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自分も他者も傷つけないコミュニケーション

今回は「コミュニケーションについて考えよう」の第2回です。

皆さんは、コミュニケーション方法について、誰かに学んだことはありますか?
「学校の就活対策の一環で学んだ」という方や、「会社の社員研修で学ぶ機会があった」という方は多いと思います。
だとすると、それまでは誰からもコミュニケーション方法について学んだ事がないということになります。

親から、または小学校で「きちんと挨拶をしましょう」「悪いことをしたら謝りましょう」といった道徳的なことは誰もが教えられたと思いますが、具体的にどう謝るかといった方法まで教えられたという方は少ないのではないでしょうか。

確かに赤ちゃんが自然に言語を習得していくように、テクニックを学ばなくても他者と関係を結ぶことはできます。実際、改まってコミュニケーションについて考える機会がなくても、これまで私たちは他者と関わり、生きてきているわけです。
では今なぜ「コミュニケーションについて考えよう」なのか?

いい例えではありませんが、亭主関白な父親と、父親に従順に従う母親を見て育った息子が結婚をし、妻に対して自分の父親のように振る舞い、妻に母親のように振る舞うよう強要するといった話は、令和のこの時代になっても耳にします。

このような話を聞けば「時代錯誤も甚だしい!」「共感力、相手を思いやる気持ちがないのか!」といった批判の声が上がるのも無理からぬことです。もっと酷ければ「何かの病気なのでは?」と安易に疑う人もいます。

中にはそういう人もいるかもしれませんが、実は本人には悪気などなく、「母親は何も言わずに父に従っていたので、妻というのは夫の意に賛同するものと思っていた。妻が自分とは異なる意見を持っているなんて考えたこともなかった。」と、人に指摘されて初めて気付いたというケースも少なくありません(その後カウンセリングで自分の認知の歪みに気付き、改善するケースもあります)。

ほどんどの人たちは、子供の頃は親を始めとし、身近な大人を「お手本」に、見様見真似で身に付けてくのだと思います。


前置きが長くなりましたが、コミュニケーション方法について見ていきましょう。


・自分はどのタイプ? コミュニケーションの傾向


では次に挙げる日常の場面を思い浮かべてみましょう。

< 例 >
朝、夫が「今日は上司の送別会がある。一次会で帰るつもりだから、遅くても9時には帰る。」といって出掛けたにも関わらず、一向に帰ってこない。心配になり何度もSNSを送るも既読にもならない。いらいらしながら待っていたら、深夜になって夫が帰宅しました。

A.非主張的自己表現
「遅くなってごめん!」と謝罪する夫に、「お帰りなさい。私は先に寝るね」とだけ言って寝室に向かう。

B.攻撃的自己表現
帰宅した夫に対し、「遅くなるなら、なんで電話1本掛けられないの!大体いつもあなたはなんでも仕事だと言えば許されると思ってるんでしょ!」と感情的に畳みかける。

C.アサーティブな自己表現
「9時には帰ると言っていたし、何度もSNSに送っても既読にならないから、何かあったのではないかととても心配して待っていたのよ。盛り上がっているタイミングで中座しにくい気持ちも理解できるけど、せめてSNSに「遅くなる」とだけでもいいから連絡が欲しいな」と自分が不安であったこと、不満を感じたこと、希望を伝える。

この例題だけでは不十分ですが、3つのパターンから自分に近いものはありましたか?


・アサーションとは? 相互尊重のコミュニケーション


自己表現法の一つとして「アサーション」というものがあります。

アサーションについては、臨床心理学者の平木典子先生の著書である『アサーション・トレーニング さわやかな<自己表現>のために /日本・精神技術研究所』が、とても分かりやすいのでお勧めです。
今回はこの本の中から一部(P.57~72)を参照してご説明していきます。

アサーションは直訳すると「主張」ですが、この本によると「お互いを大切にしながら、それでも率直に、素直にコミュニケーションをすること」とされています。

アサーションは1950年代にアメリカで発祥した行動療法と呼ばれる心理療法の一つです。
当初は人間関係が上手くいかない、社会的場面で自己表現が苦手な人の為のカウンセリング方法として実施されていました。
それが1970年に入り、基本的人権として注目され、人種差撤廃運動やウーマン・リブ運動へと拡大されていきました。

