読みたいふたり

本好きのふたりが、おすすめしたい本とその本にまつわる話を往復書簡の形でゆるーくご紹介。…

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本好きのふたりが、おすすめしたい本とその本にまつわる話を往復書簡の形でゆるーくご紹介。毎週金曜日にどちらかからの手紙が届きます! かおりとやすこ

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はじめまして

本が好きな、かおり(左の方)とやすこ(右の方)のふたりで書いていくnoteです。知り合って約15年の私たちが、好きな本の話、おすすめしたい本の話を往復書簡でご紹介。毎週金曜日に更新します。不定期でおしゃべり企画なども実施予定。 本好きな友達の雑談を聞きに来るみたいな感覚で、気楽に読みに来ていただけたらうれしいです。 どうぞよろしくお願いします。 かおり:古い建物を見るのが好き。手芸が好き。2年前からピアノを練習中(全くの初心者)。好きな作家は津村記久子、伊坂幸太郎、木皿泉

    • 京都人は本当にいけずなのか?って話~仁平綾『京都はこわくない』

      やすこさんへ やすこさんは今までどんな街に住んできた?そして、住んでみたい街はありますか? 私は今まで住んだ長崎、熊本、東京、横浜、静岡、どの土地にも愛着があるけど、もし次にどこでも好きな場所に移住できるなら関西に住んでみたい。私の好きなレトロ建築の宝庫だし、食べ物が美味しくて、日本のどこに行くにも便利そう。大阪、神戸、そして京都!観光で行ったことしかないけど、どの街も大好き! とは言え住むとなると京都はちょっと、という気持ちもあります。いつでもどこでも観光客で混んでそう

      • しゃべりたいふたり〜第8回神保町で念願のカレーと古本を楽しむ〜

        やすこ:ついに!私たち念願の神保町に行ったんだよね〜。 かおり:そうそう。私もやすこさんに借りた『古本食堂』読んだから、行きたい気持ちが盛り上がっちゃった。でも、ふたりで張り切って平日に休みを取ったあの日だけ雨だった………。 やすこ:ねー、でもせっかく休みにしたから決行しちゃったんだけど、ちょっと甘かったよね……神保町は雨の日は行っちゃダメだったね。なんせ、古本の町だから、濡れた傘は邪魔だし、店先のお買い得ワゴンには透明ビニールシートかかってるし。 かおり:とはいえ、私

        • 「Dr.Stone」を見て思い出した話〜有川浩『キケン』〜

          かおりさんへ このあいだね、新しい部署の上長が「Dr.Stoneって知ってます?あれはすごいですよ。マジで見るべきです!」と言うので、アマプラでアニメを見てみたの。ものすごくハマってしまって、夜な夜な堪能し、Season1見終わりました。 いやあ、すごいね。少年ジャンプ感全開。ドラゴンボールと鬼滅とワンピースのいいところ全部ぶち込んだ感じでおもしろかった。突然全人類が石化してしまった世界で、奇跡的に石化から復活した天才高校生石神千空。仲間たちと一緒に科学の力を使って石器時

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          あの吉本さんの家族の話 ~ハルノ宵子『隆明だもの』

          やすこさんへ お借りした『ミトンとふびん』、しみじみと読みました。 ばななさんは昔から、生と死の間をぼんやり漂うような、抱えた傷を慈しむような、しんみりと悲しくて少し温かい世界を描く作家さんだなと思っていたけど、そういう世界観がよりクリアに洗練されたような印象でした。いい本だったね。 ばななさんがデビューした時、【あの吉本隆明の娘!】という騒がれ方をしていたのを憶えてる?私はよく憶えているんだけど、当時の私は【あの】とカギカッコつきで言われているお父さんの方を全然知らなく

          あの吉本さんの家族の話 ~ハルノ宵子『隆明だもの』

          何度も何度も読み返したい話〜吉本ばなな『ミトンとふびん』〜

          かおりさんへ こんにちは。 この間、ひさびさに実家に帰ったときに、ふらっと立ち寄った近所の駅ビルの本屋さんで吉本ばななさんの『ミトンとふびん』に出会ってしまいました。軽い気持ちで立ち読みし始めたところ、これは買わないとダメなやつだと思い、速攻で購入。買ったばっかりだけどもう2回は読んでる。今日は、この本について書きたいと思います。 ばななさんはあとがきでこう書いている。 ーーーーー 何ということもない話。 大したことは起こらない。 登場人物それぞれにそれなりに傷はある。

