注文のない料理店 小早川潤子

お立ち寄りいただいきありがとうございました。 何もございませんが、しばしお付き合いい…

注文のない料理店 小早川潤子

お立ち寄りいただいきありがとうございました。 何もございませんが、しばしお付き合いいただければと思います。

最近の記事

      • 宇野千代の料理本 

         我が家は豚肉党で岐阜の某所から産直の豚肉を月一で取り寄せている。ロース肉の切り身の脂身を幾分か削って送ってくるので、「あのね、脂身が好きなんでそのまま送ってくれないかしら」と言ってみると、相変わらず切り身の脂身は削ってくるが、別添えで脂身の破片だけをおまけに付けてくれるようになった。そこでとんかつを揚げるときに、ついでにこの脂身オンリーも衣を付けて揚げ、美味しく食べていた。そして、こんなことをしているのはわたしたち夫婦くらいのものだろうと考え、誰にも言わないでいた。  と

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           高峰秀子は松山善三と結婚後、女優の仕事を半分に減らし、ようやくのこと本来の自分を実現し始める。その際の二本の柱は、文筆、そして十代のころから集めていた骨董品であった。  高峰秀子は、子役として五歳から仕事漬けで学校へ行っていない。簡単な計算が生涯できなかったし、結婚当初、この世には辞書というものがあり、分からないことは「辞書を引く」のだということを知らなかった。しかし、文才は隠しようもなく花開いた。出会った偉人達、谷崎潤一郎、梅原龍三郎は言うに及ばず、土門拳、黒澤明、自分が