5年記念日。恋心を忘れぬまま愛を育てる
5年記念日を迎え、彼と恋人同士になって6年目になった。早かった気もするし、もっと前から一緒にいるような気もする。
これまでも記念日は大きくお祝いすることはなく、なんとなく旅館でゆっくりしたり、軽い旅行に行ったりしていたので、今年も旅館でゆっくりした。
去年は過去一番にディープでたくさんの未体験があった秋田県の乳頭温泉にいき、今年は「バイキングおいしいところとかあまり行ったことないから行きたくない?」「いいねいいね」となり、バイキングがおいしい宿を選択。
鬼怒川温泉のあさやホテルは前から行ってみたかったので、バイキングも有名ということですぐに決まった。
宿に泊まることをメインとしていたのでお出かけは特になしでいいかと話していたけれど、どうせ栃木に行くならまた大好きな那須へ寄り道しようとなり、那須経由で宿へ向かった。
ようやく行けた人気カフェ
前に訪れたときは行列で諦めたカフェに、ようやく行けて大満足。開店より早くお店に着いたけれどすでに人が結構いて、平日なのにすごいなあと思いつつ名前を記入してメニューを見ながら開店を待った。
カフェやレストランに行った際、「お好きなお席にどうぞ」と言われると、私と彼は言葉を交わさなくても同じ場所に向かうことがおおい。
特によく晴れている日は、窓際の席があいていれば互い暗黙の了解でそこに座る。ポカポカとした太陽の光が気持ち良い席。
いつもならドリンクはコーヒーを選ぶ私たちだけれど、ここではコーヒー豆を買って帰る予定だったからせっかくなら違うドリンクを飲もうとなり、ウインナーコーヒーを注文。
スコーンのセットと迷ったけれど、これまたスコーンもテイクアウトで買う予定できていたので、サンドイッチセットにした。
サンドイッチは卵の味がほんのり甘く、ふわふわのパン生地と相性が良くて絶品だった。何よりも大葉の爽やかな風味が良い仕事をしていて驚いた。彼も「洋風のサンドイッチに大葉ってはじめてかも、すごくおいしいね」とご満悦だった。
「ほんとうにね、おいしい、今度おうちでサンドイッチ作る時少し大葉入れてみようかな」と言ったら「楽しみにしてる」と柔らかな笑顔をみせてくれた。陽だまりのなかでみる彼の笑顔はいつにも増して優しくあたたかい。
ちなみに、テイクアウトしたスコーンはおうちに帰宅したあと食べたのだけど、いくつか買ったなかでもホワイトチョコとクランベリーのフレーバーが一番おいしかった。レンジで10秒、トースターで表面をカリッとさせるとやっぱりスコーンは最高においしくなる。
中のホワイトチョコが溶け出して幸せを詰め込んだ味だった。ぺろっとふたつ完食してしまうほどに。
コーヒーはどっしり重ための深煎りで苦味が結構しっかりあった。「久しぶりにザ、コーヒーって感じのコーヒーだ、おいしい」と私がいうと、「もっと買えばよかった、俺かなり好き」と彼もかなり好みだったようなので、オンラインで再購入。
スコーンもオンラインがあることを知り、スコーンをはじめとした焼き菓子も買おうと相談中だ。
地酒を買いに酒屋さんへ
カフェのあとは地酒を買いに酒屋さんに寄った。店主と日本酒の話をするのが楽しくてすこし長居してしまったけれど、結果好みの味の日本酒を買えて大満足。
会計時に「これ自家製のもろみです。日本酒と一緒に食べてください」とサービスでいただいて、もろみと日本酒…!と目をぎらぎらさせてしまった。
ラベルデザインそのまんま、ゆきだるまっていう名前なんだよ、かわいいよね。春はさくら、夏は線香花火やかぶとむし、秋は赤とんぼらしい。
ラベルも名前も素敵だし味もその素敵さに劣らず酸味が強くて、サイコー!と私も彼も満面の笑み。久しぶりにシュワっとした日本酒飲んだけど、お風呂上がりにもぴったりだし、お鍋にもよく合う味だった。
四季の味ぜんぶ試してみたいな。また新しいお酒に出会えて幸せだ。
今夜の宿へ
あさやホテルに到着して最初の感想は「お、おおきいな……」だった。こじんまりとした宿が好きで今まではわりとそういう旅館泊まってきたので、規模の大きさに驚いた。
お部屋も素敵だったのに、あまりの幸せな時間に写真を撮ることも忘れ、この2枚しか撮っていない。悔やまれるが脳にはしっかり刻まれているから良し。
