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悪源太義平(あくげんたよしひら)の最後の一矢(その4 全6回)

大家さんは六波羅の清盛にこのことをこっそり言いに行ったんだ。
清盛の家来の難波次郎経遠なんばじろうつねとおひきいる六波羅武者所の兵士三百が義平たった一人をらえるためにすぐに向かってきた。この時義平とろくろうは床に入っていた。枕に兵馬の地響きが伝わってきて、二人はすぐに飛び起きたよ。
けれど、もう平家の武者たちに十重二十重とえはたえと囲まれていた。
そうさ。何重にも取り囲まれていたのさ。
「どうやら敵にさとられたらしい」
「ここは拙者が支えまする。若殿はすぐに逃げてくだされ」
ロクロウが刀のつかに手をかけた。
「切り敗れるかどうか分からぬが、その方も死ぬなよ」
「源氏の世を見るまではめったに死ねませぬ」
ろくろうの長屋の前にたった難波次郎経遠は
「悪源太義平殿。こなたにおわすると聞きつけて、難波次郎経遠とお、お迎えに参った。潔く出てまいれよ」
と大声で言った。
義平はせせら笑うとはかまのももだちを取り佩刀はいとうイシキリを引き抜いて飛び出した。ロクロウが後へ続く。
「源太義平、これにあり。われと思わん者は見参せよ」
義平がイシキリをかざして突っ込んでいく。
「あいてはたった二人だ。おしつつんで、からめとれ」
経遠が大声で言ったよ。敵は重なり合っている。味方が多すぎて身動きがとれない。そこへ義平のいしきりが暴れまわっていった。一振りすれば何人かが倒れていくのさ。味方の血しぶきを浴びて恐ろしくなって、切られまいと逃げていく。

今日はここまで、読んでくれてありがとう!てに汗握る展開!どうなっちゃうんだろうね!お休み、ポン!

#日本史 #平安時代 #源義平

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