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ディマシュ、人民芸術家となる+共和国記念日の祝賀コンサート

帝王覚醒の巻!?
 
(Dimash 28)
(13,033文字)
(第1稿:2023年10月25~26日)



【ディマシュ、「カザフスタン人民芸術家」の称号を授与される】

 2023年10月24日、ディマシュは「カザフスタン人民芸術家」という称号をカザフスタン大統領より授与されました。(注1)

★mysoul_dimashのIGより。10月24日付。
投稿者「本日2023年10月24日、州の授賞式に出席した私たちのディマシュ」


 この称号は、ソ連、ソ連邦構成共和国、共産圏の国々などで芸術家に与えられる最高位の栄誉称号です(国民芸術家や国家芸術家と訳されることもあります)。
 ソビエト連邦崩壊後でも制度が継続されている国は多く、カザフスタンもそのひとつです。
 日本でいえば「紫綬褒章」にあたるのでしょうかね。
 また、これらの国では「人民芸術家」より下位の称号として「功労芸術家」があることが多いとのことです。
 ディマシュは2019年にこの下位の称号「功労芸術家」を受賞しており、これで上位・下位ダブル受賞となります。
 また、29歳という若さでの受賞は、かつてカザフがまだソビエト社会主義共和国だった1936年に、弱冠24歳でソ連の人民芸術家となったクリャシュ・バイセイトワというソビエト/カザフの女性オペラ歌手に次ぐ記録です。(注2)
 カザフスタンが独立して以降では、ディマシュの年齢が最年少記録となります。
 彼はついに彼の故郷と世界の芸術の歴史にその名を刻んでしまいました。
 個人的には、「ディマシュin中国」がまだあと3つも残ってるのに、いきなりこんなニュースとライブ映像が飛び込んできて、ちょっとうろたえましたわ(笑) ま、そんなことはともかく。

ディマシュ、おめでとう!!!👏👏👏🌷🌷🌷🌷🌷



【ディマシュの挨拶文】

 受賞後、ディマシュは自分のIGのストーリーに、次のような挨拶文を掲載しました。

★aktobe.dimash.dears.kzのIGより。2023/10/25付。

投稿者:「ディマシュ(公式)のストーリーの翻訳、2020年10月24日
(カザフ語→ロシア語)」
(以下、ロシア語をGoogleとDeeplで翻訳し、手直し)

『――親愛なる同胞の皆様!
 皆様からのたくさんのお祝いのメッセージと温かいお言葉に、心より感謝申し上げます。
 ディンムハメド・アフメトヴィッチ・クナーエフはかつて、
「私がどれほど高く登っても、自分が国民よりも高いわけではないということを決して忘れない」
と言って、国民への深い敬意を表していました。
 私もこう言いたいです。
「私の国の民の心よりも、高いものはありません。」
 本当に、今日に至るまで私は祖国の皆さんのサポートと愛をずっと感じてきました。私の仕事の成功は祖国の恩恵があってこそ可能であったと、心から理解しています。私は祖国が「息子」を愛することを決してやめないでほしいと願っています。
 国があれば息子が生まれます。私は祖国から遠く離れているという事実にもかかわらず、(カザフスタン国民であるという)国民の名誉を決して忘れたことはありません。
 我が国の主権を決定した瞬間である、皆さんの共和国記念日をお祝いします。
 また、私の若さにもかかわらず、私を称賛し、賞を授与して下さった我が国の国家元首、カシム・ジョマルト・ケメロヴィッチ氏(トカエフ大統領)に心から感謝の意を表します。
 神のお恵みがありますように、白ディマシュ!』


 ディマシュ公式のIGでは、5歳でピアノを演奏するディマシュと、今回の授賞式のディマシュを編集した動画が投稿されています。
 投稿文は上のストーリーの文章とほぼ同じです。


