります!