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xLINK丸の内パークビル/Artistインタビュー①酒井建治

こんにちは!YOMAFIG.です。
xLINK丸の内のアートを制作して下さったアーティストの酒井建治さんに作品についてお話を伺ってみました。

酒井建治
1996年京都生まれ、東京在住。
生活の中での体験による感情の変化を様々な時間軸から捉え、現代社会における自分の位置や存在の確認と返答を作品を通して行っている。主にシルクスクリーンと油彩で制作し、時には立体作品を作るなど様々なメディアを横断するように表現の幅を広げている。


コミッションワーク制作を請けたのは・・・

ー酒井さんはどうしてこの「xLINK丸の内パークビル」というオフィスへのコミッションワーク制作を請けて下さったのでしょうか?

(酒井)
お声がけ頂いたYOMAFIG. 、ビルオーナーの三菱地所共に、以前仕事をしたことがあり馴染みがあったので、お話し頂いてすぐ非常に前向きな感想を持ちました!
もともと私は建築物に関心が強く、都市や建築を引用した作品を制作することもあったため、オフィスビルへのコミッションワークということもワクワクするお話でした。

酒井さんは三菱地所の「新東京ビル」において、階段壁画を描いて下さったこともあります!
ちなみにコミッションワークというのは「受注制作」のことです。今回酒井さんには現地を下見頂き、その際にこのビル及びxLINKがどのような空間かをご説明の上、制作着手頂きました。

「背筋が伸びる」丸の内の感覚を作品に

ー実際に制作前に下見に来てくださいましたが、下見の印象はいかがでしたか?制作イメージはすぐに湧いたのでしょうか?

(酒井)
丸の内パークビルディング、そしてxLINK丸の内パークビルというスペースの第一印象は「非常に背筋が伸びる空間」でした。ただ悪い意味での緊張ではなく、この「背筋が伸びる感じ」がこれから制作する作品にうまく繋がりそうだなと感じましたね。
また下見の時期には「大きな作品を描きたい!」と強く思っていたタイミングだったので、一番大きな絵画を飾ることのできるエントランス正面の壁面への納品を提案させて貰いました。

下見の際、確かにやたらと「この壁に描きたい!」と言っていたのと、思っていたより一回り大きなサイズで提案してくれたことは印象に残っております。他の作家さん含め、誰の作品がどの壁面・会議室に合うかを相談しながら割り振りは決めていきました。

小作品はリズムを感じながら眺めて貰いたい

ー今回設置いただいた壁は真っ黒なスチールパーテーションがひたすら続く壁・・で一般的にはこの壁にあう作品を作ることは難しいように思います。この壁は特段気にならなかったですか?

(酒井)
以前から私の作品では、「黒いフレームで画面に締まりを生む」ということを技法として意識してきたので、背景が全面的に黒いことには全く違和感ありませんでした。むしろ普段自身が行なっている表現に直結する!とポジティブに感じました。
私がディレクターを務めているMATTERというギャラリーが半蔵門にあるのですが、そこで自身の個展を行なった際もあえてギャラリーの壁面を黒く塗り替えたくらいです!

あとはラウンジスペースの小作品に関していうと、スチールパーテーションの等間隔の幅に合わせてリズムよく作品を並べられると思ったので、こちらも特段気になりませんでした。

小作品については作品が空間に与えるリズム感もお楽しみ頂ければと思います!

多様性のある丸の内という街を抽象化して表現

ーそれでは作品自体についてお伺いしたいのですが、それぞれどのような作品か教えて頂けますでしょうか。
まずはエントランス側の大型150号作品について教えてください!