 ディマシュの挨拶文に出て来る「ディンムハメド・アフメトヴィッチ・クナーエフ」(1911~1993、カザフ語読みではコナエフ)という人は、カザフスタンのアルマトイ市(旧ヴェールヌイ市)出身の、カザフ・ソビエト社会主義共和国時代の政治家です。(注3)
 第二次世界大戦中、「アルタイポリメタル」コンビナートの副主任技師、技術課長、並びにレニノゴルスク鉱山管理所リッデル鉱山所長を兼任。
 フルシチョフ、ブレジネフ、アンドロポフ、チェルネンコ、ゴルバチョフという歴代ソ連書記長時代に「カザフスタン共産党中央委員会第一書記」を歴任し、1993年8月に82歳で没しています。
 また、カザフ・ソビエト社会主義共和国科学アカデミー会員でもあり、100件以上の科学論文を有する科学者でもあったそうです。

「ディマシュ・ジャパンFC」様の記事によると、ディマシュが生まれた当時、クナーエフさんは亡くなったばかりでしたが、人々から「ディマシュ」という愛称で呼ばれて親しまれており、この人の存在がディマシュの本名の「ディンムハメド」命名の決め手だったのではないかというお話でした。(本人の発音では「ディムカマド」って感じです)(注4)
 それを裏付ける談話を、お婆様のミウアさんがインタビューでお話しされており、ディマシュが小学校に上がる年にアルマトイに旅行に行き、その時ディマシュを連れてクナーエフさんのお墓参りをされたそうです。
 ディマシュは、自分の先代のようなディマシュさんの言葉に、称号を得た今の自分の心情を託したのでした。


【受賞の裏話】

 実は、この称号の受賞には「裏話」がありました。
 以下のインタビュー動画で、それについてディマシュが答えています。

★YouTube動画:『КАК НАГРАЖДАЛИ ДИМАША 🎖НАРОДНЫЙ АРТИСТ КАЗАХСТАНА 🎖ПЕРЕВОД』(ディマシュがどのように受賞したか 🎖カザフスタン人民芸術家 🎖翻訳)By DearsDimash EurasianFanClub  2023/10/25(インタビュー個所を頭出し)

(ディマシュ=D、インタビュアー=I)
I「通常、このような時には事前の通達がありますよね? その電話を受けられた時には、どのようにお感じになられましたか?」
D「カシム・ジョマルト・ケメルリー氏(トカエフ大統領)は、僕達が飛行機に乗っている時にこの事を初めてお話ししてくださいました。
 えーと、この話、ここで言ってもいいものかどうか、わからないんですが……(笑)
 僕達が大統領と一緒に飛んでいる時、彼が僕にこの素晴らしいニュースを教えてくれました。
 最も重要なことは、人々の承認です。それは、どんな賞にも比べられないものだと思っています。したがって、全てを決めるのは彼ら、人々です。
 僕がこの称号に値するかどうか、僕が歩む全ての歩み、全ての成果、全ての評価の瞬間、それらは全て人々によって決定されるべきだと思います。
 僕のあらゆる努力をサポートして下さったリスナーの皆様に、心から感謝したいと思います。
 皆さんの繁栄を祈ります。 世界に平和がありますように。
 僕は、若い世代がカザフスタンの人々の精神的な価値を世界に示してほしいと願っています。
I「ありがとうございました。受賞おめでとうございます。」
  (インタビュー終了)

(動画は、インタビューの前は授賞式の様子。インタビューの後は、次の日の「共和国記念行事」でアスタナ・オペラ劇場での歌唱ダイジェストです。スモークの中、舞台中央のせり上がりから銀のスパンコールでキラッキラのディマシュがカッコよく登場します)