          何度も何度も読み返したい話〜吉本ばなな『ミトンとふびん』〜

          おひとりさま力を鍛える話~カマタミワ『ひとりぐらしもプロの域』

          やすこさんへ 前回のお手紙がイタリア人の話だったので、真っ先にヤマザキマリさんの『モーレツ!イタリア家族』が思い浮かんだんだけど、私は当面海外に行く予定もないことだし、逆に遠い異国の文化に触れずとも、自宅でひとりでも楽しいことたくさんあるよ、って本を紹介しようと思います。 この春から新たに一人暮らしを始めたばかりで不安や寂しさを感じている人も、一人暮らしって実はめちゃくちゃ楽しいのでは⁈と思える本です、多分。 カマタミワさんのひとりぐらしシリーズは2024年4月現在までに

          おひとりさま力を鍛える話~カマタミワ『ひとりぐらしもプロの域』

          しゃべりたいふたり〜第7回 脚本家に朝ドラ『ブギウギ』の裏話を聞いてきた

          かおり:ちょっと前に万城目学先生の講演会に行った話をここでしたわけだけど(しゃべりたいふたり第4回)。。。 やすこ:面白かったね!そうそう、あの時サインしてもらった万城目先生の『八月の御所グラウンド』が直木賞獲ったね! かおり:ね!いや〜、めでたい。万城目先生おめでとうございます! やすこ:おめでとうございます。なんだか我々も嬉しいよね かおり:ホント。そしてやっぱり面白いものを書く人は話も面白い。ということで、またしても作家さんのトークイベントに行ってきました や

          しゃべりたいふたり〜第7回 脚本家に朝ドラ『ブギウギ』の裏話を聞いてきた

          イタリア人マインドをまねしたい!の話〜宮嶋勲『最後はなぜかうまくいくイタリア人』

          かおりさんへ こんにちは。 『キューバの話』で今年はちょっと遠くに行くつもりだと書いたんだけど、実はシチリア島に行こうと思ってるんだよね。前回イタリアに行ったのはなんと!四半世紀前。まあ、言ってみればメモリアルイヤーなのでもう今年いくしかない!と思いまして。 ガイドブックももちろん買ったんだけど、何かイタリアに関係する本が読みたいなと思ってこんな本を読んでみました。宮嶋勲『最後はなぜかうまくいくイタリア人』 いやあ、これがおもしろかった。イタリア人、好きだなあ。まあ、一

          イタリア人マインドをまねしたい!の話〜宮嶋勲『最後はなぜかうまくいくイタリア人』

          誰かに話したい人間関係の話~南綾子『死にたいって誰かに話したかった』

          やすこさんへ 新年度が始まって2週間、そろそろ疲れが溜まるころかな? 今年は4月1日が月曜日だったから、のっけから結構ハードだったね。やすこさんみたいに環境が変わると尚更でしょう。 この年になるともうそうでもないけど、学生時代は4月って毎年憂鬱だったなと思い出します。新しいクラス、新しい人間関係、人見知りの私は考えただけで嫌な緊張感でどんよりしたものです。 おばさんになってよかったことは色々あるけど、いい感じに鈍感になってあまり人見知りしなくなったのは、確実にそのひとつだ

          誰かに話したい人間関係の話~南綾子『死にたいって誰かに話したかった』

          働くということは…の話〜額賀澪『転職の魔王様2.0』

          かおりさんへ こんにちは。 実は、4月1日付で8年ぶりに異動することになったの。今の会社では30年弱働いているんだけど、全くやったことのない仕事をすることになりそうで、結構ドキドキしています。そんなこともあって、今日は最近ドラマにもなった額賀澪『転職の魔王様2.0』について書こうと思います。 『転職の魔王様』はだいぶ前に読んで、結構好きな話だったの。図書館にふらっと行ったら続編があったので、早速借りてみた。 グッときたのは第4話の「優等生は、社会に出たら気をつけないとい

