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そばにいる大人の存在

前回の最後に、子どもたちの学びの場に欠かせないのが、そばにいる大人の存在だということを書きました。

なぜ、自然豊かな環境なのか

今回は、その点について書きたいと思います。


子どもたちが遊んでいる時、1人の子(A児とします)が別の子(B児とします)を叩いて、B児が泣いたとします。みなさんはどんなことを思い、どんな声かけをしますか?おそらく、A児に「叩いちゃダメでしょ」と言い、泣いたB児がかわいそうだと思うのが一般的ではないでしょうか?そして、A児は悪いことをした、あるいは悪い子だと評価したりするのではないでしょうか?

では、なぜ、A児はB児を叩いたのでしょう?きっと理由があるはずです。例えば、A児が叩く前に、A児が嫌がることをB児がしたとか、A児が使っていたものをB児が勝手に取ったなど、嫌な思いをしたからその仕返しとして嫌な思いをさせようとしたというようなことは、想像しやすい理由でしょう。でも、実際には、もっと違うケースがたくさんあります。例えば、登園前に親に怒られてむしゃくしゃしていたというような八つ当たりの場合もあります。さらに、普段子どもと接する機会が少ない方は想像もつかないかもしれませんが、B児と一緒に遊びたくて叩いたという場合もあります。大人からすると、叩かれた子と一緒に遊びたいと思う訳がないのに、なんでそんなことをするんだろうと思ってしまうことでしょう。

このように行動の裏には必ず「気持ち」があります。うまく言葉にできない気持ちや、本人でもよく分からない気持ちなどもありますが、もし、そばにいる大人がその「気持ち」を分かればそれによって声かけや対応が変わってきます。だから、私たちは、まずA児に「どうしたの?」「怒っているの?」「何か嫌なことあった?」というように声をかけるようにしています。

これは、子どもたちの「やりたいこと」をサポートする時にもあてはまります。例えば、広場で虫網を振り回している子がいたら、まずは虫捕りをしたいのかなと思うでしょう。でも、実際は、虫網を振り回した時に手に伝わる空気の感触を楽しんでいるのかもしれませんし、虫網を振り回した時にビュッビュッと鳴る音を楽しんでいるのかもしれません。その子が何を楽しんでいるかによって声かけが変わってくると思いませんか?

「気持ち」と同じように目に見えない好奇心や関心は、一歩離れたところでずっと子どもの様子を見ているだけではなかなかキャッチできません。そのため、私たちは、よく子どもたちの活動に入り込み、一緒に考え、一緒に楽しんでいます。そして、この子はいったい何を考えているのだろう?何を思っているのだろう?と関心を寄せながら関わり、キャッチした好奇心や関心に応じて、声かけやサポートを行なうのです。それが気持ちに寄り添う関わりです。

このように、私たちは、子どもたちの学びの場で、子どもたちの好奇心や関心から始まる「やりたいこと」をサポートするためには、気持ちに寄り添う大人の存在が欠かせないと考えています。

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