最近の記事

吉祥寺サバイバルⅡ 対数期(log phase)-9 生存者探索上り方面 20XY年4月

 JR下り方面の三鷹から国分寺駅まで自分のポスターを張り、周辺を探索した。宿題として、拳銃の入手がある。保管庫と思われるものを武蔵小金井の交番から持ってきている。上り方面の交番で、簡単に入手できる可能性がある。翌日、朝食を済ましたついでにおにぎりを昼食用に準備した。犬のシロのために、ソーセージも持っていくことにした。  出発にあたり、改札の構造を改めて確認した。西荻窪、阿佐ヶ谷、高円寺は1ケ所である。荻窪は東改札の他に西改札がある。中野は北と南改札の2ケ所である。ポスターを

    • 12腕&手: 振るったり、切れたり

       腕とはヒトの肩から手までの部分を指す。医学的に、ヒトの腕は上肢(じょうし)と呼ばれる事が多い。腕は肘を境に、肩に近い方を上腕(じょうわん)、手の方を前腕(ぜんわん)という。  生物学的には「ヒトの腕は哺乳類の前肢にあたる」とも、反対に「哺乳類の前肢はヒトの腕にあたる」とも表現可能できる。この腕は魚の胸鰭(むなびれ)に由来している。通常は鰓蓋のすぐ後ろに存在するが、四肢動物の前肢に相当する。  多くの魚で、胸鰭(むなびれ)が歩行の補助をしている。例として、チョウチンアンコ

      • 吉祥寺サバイバル Ⅱ 対数期(log phase)Ⅱ-8 生存者探索下り方面 20XY年4月

         JR下り方面の三鷹と武蔵境駅にポスターを張り、周辺を探索した。次の駅が東小金井である。JR高架下の北側道路で一直線である。やはり、駅周辺には腐臭を放つ死体があったが、予想より少ない状態だった。この駅は小さく、店舗が連なる商店街と呼べるほどの通りは存在しない。ポスターを張って、次の武蔵小金井に向かうことにした。  車載のGPS地図を縮小して周囲を調査した。小金井市は桜で有名である。JR駅の出発メロディは「さくらさくら」が使用されていた時期がある。名所の一つが小金井公園である

        • 11体毛:逆立てたり、よだったり

           哺乳類はケモノ(毛物)といわれるように、体表に体毛を持つものが多い。この体毛は爬虫類の鱗、鳥類の羽毛と相同であり、爪1)と同じように皮膚2)の角質化によって生じている。  体毛の乾燥重量の90%以上はケラチンというタンパク質で、爪と同じである。通常の状態で約10%の水を含んでいる。ケラチンは硫黄を含むアミノ酸のシステイン同士のジスルフィド結合によって互いに結びついている。この結合は非常に強固で、ほとんど傷の無い毛が古代エジプトの墓で発見されている。  体毛は一般に体温の

        吉祥寺サバイバルⅡ 対数期(log phase)-9 生存者探索上り方面 20XY年4月

          吉祥寺サバイバル Ⅱ 対数期(log phase)Ⅱ-7 野菜畑と今後 20XY年4月

           前回、ヨドバシカメラで入手した冷凍庫を満杯にして、コーナンで野菜の種を入手できた。帰宅後、鍬と鋤を使用して、庭を耕した。土は硬くなかったので、楽に耕すことができた。肥料と石灰を蒔いて、トマトの苗を植えた。空きスペースには、持ってきた種子を蒔いた。ジョウロで水を加えた。芽が出てくるのが楽しみである。近くに畑にできそうなスペースを探すつもりである。また、水はいくらあっても困らない。ドラム缶を入手して、雨どいからの雨水をためるようにしよう。夕方になっていたので、沸かしなおした風呂

          吉祥寺サバイバル Ⅱ 対数期(log phase)Ⅱ-7 野菜畑と今後 20XY年4月

          10爪:隠したり、火を灯したり

           爪(つめ)は動物の指の先端の上面に存在する。表皮の角質が硬化して出来た皮膚の付属器官である。体毛や歯と同じく、魚の鱗に由来する相同器官である。これからは主にヒトの爪について説明する。  表皮から変化して出来た点においては、爪と毛を総じて「角質器」とも呼ぶ。爪には指先を保護する役割がある。その結果、手足の動作において指先に力を加えたり、うまく歩くことができる。爪は動物にとって重要な役割を果たしている。爪の下部には毛細血管が集中しており、爪は血液の健康状態に影響されやすい。

          10爪:隠したり、火を灯したり

          吉祥寺サバイバル Ⅱ 対数期(log phase)Ⅱ-6 引越し 20XY年4月

           日高は目を覚ました。悪夢を観ていたようだ。昨日は死体の処理をしていたが、慣れるものではない。習慣でTVを付けようとしたが、つかないことに気が付いた。顔を洗おうとしたが、水道も出なくなっていた。引越し先は多分大丈夫だろうが、やらなくてはならないことが増えた。  シロとともに朝食を済ました。向こうに持っていくものは最低限にしておこう。衣類、使い慣れた枕、食器、パソコン、CDである。それに冷蔵庫に入っている痛み易い食品も移さねばならない。缶詰など常温で大丈夫なものは後回しである