 ディマシュが言っている「大統領と一緒に飛んだ」というのは、今年(2023年)5月、中国で開かれた「中央アジアサミット」にカザフのトカエフ大統領が出席し、ディマシュもこの時の「歓迎晩餐会」に出演して歌っており、ディマシュはカザフスタンに帰る時に「大統領専用機」に乗せてもらって大統領と一緒に帰った、というエピソードのことです。
 NOTEに投稿した『OMIR(Life)』(Part.2)の感想文を書いている時、MVに使われたエピソード動画の項目に、MVには間に合わなかったこの話を加えるべきかどうか、割と迷っていました。
 しかし、これは意外と大きな出来事ではないかと感じたので投稿文に加えて投稿しました。
 よかった~、過去の自分、グッジョブやで(笑)


 この時に撮影された動画の中で、大統領と向かい合って話をしていたディマシュが、妙にはにかんだように下を向いて笑う場面があり、なにをそんなにくすぐったがってるのかなあ、そんなに嬉しい褒め言葉を大統領から言ってもらったのかな?とか思っていました。
 もしかしたら彼がはにかんだ瞬間に、大統領から「人民芸術家」の称号を受賞する話を聞かされていたのかもしれません。

★kudaibergenov.dimash(公式)のIGより。5月20日付。
「カシム=ジョマルト・ケメルリー国家元首と、機内で」
@tokayev_online


【友人の祝福】

 また、今回の受賞を喜ぶディマシュの友人、アルパミス・シャリモフ氏のIG投稿文と使われた写真の内容によって、ディマシュが世界に出て行った当初から、この「人民芸術家」の称号を受賞することを夢見ていたことが分かりました。

★Alpamys Sharimov氏のIGより。@Asharimov 2023/10/24付。
投稿者:「これは私が知っているディマシュの最大の夢だった。
当然だよ、心からおめでとう。
ディマシュ「人民芸術家」のタイトルを獲得。
賞に値する人が受賞した時のみ、賞の価値が上がる」

 
 この人は、ディマシュ大ブレイクのきっかけになった中国のTV番組『Singer2017』に参加するため、彼が友人と2人だけでカザフスタンから中国にやってきた時の、その友人です。
 この写真は、番組の第7期で彼がこの美しいカザフの民族衣装を着て、カザフ語の『ダイディダウ』を歌った時に撮影したものと思われます。ふたりはきっと「カザフ民謡をやっと世界に発信できるぞ!」という晴れやかな気分でこの写真を撮ったのでしょう。
 2枚目は映画『タイタニック』の有名なジャックのセリフ「I’m the king of the world!(世界は僕のものだ!)」の物真似写真ですね。この時期の若い彼らの気持ちがよくわかります。


【ディマシュの父、カナト氏の投稿文】

 ディマシュの父カナト氏は、息子がこの称号を得た日、このような文章をIGに投稿しました。

★dimash_dears_downunderのIGより。10月25日付。
投稿者「ディマシュの父カナトはディマシュの憧れの人であり、長年に渡って息子を強固に支えてきました。彼は今、信じられないほどの誇りを感じているに違いありません!」
・dearのリポストですが、写真が良かったのでこちらを掲載します。2枚目がカナト氏の投稿した写真です。
(以下、カナト氏のカザフ語の投稿文をGoogle翻訳し、手直し)


 おまえはこの故郷に生まれ、この故郷を守るために生まれてきた。
 おまえを愛してくれる心優しく善意のある人々がいるかぎり、お前は高く評価され、多くの人々の中で際立つことが出来るだろう。
 昨日からソーシャルネットワーク上にたくさんの祝福と何千もの挨拶が流れ込んでいることに感謝しています、兄弟たち!
 親愛なるリスナーの皆さん、世界のさまざまな国から幸せな挨拶を送ってくださる友好的な皆さん、そして、絶大な信頼のもと、非常にレベルの高い賞を授与してくださったカシム・ジョマート・ケメルリー国家元首に、心から感謝いたします。
 ディマシム、おまえがいつも祝福され、栄光がありますように!
 おまえの人生が長く続きますように、そしておまえの人生が素晴らしいものになりますように!
 おまえはこれからも芸術的な偉業の成果で人々を喜ばせてくれるだろう!  幸せであれ!


