クラスのマドンナは人知れず泣いていた 最終話
翌日、案の定天気は大荒れ。
朝練は休みどころか、
登校もままならないほどの大雨。
僕はずぶ濡れになりながらいつもの登校ルートを走った。
すると、
ん、あれ、、正源司?
少し先でゆっくりと歩いている陽子を見つけた。
僕はチャンスだと思い、
雨で濡れたアスファルトを駆け抜けた。
〇〇: おはよ...!陽子ちゃん!
彼女は振り返って言った。
陽子: おはよ!〇〇くん!
記憶にある限り、あれ以来の会話。
時間が経っていたのでそこまで気まずくはなかった
陽子: ずぶ濡れじゃん...大丈夫?
〇〇: 大丈夫大丈夫。全然平気。
陽子: そうなの?大丈夫じゃなさそうだけど笑
〇〇: 陽子ちゃんこそ、大丈夫?濡れてない?
陽子: 大丈夫だよ〜、ありがとう優しいね!
〇〇: 全然全然!
陽子: 珍しいね、〇〇くんが話しかけてくれるの
〇〇: そうだね、、
陽子: どうしたの?
〇〇: いや、なんでもないよ。
陽子: 教室でもほとんど喋ったことないよね?
〇〇: ないね、ほとんど。
でも、ずっと陽子ちゃんと話したかった。
陽子: えっ、そうなの?嬉しい〜!
〇〇: あの、雨の日のこと、覚えてる?
僕はかなり踏み込んだ質問をした。
陽子: えっ、あの雨の日のこと...?
〇〇: 僕が、忘れ物取りに行った時。
陽子ちゃん、1人で教室の中にいたよね?
僕は圧をかけないように注意して、聞いた。
陽子: あっ、あの日のことか、、
〇〇: ごめん、言いたくなかったらいいんだけど
あの日、何か辛いことあった...?
陽子: うーん、、でも見られちゃったんならしょうがないか、、
〇〇: ん?
陽子: 〇〇くん優しいから言うね。誰にも言わないでね...
〇〇: うん、誰にも言わないよ、絶対。
陽子: 私、ほんとは目立ちたくないの。
みんな、私のとこに寄ってきてくれるけど、
みんなとどう接していいか分かんないの。
〇〇: うん。。
陽子: なんで、こんな私なんかのこと、みんな好いてくれるんだろうって。
あの日は、そんなこと考えてた。
僕は正直、そんな理由か、と思った。
でも、きっとマドンナにしか分からない苦悩がある
〇〇: そうなんだ。。ありがとう教えてくれて
可愛いからじゃない?なんて、
そんな無神経なことは言えなかった。
陽子: ごめんね、あんな泣き顔見せちゃって。
〇〇: いやいや、全然。
また、何か辛くなったら相談して。
いつでも、話聞くよ。
陽子: 優しいね、〇〇くん。ありがとう。
〇〇: 陽子ちゃんのことは本当に皆好きだからね。
自然体の陽子ちゃんでいいんだよ。
だから、自信持って。1人で抱え込まないでね。
陽子: ありがとう...
もしよかったら、今日一緒に帰らない?
〇〇: え、、もちろん!帰ろ!
陽子: やったぁ、ありがとう!
キーンコーンカーンコーン♪
陽子: あっ、チャイム鳴り始めたよ!やばい!
陽子は走り出した。
〇〇: 滑ったら危ないよ!気をつけて!
陽子: 大丈夫大丈夫!〇〇くんも急いで!
あっ、、!
陽子は転びそうになった。
〇〇: だから言ったじゃん、!
もうここから急いでも間に合わないよ、
ゆっくり行こ。
陽子: んん〜!遅刻なんてしたことなかったのに〜!
僕達のクラスのマドンナは思ったよりも繊細で、
思った以上にピュアで無邪気だ。
fin.
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