一番楽しみにしていたバイキングは想像以上に豪華で胃袋がおおきく好き嫌いがなくてよかったとこんなに思った日はなかった。和洋中すべてがバイキングのクオリティじゃないなと思えるくらい完成度が高かった。
カレーは牛肉がほろほろでスパイスの奥深さもちゃんと感じられてカレー好きとしてはたまらない味だったし、期待していなかったピザもちゃんと石窯で焼かれているものが出されるから想像以上においしくて、とりあえず1杯と決めていた白ワインは結果的に2杯飲んだ。
バイキングに夢中で夕飯朝食ともに写真は一枚もないけれど、朝はいくら丼とあさりの味噌汁が特においしかった。
トッピングやソースを選べる焼き立てのオムレツに列ができるなか、私と彼はどちらもだし巻き卵に大根おろしを乗せてお皿に盛り付けていて、味覚が似ているなと思っていたら、彼が「わかるわかる」とだし巻き卵を見て笑っていて、ほっこりした。
オムレツも好きだけれど、だし巻き卵も同時に置かれていたらやっぱりだし巻き卵を手に取ってしまう。それにそのだし巻き卵の味は塩味が完璧で、じゅわっと溢れ出る出汁が白米と相性抜群だった。
温泉は3つもあって、宿自体がおおきいだけに地下へ降りたり最上階へあがったり移動がちょっと疲れたけれどエレベーターのなかで一緒になったおばあちゃんに「いいお宿ですね」と話しかけられてちょっとお話しをする時間がなんだかとても嬉しかった。
年配の方とお話しをするのが私は相当な好きらしい、し、なぜだかよく話しかけていただけるから幸せだ。
エレベーターからおばあちゃんが降りたときにちょうどご家族が居て、お孫さんが腕を組んで誘導してあげていてその姿にちょっとだけ羨ましさを感じたりしていたら、おばあちゃんが振り返って笑ってぺこっと頭を下げてくれた。
たとえもう会うことがない人だとしても、記憶に刻まれる人たち。どうかこの先もずっと揺るぎない愛に包まれていてほしい。
記念日の手紙
毎年渡している手紙を今年も彼に渡すと、読み終えたあとに「あー、」と上を向いて「泣きそう」と涙が落ちないようにしていて、愛しさが溢れ出てしまった。
「ありがとう」と彼が強めに抱きしめてくれて私も強めに抱きしめ返し離れようとすると、「ん、まだ」と抱き止められたから、彼はたぶん少し泣いていたのだと思う。少しのおだやかな沈黙がそう思わせた。
「今年のレターセットはチューリップか」と彼が言ったので不思議そうに彼の目を見ると「去年はパンダさん」と笑顔で言われた。
そんな些細なことでさえちゃんと記憶にとどめ、覚えてくれいることが嬉しくて、さらに「毎年違うからちょっとした楽しみ」と言われるもんだから、いろんな愛しさが込み上げて今度は私が泣きそうになった。
涙を引っ込め目を赤くしながら「すきだよ〜〜〜〜だいすきだよ〜〜〜」と抱き締つくと「おれもだいすきだよ〜〜〜」と抱っこ状態でくるくると回され、目を見て「これからもよろしくね」と言ってくれた。
老犬のような恋人
以前友人から「(彼)は(私)のこと大好きで仕方ないっていうのがものすごく伝わってくるんだけど、好き好き大好きみたいな、なんていうか、(私)が嫌がる鬱陶しさ…?みたいなものは全くないんだよね
「キャンキャン吠える子犬のような愛情表現じゃなくて、どっしり構えて常に穏やかなおおきい犬とか老犬のような感じなんだよ、そうそれだ、常に待っていてくれる安心感みたいな」
と、言われてかなり腑に落ちた。
愛情と依存がごちゃ混ぜになっていないことも窮屈に感じない理由のひとつだなと思っていたけれど、彼はそう、友人がたとえたように、老犬のようだ。常々感じている愛情や包容力をわかりやすく言うのだとしたら今のところそうなる。
とは言っても、結局恋人を的確に表現できる言葉など私は持ち合わせていないし、これからもないだろう。どんな言葉で形容しても彼という人間の素晴らしさは伝わらない、伝えられない。
けれどだからいい。それでいい。
私が彼と過ごす日々のなかで、「そうなんだよ、私が好きになったのはこういう人なんだよ」という胸がきゅっとする瞬間を大切に抱き締めていきたい。
一緒に私たちのペースで、カラフルで賑やかな方へ進んでいこうね。
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