【いつもの動画主さんが……】

 2年ぐらい前からいつもディマシュに関する変?な動画を変な編集でYouTubeにアップしている「ДИ ПОДКАСТ(ディ・ポッドキャスト)」というチャンネルの動画主さんが、いつもはオタクっぽく淡々とロシア語でしゃべってるのに、今回のディマシュの「人民芸術家」称号獲得に関する動画では、しゃべる声がなんだかかなり興奮していらっしゃってて、そうかー、やっぱ嬉しいよね、と思いました。
 そりゃそうだろうな、私はファンになってまだ1年半の新入生だし、彼らから見たら外国人だけど、実を言うとカザフスタンが凄くうらやましいと思うことがあるくらいだもんな。
 これほどの音楽家をこの国が生み出したということがまずひとつ。
 でもそれ以上に、その音楽家がこれほど自分の国を愛し、それをどこでも堂々と表明し、自国の民謡を現代風にアレンジして歌い、それがまたすさまじいクオリティで、世界に故郷を紹介することを第一の目的とし、その音楽家が実際に今この世で活動しており、そんな彼の故郷がカザフスタンである、ということです。
 本当にうらやましいですよ、うらやましすぎてカザフスタン語勉強しようかと思うくらいですわ。

(⇩の最初の動画は同じ投稿主の別チャンネルの動画ですが、編集には今までディマシュを認めなかった世間への恨み節もややあって、でもそれもまたこの人の真実よなぁと思いまして、こっちも埋めておきます。)
(2番目のほうがディマシュ専門チャンネルの動画で、もうちょい可愛らしい編集してます。)

1.YouTube動画:『彼は世界にカザフスタンを示した/ディマシュKUDAIBERGEN[ドキュメンタリー]』
By DI PODCAST 2023/10/25 (日本語字幕あり)

 
2.YouTube動画:『カザフスタンは祝う/ディマシュは人民芸術家になりました』 By ДИ ПОДКАСТ 2023/10/24 (日本語字幕あり)https://youtu.be/glhI-ynuxvA


【おまけ メダルの大アップ写真】

★dimash_kavkazのIGより。10月25日付。
投稿者「授賞式の後、友達とDimash」
・6枚目、最後の写真がディマシュがもらったメダルの大アップ写真です。



【カザフスタン共和国記念日と、祝賀コンサート】

《1曲目『オリンピコ』》

 表彰式の次の日の10月25日は、カザフスタンの「共和国記念日」です。
 これは、カザフスタンがまだ独立前だった1990年のこの日、カザフ・ソビエト最高会議が主権宣言をした日で、昨年、13年ぶりに復活した祝日だそうです。
 この日のお祝いに、首都アスタナのアスタナ・オペラ劇場で祝賀コンサートが行われ、ディマシュは『オリンピコ』とドンブラ演奏を披露しました。

『オリンピコ』歌唱(TV映像)
★YouTube動画:『Dimash performance "Olimpico" Kazakhstan people's artist event TV version』 By Dimash dear 2023/10/26
※タイトルは「人民芸術家イベント」となっていますが、正確には「カザフスタン共和国記念日の祝賀コンサート」です。また、音は良いのですが途中で画像が止まるため、予備の動画を(注5)に置いておきます。


 1曲目を歌い終わったディマシュは、舞台にひざまずいて頭を床につける長い「伏臥」(ふくが)を行っています。
 日本の座礼(正座してお辞儀)に似ていますが、たぶんイスラム教のお祈りの時の姿勢でしょう。

 私が見た中で最も長いディマシュの「伏臥」は、今年(2023年)4月26日のライブの時のものでした。
 この日ディマシュは、母校である「カザフスタン国立芸術大学」の創立25周年を祝うガラ・コンサートに出演し、今回と同じアスタナ・オペラ劇場で『Your Love』と『Give Me Love』の2曲を歌いました。
 2曲目を歌い終わったあと、ディマシュは非常に長い、17秒にもおよぶ「伏臥」を行います。
 あまりにも長いので、その場で舞台を録画していた動画主さん達のほとんどが、途中でしびれを切らして客席を映したりするなど、じーっと撮り続けているのが困難なほどの長さでした。
 それは自分を育ててくれた母校と祖国の観客への、彼の心からの感謝の「伏臥」でした。