(酒井)
最近手がけている油絵のシリーズで、「三角形」を画面にたくさん描いていく作品です。自身が社会に対して思っていること・感じていることを抽象化して描いています。

三角形は、人間や個性というものを抽象化した表現であり、その個性(三角形)が合わせることで全体に大きな流れを生み出しています。
これは人間社会全体に繋がる見え方かなと思っています!
ただ、よく見ると、全体のリズム・ベクトルの中に小さな「違う方向を向いている集合体」がたくさんあり、それぞれに「小さな社会」を作っています。人間社会も同じですよね。

また全体では大きく見えますが、実は脆くもあり、1つの三角形が崩れると周りも崩れてしまいます。この個々の絶妙なバランスで全体が成り立っていることや、自身もこの大きな社会に内包されているということを表現しています。

丸の内という街も多様な来街者が行き交う街であり、またxLINKも様々な入居企業がいらっしゃる施設と聞いておりましたので、こういった「大きな社会と個人のバランス」について抽象化した作品は、この街にも合うと考えています。

ー利用されている色数は一見シンプルに見えますが、近くで見ると青色など色合いのグラデーションに気づきますね。

(酒井)
この絵の構想を考えている際、構図に「波」を感じたので、色味も波を意識した寒色系を採用しています。描く順序としても、最初の下地は全て青で描いてから、表層に上書きしていっているんです。なので近くでご覧頂くと隙間から下地の青色が見える場所も多いですよ!

是非、色々な距離から作品を眺めて流れを感じたり、繊細な色の差異を感じて頂きたい作品ですね。

自身の中に蓄積された美しい光を落とし込む

ーでは、ソファスペースの小作品はどのような作品なのでしょうか?

(酒井)
こちらは「光」をテーマに制作した作品です。自分の中に蓄積された光を表現しているので、どこか特定の場所の光ということはありません。
ただ、光をテーマに制作をするきっかけは「都会の光」だったので、丸の内というオフィス街にこの作品を置けることは嬉しいです。
ビルの明かりのような「人工の光」が、現代の星空のように感じるんですよね。我々は、人工の光を見るとそれだけで安心したり人の気配を感じたりできるじゃないですか。この感覚を自身の中に蓄積して、作品に投影しています。
丸の内という街には自分が綺麗と感じる絵を置きたかったので、自分の中の綺麗な光を表現しました。

確かに田舎の真っ暗な夜道で不安に思っていても、例えばコンビニの明かりという人工の光が見えてくるととても安心しますよね!

ー作品のフレームが盛り上がった素材であることも特徴と思いますが、これはどのような意図で盛り上げているのでしょうか?

(酒井)
都会の光からインスピレーションを受けて制作しているシリーズなので、作品のフレームでも都会っぽさを表現しているんです!
都会=モルタル・コンクリートと思うので、枠でモルタルっぽさを表現しています。

モデリングペーストという画材を使ってこのような枠の質感を作ってくださっています!コンクリートと人工の光の組み合わせが美しく見えるのは、この丸の内という街も一緒かもしれません。

「大きな流れの中の多様な社会」
「コンクリートの中の美しい光」

酒井さんなりにこの丸の内という街を解釈して美しい作品に落とし込んでくださったのだなと嬉しく思います!

ーそれでは、最後に作品の注目してほしいポイントがあればお聞かせください!

(酒井)
シルクスクリーンの作品(ソファスペースの小さな作品)は、よく見るとドットの積み重ねで画面が構成されているので是非近くでも見て頂けたらと思います。色の重なりでこうした表現が完成していることを楽しんで頂けると思います。

酒井さんのシルクスクリーンの作品はなんと全てCMYK(青/赤/黄/黒)のみを利用して、その重なり合いでこの微細な色合いを出しているんです!

(酒井)
エントランスの大型作品は、シルクスクリーンを使った版画とは異なり、自身の手でキャンバスに直接描いている作品なので、僕自身の身体性や滲み出る想いのようなものをお感じ頂けるのではないかなと思います。

もし作品やアートにご関心を持ってくださった方がいらっしゃれば、私のInstagramで展示情報も発信しておりますので、ご覧いただけましたらとても嬉しいです!

酒井さんのInstagramはこちらからご覧ください!

最後までご覧いただきありがとうございます!

アートについて、気になることやご相談があればいつでもYOMAFIG.までお気軽にご質問頂けましたら嬉しいです。

それでは、お仕事の合間に作品をご鑑賞頂き、ありがとうございました!

YOMAFIG.


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