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多様性の時代と言葉

「ありがとう」という言葉に、みなさんはどのような印象を持ちますか?
大抵の方はポジティブで好意的な印象を持たれると思います。
今回はこの「ありがとう」が、ある職場で引き起こした問題を一緒に考えていただきたいと思います。
年代や立場によっても意見が異なると思いますので、何かのご参考になれば幸いです。



何事もポジティブであればいいのか


事の発端は、以前勤めていた職場でのこと。別の部署にいた同僚がこぼした愚痴でした。

「一回り年下の後輩に手を焼いている。もう3年になるのに同じミスを繰り返す。何度注意しても毎回元気よく“ありがとうございます!”と言うばかり。申し訳なさそうにするでもなく、ミスを指摘されて“すみません”ではなく“ありがとうございます!”っていうのが理解できない。最初はずいぶんポジティブで明るい子だなと怪訝に思いながら様子を見ていたけど、さすがに3年間、毎回これだと馬鹿にされてるのかと思う。こう思う私が間違っているの?」

憔悴しきった彼女を見て、嘘を言っているとは思いませんでしたが、誰でも話す時は主観が入るものです。話を聴く時はもう一方の話も聴き、事実を擦り合わせる必要があります。
この時は同僚もガス抜きがしたかっただけだったので、「大変だね」と労って終わったのですが、私はこの話に興味が湧いてきました。

なぜ、「すみません」ではなく「ありがとうございます」なのか。


大きく変わっていく価値観・個人の認識


同僚と私は同年代、先輩・後輩といった縦の関係性が色濃い時代でしたから、上の命令や指示は逆らえない風潮がありました。その恐怖から同じミスは繰り返さないようメモを取って、極力同じ質問をしないというのが当然というのが前提です(この辺りは、年代はあまり関係ないと思いますが)。

そこで私はある仮説を立ててみました。


ここ10年前くらいから、自己啓発の分野でもスピリチュアルの分野でも「自分軸」という言葉が流行り出しました。岸見一郎先生が発表した『嫌われる勇気』がベストセラーになったのもその頃です。

『嫌われる勇気』では、他者への承認欲求を捨て、人の目を気にせず自分本位であることを推奨し、上下の関係ではなく、横の関係を大切にすること、そして他者へ貢献することが書かれていたと思います。

また、「すみません」から「ありがとう」と言い換えようという風潮もこの頃からだと記憶しています。
悪いことをしていないのに、日本人は何かことあるごとに「すみません」と言う。例えば仕事を手伝ってくれた人に対して、本来であれば感謝を伝えるところでも「すみません」と言ってしまう。「すみません」でも日本語としては間違ってはいませんが、最近の傾向では謝罪のニュアンスが強いため、返って相手を恐縮させてしまうので、照れずに「ありがとう」を伝えよう、そのような流れだったと思います。

「反省は必要ない」という言葉も、過ぎた過去を振り返ることは生産性がない、それよりも、起きてしまった失敗を次へ活かそうという、タレントのタモリさんの発言が多くの人に影響を与えたようです。

さらりと表面だけ読むと「なんかその方がいいよね!」という感じがしてしまいますが、本当にそうでしょうか?


発信者が伝えたい意図は、そのまま他者に伝わっているか


『嫌われる勇気』が伝えたかった本当の自分軸とは、他者の視線を気にして、自分を押し殺さずに、自分の言葉や行為に責任を持つことであって、他者に迷惑をかけてまで自分の思うままに振る舞うことではないはずです。その自分軸をもって「我」に執着するのではなく、他者に貢献していくことを提唱していたのだと私は思っていました。

そして、『「すみません」から「ありがとう」へ」』という運動も、感情を素直に表現することが苦手な日本人が「すみません」というポジティブにもネガティブにも取れる便利な言葉で、感情を曖昧にするのは止めようという提言であって、なんでも「ありがとう」と言えばいいと言っているわけではありません。失敗した場面では、その事実を認めて、その場に即した言葉である「すみません」を使うのが適切だと思うのです。

「反省は必要ない」というのも本来の意図は、失敗をしたらまず問題を把握し、改善点を見つけて次へ活かすことが「反省」であり、過ぎてしまった過去を反芻してくよくよする必要はないと言っているのだと思います。

かつて、スピリチュアルカウンセラーである江原啓之さんも反省することについて、ほどけた靴紐を例にあげて説明していましたが、その内容とは、「ほどけた靴紐をそのまま放置して走り続けたら、いずれまた転んでしまう。なぜ転んだか問題点を把握・改善し、謙虚に受け止め反省したら、その経験を次へ活かすことがポジティブなものの捉え方であり、ただ闇雲に前進することではない」と注意を促すものでした。


冒頭でも書いたように、人は自分の都合のいいように解釈しがちです。当然私のこの仮説も間違っている可能性があります。

同僚が頭を悩ませた後輩は、どのような意図で「ありがとう」を使っていたのか。
「間違いをご指摘いただき、ありがとうございます」なのか、それとも最近の風潮の表面だけ読み取って使っているのか。
その辺を直接聞いてみたい気がします。

もし前者であるなら、言葉が足りません。自分のミスは認めた上で、「ご指摘いただきありがとうございます」と言葉を省略せず伝えなければ、何がありがとうなのか相手には伝わらず、自分が誤解されてしまいます。実際に「繰り返しミスをする上に、自分を馬鹿にする後輩」という評価を同僚からされてしまっているのですから。




言葉は本当に繊細で難しい。
辞書に書かれた通り、正しく厳密に言葉を使い分けている人は少なく、それぞれが自分が受け取りたいように受け取るものです。
そして言葉の数だけ価値観も無数にある。


相手が年上であろうが年下であろうが、相手の言葉に違和感を持ったら「世代が違うから」などと決めつけて食って掛からずに、「なんでそう思うのか?」を想像すること、そして本人に確認すること。


これから多様性の時代には、こういった事が珍しくなくなるでしょう。

私とあなた

どちらかが一方的に価値観を押し付けるのではなく、双方が積極的に相手を知ろうとすることが自然になっていくといいですね。



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