(⇩の動画は「伏臥」を全部映していたので非常に貴重です)
★YouTube動画:『Dimash full performance at university concert』
by Dimash Iran 2023/04/27 (該当箇所を頭出し)

 
 今回、10月25日の共和国記念日コンサートでは、ディマシュは途中に投げキッスを挟んで2回、この「伏臥」を行いました。
 TV映像では編集が入っていて1回しか映りませんので、⇩のファンカム動画でご覧下さい。

★YouTubeファンカム動画:
『#димаш 迪瑪希Dimash “Olympic” Highlights Collection .Astana 24.10.23』
By Daididau Dimash 2023/10/25 (該当箇所を頭出し)

 
 彼の伏臥には、ごく一般的な現代人の心の在り方ではとても醸し出せない、非常に特別ななにか、彼が歌う時に表現する「言葉以外のコミュニケーション」と同じく、直接こちらの心に飛び込んでくるような一途な思いを感じます。
 その姿を見ているこちらは、「感動」という言葉で言い表すのも難しい、特殊な感覚を呼び覚まされる気がします。
 ほかに言いようがないので「感動した」と言ってますけどね。

《2曲目、ドンブラ演奏+音響アクシデント》

 さて。
 2曲目で、ディマシュはカザフの民族楽器ドンブラを持ち、専門の弾き手2人を従えて伴奏のBGM音楽付きドンブラ演奏……の予定でした。

(前日のリハーサル風景)
★YouTube動画:『迪瑪希Dimash 《Olympic & Dombra show》Highlight Rehearsal / Astana Theater 24.10.23』
by Daididau Dimash 2023/10/24(ドンブラ曲のリハを頭出し)

 
 ところが、本番のステージでは機材のトラブルか音響係の人為的なミスかなにかで伴奏のBGM音楽が上手く演奏と合わせられず、それが4回も続きます。

★YouTube動画:『#димаш 迪瑪希Dimash Dombra show / How to deal with unexpected difficulties on stage👍』(ステージ上の予期せぬ困難に対処する方法)by Daididau Dimash 2023/10/24


 1回目にはディマシュが「どうしたのかな?」みたいなことを言い(←ただの空耳)、再開したのにまた機材トラブルが発生して伴奏音楽のフライング2回目。
 そこでディマシュは見切りをつけて、3人で舞台の手前まで来て膝立ちになり、別の曲のドンブラによるアコースティック・ユニゾン演奏に切り替えます。
「じゃあこれを演るよ、アダイ!」と叫んで(←多分)、弾き始めようとしたところ、またまた音楽がフライング3回目。
 音響係に、必要ないよという手振りで音楽を止めさせ、再び「アダイ」と曲名を言って演奏を再開します。
 ところが、演奏途中にまた音楽が鳴り出し、なんと4回目のフライング。
 ディマシュ、立ち上がって大きなアクションで手を振って音楽を止めさせ、デカい声で「アダーイ!」と、おそらく音響係にも聞こえるように叫ぶと、やっと音楽無しで滞りなく演奏が始まりました。

 ディマシュがこの4回もの機材トラブルに対して怒ったりイラついたりせず、音響係が何度間違えてもそのたびに平常心でやり直す姿を見て、観客もブーイングをしたりざわついたりしてません。
 これは、見ててちょっとすごかったですね。
 こんなに忍耐強い演奏家は初めて見たかも。
(ロック系ライブのトラブル時の惨状が私の頭を駆け巡っております💦)