アサーション権は5つあります(ここでは今回のテーマに関係するものに絞ります)。

アサーション権1
私たちは、誰からも尊重され、大切にしてもらう権利がある。
アサーション権2
私たちは誰もが、他人に期待に応えるかどうかなど、自分の行動を決め、それを表現し、その結果について責任をもつ権利がある。
アサーション権3
私たちは誰でも過ちをし、それに責任を持つ権利がある。
アサーション権5
私たちには、自己主張をしない権利もある。

平木典子著書『アサーション・トレーニング さわやかな<自己表現>のために /日本・精神技術研究所より


先に挙げたAの非言語的自己表現では、本当は“いらいらしていた”のに、それを伝えていません。
言わないことを選択した上で伝えなかったのであれば問題ありませんが、「どうせ言ったところで喧嘩になるんだから、言っても無駄」と思って自分の気持ちを抑圧しているのであれば、アサーション権1を放棄していることになります。
そうして抑圧した結果、別の場面で「あの時あなたは〇〇だった」と恨みがましく引き合いに出したりしがちです。

Bの攻撃的自己表現では、自分の意見だけが、さも正しいかのように一方的に攻めることで、相手の権利を尊重していないことになります。

いずれにしても、これらの方法では誰も気持ちよくコミュニケーションできませんし、生産的な人間関係も築けません。
アサーション権は自他ともに権利があるのです。


実は私個人は、そこまで強く「権利主張すべき」とは思っていません。

恥ずかしながら、私は“他人軸”で生きてきました。
自尊心が低く、目上の人間の言うことには絶対服従が当たり前だと思っていました。
裏を返せば責任は他者が取るもので、自分が責任を取れるものではないと思っていましたから、自分に都合が悪いことが生じれば、途端に不機嫌になり、他者に責任転嫁するのが常でした。

それがアサーション(アサーション権)を知ることで、衝撃と共に、自分の思い通りにならない他者にすべてを明け渡すより、自分の行動に責任を持つ方が、遥かに自由であることに気付いたのです。完全に克服してはいませんが、知ることで意識が大きく変わったのは事実です。




・カウンセリングとアサーション


カウンセリングもカウンセラーとの相談者とのコミュニケーションです。

カウンセリングは一般的に、癒しのように捉えられがちですが、実際はカウンセラーを通して、自分の内面を見つめる作業です。時には自分のネガティブな側面に向き合うことで痛みを伴うこともあるでしょう。

せっかく時間とお金を掛けてカウンセリングを受けるのであれば、「こうしたい」という希望も、「これは受け入れがたい」という意見も、カウンセラーに率直に、できればアサーティブに伝えた方が、結果的に自分の癒しにつながると思うのです。

もちろん言いたくないことは言わなくても構いません。それが「自分が選んだ選択」です。
カウンセラーは信頼関係を構築する姿勢を保ちながら、相手が話すまで待ちます。

こんな偉そうな事を並べ立てている私が、常にアサーティブかと言われたら、そんな事はありません。そうなれない時もあります。でも「アサーティブでない私」も認める事が「自己受容」であり、それを選択した自分の「自己責任」だと思っています。



カウンセリングに限らず、普段の場面でも、人は誰もが自分の色眼鏡を通して世界を認知しているので、あらゆるコミュニケーション方法を用いても、どれだけ心を尽くしても、自分の思いを相手に「寸分違わず伝えること」はできません。結局人と人は「完全に」分かり合える事などないのでしょう。

「伝えなければ伝わらない」というのは、理想論かもしれません。それでも矢を放たねば、刺さりもしない。だからこそ私は、「伝えること」を諦めたくないのです。

互いがアサーティブを理解した上で臨めば、よりフレキシブルに、より活発に他者から与えられた乱数を受け取れる可能性が高まると思いますし、たとえリアルタイムで言葉から発せられる片鱗が伝わらなくても(問題解決に至らなくても)、時間を掛けてその人の中で変容し続けるのだと思います。
その結果、理想以上の未来を受け取るのかもしれないし、まったく予想だにしなかった未来を手にするのかもしれません。それが起こるのは1年後かもしれないし、10年後かもしれない。それがプランドハプンスタンスに通じるものなのです。

そう思うと、日常の何でもない会話も、豊かなものになりそうな気がします。

今回のこの記事で、自身のコミュニケーションの癖を再確認するきっかけになれば幸いです。

予定していた具体的なコミュニケーション方法については、アルバート・エリスのABCD理論を踏まえた上で、DESC法という方法論があるのですが、今回アサーションについてが長くなってしまった為(しかし、これが一番重要なので)、今後機会があれば、ご紹介したいと思います。



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