          働くということは…の話〜額賀澪『転職の魔王様2.0』

          定番だけど面白い、最後の晩餐の話〜オカヤイズミ『おあとがよろしいようで』〜

          やすこさんへ この往復書簡を始めてみてしみじみわかったけど、やすこさんは食べ物の話が好きだよね! だったらこういう本も好きかな? オカヤイヅミさんの『おあとがよろしいようで』 オカヤさんは食べるのも呑むのも好きで、大食いではないけどずーっと食べ続けていたい、食べ終わるのが嫌というタイプの食いしん坊。何事も終わるのが嫌で、だから人生も終わるのが嫌。死ぬのがものすごく怖いんだって。 『人生最後に食べたい物』も「せめて死ぬのが怖くなくなるもの食べたい(でも何かはわからない)」

          定番だけど面白い、最後の晩餐の話〜オカヤイズミ『おあとがよろしいようで』〜

          神保町で古本と美味しいものを堪能したい!と思った話〜原田ひ香『古本食堂』〜

          かおりさんへ こんにちは。 かおりさんは神保町の古本屋巡りをしたことはある?私は、ないんだよね……。この本を読んで、絶対に神保町で古本屋巡りをして、美味しいものを堪能したい!と思ったわ。今日は原田ひ香『古本食堂』について書きたいと思います。 北海道の帯広で静かに暮らしていた珊瑚さんが、神田神保町の古本屋さんになる話。古本屋を営んでいた兄の滋郎さんが急逝し、お店とビルを相続することになるんだけど、珊瑚さん家族の人間関係を紐解きつつ、古本と神保町の美味しいものが満載の本なんだ

          神保町で古本と美味しいものを堪能したい!と思った話〜原田ひ香『古本食堂』〜

          しゃべりたいふたり〜第6回 本屋さんに出かけよう_大型書店編〜

          かおり:さて!MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店に着きました。ジュンク堂が好きって言ってたけど、どんなところが好きなの? やすこ:そうねえ、棚かな。 かおり:え?棚って本の並べ方とか選書とかそう言うこと? やすこ:ううん。単純に本棚の感じ。ぜーんぶ木じゃんね。なんか落ち着くんだよね、ジュンク堂に来ると。 かおり:本棚の色とか?そんなこと考えてみたことがなかった。お店によってそんなに違いある?。 やすこ:うん。結構違うよ。なんかこの本棚好きなんだよね。そうそう、ジ

          しゃべりたいふたり〜第6回 本屋さんに出かけよう_大型書店編〜

          潔い生き方に憧れる話 ~宮島未奈『成瀬は信じた道をいく』~

          やすこさんへ NHKあさイチの内田也哉子さんの出演回、私も見ていました。落ち着いた語り口と独特の存在感、さすが樹木希林の娘、只者ではないなと見入ってしまったよ。 樹木希林さんのことが私は大好きでした。女優としての素晴らしさは言うまでもないけど、それ以上にご本人の強烈な存在感、嘘や忖度のないストレートな発言、自分を大きく見せようとしないところ、他人からどう評価されようが喜びも落ち込みもしない、どんな状況も『面白がって平気で生きればいい』と言える肝の座り方。クールなようでも滲

          潔い生き方に憧れる話 ~宮島未奈『成瀬は信じた道をいく』~

          これは本格フレンチだと思った話〜内田也哉子『BLANK PAGE』〜

          かおりさんへ こんにちは。 久しぶりに読み終えるのがもったいないと思う本に出会いました。この間ね、あさイチを見てたら内田也哉子さんが出てたの。樹木希林さんと内田裕也さんの一人娘でもっくんの奥さん。もちろん彼女のことは知っていたし、内田裕也さんの喪主挨拶のインパクトといったらなかったから、興味はあったんだよね。 彼女が両親を立て続けに亡くし、その空白を埋めるべく会ってみたいと心から思った人との対談集を出したと言っていて。これはぜひ読みたいと、勢いでぽちっとした本、内田也哉子

          これは本格フレンチだと思った話〜内田也哉子『BLANK PAGE』〜