 で、5回目のやり直しでやっと演奏が始まった時には、観客側もすっかり舞台の一員と化し、大きな声で掛け声をかけて演奏に参加します。
 リハで演奏した曲より、このアクシデント後の演奏のほうが、観客としてはよほど楽しかったかもね。

 この様子を見ていて、私は、ディマシュが「中国国際インテリジェント・コミュニケーション・フォーラム2023」の「ワールド・ユース・トーク」というセッションで話していた言葉を思い出しました。

「全能の神は、科学者を含めてすべての人間を“間違いを犯す可能性がある”ものとして創造されました」

 話の内容は、だから科学プロジェクトが人類に害を及ぼさないように徹底した管理が必要だという、事故予防に関する一般論的な流れでした。
 しかし、ディマシュのこのライブでのアクシデントに対する対応からは、「間違いを犯すのが人間である」、だから、何度間違えてもやり直せるなら何度でもやり直せばいいという「赦し」の感覚があるように感じました。
 神がそれを赦すなら、人間がそれを赦さないでいい理由はない、みたいな感じでしょうか。
 それはおそらく音響係にとって、烈火のごとく怒られたり厳しく注意されたりするよりももっと深い自戒をもたらすかもしれません。
(あとでディマシュ、辛辣なジョークぐらいは言ったかもしれんが)

 また、ディマシュ本人がこれほどの音楽的技術を持ち得たのも、単純に「技術の会得に成功するまで何度でも」努力し、技術の会得に成功するまでの未熟な自分を責めなかった結果なのだろうとも思います。
(ディマシュ、自分にも辛辣なジョークを独り言で言ってるかもしれんが)


【弟マンスール君も地元のイベントで演奏】

 兄のディマシュが首都アスタナの国家的イベントで歌唱中、弟のマンスールも地元アクトベ市のイベントに出演し、自作曲『Together』をインストルメンタル曲としてピアノ演奏していました。バレエダンサーのダンス付きだったようです。

 兄貴がいないため、動画が全編マンスール独占ファンカムとなり、へえーこんなにアクティブに演奏するのかぁと、ちょっと驚きました。
 へえー、この子スイッチ入ったらこうなるのね。
 彼は月が獅子座なので、月が蠍座の兄貴とはまた違って、明るくて分かりやすいスター性があるような雰囲気を感じます。
 この日はクダイベルゲン家にとって、非常に喜ばしい日になりました。

★aktobe.dimash.dears.kzのIGより。10月25日付。
投稿者「今日はディマシュがアスタナで演奏し、マンスールはアクトベで演奏しました。」

 
 マンスール君がこの時着ていたジャケットは、以前兄貴がクルトイ氏とのコラボで出演したロシアのTV番組で着ていた衣装のおさがりでした。
 マンスール君、舞台デビューのアルマトイ・コンサートの時だけ新品のスッキリしたスーツだったのですが、あとはずっと、昔ディマシュが着ていた衣装のおさがりなのです。
 なにせまるであつらえたように兄貴の衣装の寸法が現在の弟君にピッタリなので、自分で稼げるようになるまではこれ着ときなさい、みたいな感じなんでしょうかね? 
 頑張れマンスール君!

★dimash_dears_downunderのIGより。10月25日付。



【ディマシュの形容が「カッコいい」……だと!??】

 そしてですね、祝賀コンサートのアクシデントとか「伏臥」とかとは関係なく、いや関係なくはないか、ともかくこの祝賀コンサートのディマシュがですね、なんと、「カッコいい」んですわ。
 さっきも『オリンピコ』のイントロで出てくるディマシュが「カッコいい」と、私、無意識で書いてますね(笑)

 スミマセン私、今までディマシュを見てて「可愛い」とか「美しい」とか、そういう風にはずっと思ってましたけど、「カッコいい」とはあんまり、いやほどんど思ったことが無くてですね、ちょっと前に「図書館男子」で1回書いたっけかな? でもそれは「そこはかとない」雰囲気だったわけですよ。
 それが、今回は全編、目が眩むほどカッコ良くてですね、そっちのほうによっぽど驚きましてですね、何が起きてんのよディマシュ!?? でございますよ。
 これ、とかね。


