東京で初めてのライブ
先日から投稿してきた人形劇について、
新たに第5シリーズを以下、記載したいと思います。
本作は、
オープニング
↓
メインキャラ4人のコーナー
↓
エンディング
という形で、1つの回を構成していく前提で考えています。
今回は、メインキャラ4人のコーナーの1つ目、
「ハバネロ姉さんの『行ってみろ!やってみろ!』」をお送りします。
<人形劇 登場人物>
・もんじゃ姫
→本作の主人公。
頭の上にもんじゃ焼きが乗った、ぼんやりしてて空想好きな女の子。
・さばみそ博士
→頭の上にさばの味噌煮が乗った、
語りたがりで、ついウィットに富んだことを言おうとする男の子。
・ハバネロ姉さん
→メインキャラで唯一の突っ込み役。唐辛子の髪飾りを着けていて、
ピリッとした性格で、行動的な姉御肌。
・ブルーハワイ兄貴
→頭の上にブルーハワイのかき氷が乗った、
きれいなお姉さんが大好きな、能天気で自由な大柄の兄ちゃん。
~ハバネロ姉さんの「行ってみろ!やってみろ!」~
中目黒5丁目の夕暮れに佇む3人。
「今日はまた、こんな夕方に呼び出して何なんだよ」
そう毎度のことボヤいているのは、綺麗なお姉さんと
ムフフなビデオをこよなく愛する、お調子者のブルーハワイ兄貴。
頭に乗ったブルーハワイのかき氷が、夕焼けに照らされている。
「近くのハンバーグのお店で、ディナーでもするのかなぁ」
何度待たされても、その目的を言い当てることが出来ない彼女は、
本作の主人公で、いつもぼんやり腹ぺこ娘のもんじゃ姫。
「我々は毎回、フランス人と待ち合わせをしているのでしょうか」
絶対に集合時間に姿を見せない友人を、ウィットに富んだ例えで
皮肉っているのは、知性溢れる人生の哲学者、さばみそ博士だ。
「おーっす、お前らちゃんと今日も集まってるなー」
必ず最後に現れるのは、唐辛子の髪飾りが目印、
唯我独尊・ピリ辛姉御肌の、ハバネロ姉さんである。
兄貴「姉さんが来るまで、中目黒の夕日が随分下がってくのを眺めたぜ」
博士「時間と言うものの価値を、姉さんにはいつも考えさせられますな」
もん「今日は、どこのハンバーグ屋に行くのー?」
到着した姉さんに、三者三様の言葉を投げかけられる。
姉さん「東京に来ては、いつもブツクサ言ってばかりのお前達に!
今日は、"東京で初めてライブをする"という、
ある女性歌手の初舞台に、立ち会ってもらおうか!」
もん「東京で、初めてのライブ?」
博士「今日は、そういう趣旨の集まりなんですな」
兄貴「女の初めてか…、それもまた悪くないな」
姉さんに連れられて辿り着いたのは、ちょっと大人の空気が漂う、
お洒落な雰囲気のライブハウス。
店の看板には「shiro & HA〜HA」と記されていた。
姉さん「今日の主役は、この『HA~HA』さんという、
沖縄在住の女性シンガーソングライターだ」
もん「へぇー、沖縄からはるばる東京まで…」
博士「なるほど、それで今日が"東京初ライブ"という訳ですな」
兄貴「"めんそーれ、東京へようこそ"って言ってあげたいねぇ」
姉さん「いつの間に東京人になったんだよ」
ライブが始まるまでの間、カウンターでワンドリンクを注文する一同。
そうこうしている内に開演時間が近付き、ようやく到着したのか、
控室からではなく、ライブハウスの入口から今日の主役がお目見え。
姉さん「あの女性が、今日東京デビューを果たす『HA~HA』さんだ」
もん「わぁ、凄い綺麗な人なんだね」
博士「実に美しい方ですな」
兄貴「彼女は期待できそうだね」
姉さん「どこのプロデューサーだ、お前は」
彼女が控室に入り、ギターを持ってステージに上がると、
いよいよ緊張の、東京初ライブが開演となった。
HA~HAさんの紡ぎ出す優しい歌詞と、美しい歌声。
いつしか観衆達は、彼女の初ライブを静かに堪能していた。
数曲を歌い終え、一旦控室へと引き上げていく彼女に拍手が巻き起こる。
もん「とっても素敵…」
姉さん「初めての東京ライブとは思えなかったな」
博士「音楽は突き詰めていくと、実はとてもシンプルなものなんですな」
兄貴「初めてにしては、悪くないパフォーマンスだったな」
姉さん「さっきから誰なんだよ、お前は!」
HA~HAさんがひとまず休憩に入る間、続いて現れたのは、
往年のフォークユニット『shiro』の3人。
ボーカルの宮原芽映さんは、デビューから40年以上に渡り活躍している、
福岡県出身の女性シンガーソングライター。
姉さん「宮原さんは、舘ひろしの名曲『泣かないで』の作詞もされた方だ」
博士「サラッと、凄い大物歌手の方が登場ですな」
もん「東京デビューを支えてくれる、心強い先輩方なんだね」
兄貴「煙草を消し忘れたり、チャイニーズティーが好きな人なのかな」
姉さん「歌詞そのまんまの人じゃないだろ」
歌い出す前の宮原さんのMCは、実に印象的な一言だった。
「ここ中目黒は、今から5分間だけスペイン…」
そう言って始められた演奏は、本人作詞作曲の「アンダルシア」という曲。
今から30年以上前にリリースされた不朽の名曲。
ギターの丹波博幸さん、窪田晴男さんの2名による演奏も実に情熱的。
異国の風が、中目黒のライブハウスに吹きこんできたようだった。
もん「まさに、情熱の国スペインって感じの曲だね」
博士「異国を旅する女性の、揺れ動く想いが綴られた歌詞ですな」
兄貴「俺の心を、猛牛とスパニッシュオムレツが駆け抜けて行ったぜ」
姉さん「スペインの引き出し少な過ぎだろ!」
ライブ終盤は、再びHA~HAさんも合流し、
Shiroの3人の演奏で、松田聖子の「SWEET MEMORIES」を歌うなど、
珠玉のライブが数曲に渡って続けられた後、
彼女の初東京ライブは、無事に閉演を迎えた。
大満足で会場を後にする一同。
姉さん「今夜は、お楽しみ頂けただろうか」
もん「とっても素晴らしかった。聖子ちゃんのカバーも良かったなぁ…」
博士「まさにとろけるような、美しい歌声の方でしたな」
兄貴「東京のミュージシャンには無いものを、彼女は持っていたね」
姉さん「どこの業界人ですか、あなたは」
もん「後でCDも買って、また聴き返したいな…」
はるばる沖縄から、東京初舞台を終えたHA~HAさん。
彼女がライブで見せた「初めて」は、
むしろ東京の人々にとっての「初めて」だったのかもしれない…
~ハバネロ姉さんの「行ってみろ!やってみろ!」 終わり~
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