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忘れられない2つの贈りもの

2024年3月23日に、佐藤友美さん主催「さとゆみゼミ」を卒業。卒業後も、文章力・表現力をメキメキと上げ続けるため、仲間と共に、note投稿1,000日チャレンジをスタート。

#Challenge 49

今日は朝からずっと雨が降っている。お昼を食べたあと、2階にある寝室で仮眠をとっていた。

「あいちゃん」。

壁を向いて眠っていると、背後から次男の声がした。振り向くと、小さな紙袋と焼き菓子を抱えている。

とっさに、「これ、きっと忘れられないな」と思った。あのときみたいに。


2014年の9月6日、私たち家族は、東京から佐賀に引っ越してきた。長男は小学6年生、次男は小学1年生のときだった。

引っ越して2週間ほどたった土曜日のこと。仕事から帰ると、子どもたちがニコニコして寄ってきて「お誕生日、おめでとう!」と、サボテンの鉢植えを手渡してくれた。誕生日プレゼントなんて、どうやって買ったの?とおどろく私。

息子たちは、引っ越してきたばかりで土地勘がない。どこにどんなお店があるのか、知りようがなかった。聞くと、道ゆく人に「この辺に、お花屋さんはありますか」とたずねながら、お店にたどり着いたらしい。お花屋さんの場所を確認してみると、往復で6キロは歩いたことになる。次男はまだ自転車に乗れなかった。

そのとき、私の脳内で、『はじめてのおつかい』の音楽と、それっぽい映像が再生された。次男の手を引きながら、知らない人におずおずと道をたずねる長男。お花屋さんのカウンター前で、おぼつかない手でお金を数える息子たち。胸がキュゥゥっと締め付けられる。

当時のFacebook投稿

10年も経ったけれど、あのときの胸がしめつけられる感覚は忘れられない(←サボテンだったことは忘れていた。花だと思っていた)。

今日、次男からプレゼントをもらったときは、雨のなか自転車を漕ぐ彼の姿を想像した。紙袋が濡れないように、カバンや部活道具で守ろうとしながら。胸がキュンと熱くなった。この気持ちはずっと忘れないだろうな、と思う。

プレゼントはうれしい。でも、私のことを想って使ってくれた時間を思うと、それが一番うれしい。だから、私も誰かに贈りものをするときは、簡単にポチっとやらないようにしよう、と思うのです。

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