  しかも、今日(26日)になってフィリピン人の男性リアクション動画主さんまでが、この『オリンピコ』を見てディマシュを「ハンサム」と言っていて、このLGBDの彼からも初めてこの言葉を聞いたので、かなりびっくりしているところです。

 で、先ほどの友人シャリモフ氏の証言から、ディマシュが最初からこの称号を受賞することを夢に見ていたことがわかりましたが、それを読んでからちょっと考えてしまったことがあります。


【音楽家にとっての、「世俗的成果の価値」について(個人の意見ですが)】

 ディマシュのファンのdears達は、これは私が感じているだけではなく、カザフTVでディマシュにインタビューしたダナ・ヌルジギット女子(現カザフスタン議会上院議員副官)も仰っていたことですが、彼女の言によると、ディマシュの音楽を聴く人々は「内面の文化的な準備」が整った「知的な聴衆」だということです。
 この「知的な聴衆」は、IGで彼らの投稿文を読んでいると、ディマシュで初めて誰かのファンになり、初めてファンクラブに入会し、初めてこれほど心を奪われた音楽に出会った、と言っている人々が多いのです。
 そして、彼らが知らないでいるらしいことがひとつあります。

 それは、「音の世界」は非常に「不安定な世界」だということです。

 音は、目に見えず、手でつかむこともできず、鳴った瞬間から鳴った場所を離れていく現象です。
 そのため、物体としての肉体を持つ人間である音楽家は、肉体的にも心理的にも非常に不安定な状態を強いられます。
 それは、これだけ研鑽を摘み、学問としても音楽を研究し続けているディマシュにとっても同じことです。
 彼のような優秀な耳を持つ音楽家であっても、歌った瞬間に自分の声は自分から遠ざかって行き、それが楽器であったとしても、音のその性質として、音楽家は自分の出した「音」を本当に正確に自分で聞くことは出来ないのです。
 また、絵や彫刻、建築、文学などは、目に見える形で残りますが、音楽は目に見えないため、データとして残すことしか出来ません。データ媒体であるCDやパソコンなどは寿命が非常に短く、ネットはいつどんな理由でそのプラットフォームが消滅するかわかりません。
 楽譜に至ってはその音楽の100分の1も実際の状態を伝えられません。
 そういう意味でも、音楽の世界は儚く危うい世界なのです。

 そして、この音楽の特徴から来る彼らの心理的な飢餓感を埋めるのが、「CD売り上げ枚数」や「賞の受賞」「ライブの観客動員数」「YouTubeなどの動画再生数」や「評価数」そして「ファンダムの大きさとファンの興奮の度合い」という、音楽それ自体とは相当にかけ離れた世俗的な数字だったりするのです。たとえ彼らがそれらに無関心であったとしても、この数字が結局彼らの活動状況を左右するのです。
(ていうか、音楽自体が数学のアート的表現でもありますがね)
 ディマシュが少し前に自信を得たのがマレーシア・ライブの、しかも音楽のアート的な成功ではなく、お爺様との約束を守ってライブをキャンセルしなかったという「事実」だったこともそのひとつです。
 だから、彼が最初からこの「人民芸術家」の称号を夢に見ていて、数年前のNYでのコンサートもまた最初から彼の夢で、現在はロサンゼルスに住み、アメリカの超有名なプロデューサーと仕事をし、何故なら彼はアメリカの「グラミー賞」を喉から手が出るほど欲しがっていて、それは彼の本心だろうと私は思っているのです。
 SNSで活発に活動しているFCやdears達は、薄々こういったことを知っているようで、何とかしてディマシュのこの音楽的に危うい立ち位置を支えようと、毎日なにかをSNSに投稿したり、NYマンハッタンの巨大ヴィジョンに彼の広告を出したり、各動画のストリーミング回数を報告したりしています。こないだはUSのFCがセスナ機にディマシュの巨大バナーを取り付けて、ロスの海岸に空中広告を出してたな。
 しかしごく普通のファン達は、ディマシュの音楽の素晴らしさを彼らの心で知ってしまっているため、こういった「世俗的な価値」にあまり注意を払いません。
「知的な聴衆」である彼らは、ディマシュが素晴らしい人間であり彼の音楽が世界で一番素晴らしいことを世界中のdearsが全員よく知っているんだからそれでいいじゃないか、そんな世俗的な優劣の結果は彼には必要ないじゃないかと、知的であればあるほど、そう考えてしまうのです。
 それは、ディマシュにくだらない「世俗」に染まってほしくないし、自分自身もくだらない「世俗」に染まりたくないという、ごく自然な感情でもあります。

 実は私も、アメリカの「グラミー賞」については、今までそのような心境でいました。
 今や「グラミー賞」は、ディマシュが思っているほどにはその価値はないと、私自身は考えているからです。
 しかし。

 今回、彼が得た芸術家として最高位の「人民芸術家」の称号。
 私にとってその称号はディマシュの価値に何ら影響はないのだけれど。
 それでも、彼がその称号を手にしたことで、彼の雰囲気がこれほどまでに変化し、彼がこれほどまでに自信に満ちてパフォーマンスをすることが出来るのであれば。
 彼が将来、それを受賞出来ようと出来まいと、彼が「グラミー賞」などの世俗的な成果を欲しいと願い、それが彼の音楽活動を続けていくガソリンになるのであれば。
 私が彼の音楽をこれからも聴き続けたいと思うのなら、彼がそのような「愛らしくも切ない」願いを持つことを彼にも自分自身にも赦し、具体的に何かをしないまでも、彼のその願いを心密かに、でも無邪気に明るく応援し、ファンとしての愛のパワーを人間の魂が持つ不思議な伝達方法で彼に届け、これからも彼が音楽家として成長しながら末永く音楽活動ができるように、本質的な意味でのスピリチュアルな手助けをした方がいいんじゃないかな、と思った次第です。

【小歌神……からの帝王覚醒の巻?】

 それにしてもですよ。
 ディマシュは占星術のホロスコープ上、「帝王」の生まれです。
 ディマシュ帝王様は、これまでにdearsという自分の統治国民は手にしていたものの、「帝王」というのは「自称」のインディペンデンス系であって、ご自分の正式な称号はまだ手にしていなかった、けれど今回、祖国の国家元首から彼が夢見ていた最高の称号を手に入れ、人類の歴史にもがっつりその名を刻みつけ、名実ともに帝王となった彼は「無敵状態」なんですよ?
……みたいな物語が私の頭の中で展開されていくんですけど(笑)
 さあ、あとは領土拡大だぜ、みたいな(笑)

 無敵の男は怖いぞ。
 この「怖い」ってのは「強い」ってことです。
 この強さ、今の彼が感じているであろうこの無敵感が「カッコいい」って感じになってるんでしょうね。
 約1ヵ月前の『同行-Join Hands』では「小歌神」が目を覚まして動き出した、と思ったらもう帝王様が覚醒して本格始動ですか。
 ホントに、ディマシュくん……、君、前世はRPGゲームの主人公だったりしてないか???(笑)

(終了)


【注解】

(注1)  人民芸術家


(注2)クリャシュ・バイセイトワ

  クリシャシュ・バイセイトワの歌唱映像を、授賞式のTVニュースで見ることが出来ます。
★mysoul_dimashのIGより。10月25日付。


(注3)ディンムハメド・クナーエフ


(注4)ディマシュJFCの記事


(注5)予備の『オリンピコ』動画

YouTube動画:『Dimash - "Olimpico" FULL performance, Astana Opera, Day of the Republic 🇰🇿 2023-10-24 #dq #dimash』 by Tamara.D.D.  2023/10/26


 (注解、終了)

 

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