          吉祥寺サバイバル Ⅱ 対数期(log phase)Ⅱ-6 引越し 20XY年4月

          9 皮膚&肌:肌が合って、肌を許す

           皮膚(ひふ)は動物の体の表面をおおっている層のことで、器官のひとつになる。体の内外を区切り、その境をなす。また、動物によっては、皮膚感覚を伝える感覚器の働きも持っている。ヒトの皮膚は肌(はだ)とも呼ばれる。毛、爪、羽毛、鱗など、皮膚に付随する器官をあわせて、外皮系としてまとめて扱う場合がある。  ヒトを含む高等脊椎動物における皮膚の構造は上から「表皮」、その下にある結合組織系の「真皮」、さらに「皮下組織」と続いている。真皮には、汗を出す「エクリン汗腺」、「毛根」が存在し、

          9 皮膚&肌:肌が合って、肌を許す

          吉祥寺サバイバル Ⅰ 誘導期(lag phase) Ⅰ-4 A国L村&D国Mモンキーセンター20XY年2月

           北米のA国南部に存在するL村と連絡が取れなくなった。8000人程度が居住している小さな村である。村役場や警察、病院、学校などどこに電話しても、呼び出し音が鳴るだけで出る人がいないのである。そこで、州知事の指令により、ヘリコプターで上空から様子を観ることにした。夜間だったため、夜が明けてからヘリコプターが飛び立った。   ヘリコプターがL村上空に差し掛かると、異常が明らかになった。広場で大勢の人々が倒れているのである。何が起きているのが不明だが、近づくのは明らかに好ましく

          吉祥寺サバイバル Ⅰ 誘導期(lag phase) Ⅰ-4 A国L村&D国Mモンキーセンター20XY年2月

          吉祥寺サバイバル Ⅰ 誘導期(lag phase) 1-3 東アジアB国軍基地とホワイ諸島20XY年1月

           B国のメテオハンター朴可欣(前回登場)は奇妙な情報を入手した。しばらく前に調査を行ったところに存在した軍の基地が閃光とともに消滅したという。その時は内部に入れなかったが、改めて調査しようと出発した。しかし、ずいぶん手前で軍の関係者と思しき者たちが検問を張っており、近づくことすらできなかったのである。   消滅というのはどうやら本当らしい。いったい何があったのだろう。閃光という情報があったが、核ではないらしい。ガイガー・カウンターの数値は正常であるためだ。考えられる可能性

          吉祥寺サバイバル Ⅰ 誘導期(lag phase) 1-3 東アジアB国軍基地とホワイ諸島20XY年1月

          吉祥寺サバイバル Ⅰ 誘導期(lag phase) 1-2 メテオハンター 20XX年12月

           ふたご座流星群は盛りを過ぎた頃、地球に近づく隕石があった。その内に、隕石は多数の小隕石に分裂した。これらのかなりの部分が燃え尽きずに世界中に落下した。  メテオハンターのロバート・A・ナイニンガーは早速それを探しに出かけた。目的地はA国ケリフォルニア州など4州にまたがるメハーヴェ砂漠である。磁石やドローン、金属探知機と地図は欠かせない商売道具だ。調査は数日に及ぶため、食糧と水も欠かせない。いつでも出発できるように、オフロード車にこれらを積んであるのだ。  砂漠に着くと早

          吉祥寺サバイバル Ⅰ 誘導期(lag phase) 1-2 メテオハンター 20XX年12月

          吉祥寺サバイバル Ⅰ 誘導期(lag phase)   Ⅰ-1 ふたご座流星群 20XX年12月

           20XX年12月、例年通りにふたご座流星群を世界各国で観測することができた。ふたご座α星(カストル)付近を放射点として地球に降り注ぐ流星群である。母天体は小惑星ファエトンと分かっている。元々は彗星だったが、揮発成分を放出しつくしてしまった小惑星である。以前に放出したチリが地球の軌道と交差する軌道を巡っており、これが流星群となっている。  この年も流星をたくさん観察することができた。「1つの流星が輝いている間に願い事を3回唱えると、その願いが叶う」といわれている。数秒以内に

          吉祥寺サバイバル Ⅰ 誘導期(lag phase)   Ⅰ-1 ふたご座流星群 20XX年12月

          吉祥寺サバイバル Ⅱ 対数期(log phase)Ⅱ-5 宿舎探索 20XY年4月

           死体の処理はなんとか完了した。ただし、これで安心しているわけにはいかない。電気や水道がいつまでもつかわからないのである。止まった場合、宿舎を変更する必要がある。必要なのは、まず電気である。これは太陽光発電のパネルが載っている家を探すことである。充電池があれば、より好ましく、ガスはプロパンガスがよい。水は近くから汲んでくることになるだろう。  適した家を探すには自転車ではスピードが遅く効率が悪い。そこで、オートバイを探すことにした。吉祥寺には店が何件か存在する。愛犬シロや荷

          吉祥寺サバイバル Ⅱ 対数期(log phase)Ⅱ-5 宿舎探索 20XY年4月

          8 胃:腑に落ちて、穴が開く

           胃は食道に続く消化管を成す管状の器官であり、十二指腸に続いている。食道との間が噴門、十二指腸との間が幽門である。入口と出口が狭く途中がふくらんで袋状の構造になっている。全体の形状は多くの場合、図のような鈎形(かぎがた)である。  胃壁は内側から粘膜層、粘膜下層、筋層からなり、筋層の外側は漿膜に続く。粘膜には胃小窩(いしょうか)という微細な穴が無数に並んでいる。ここから分泌される胃液には塩酸が含まれている。したがって、pHは通常 1~1.5 程度と極めて低い。感染症の原因に

          8 胃:腑に落ちて、穴が開く

          吉祥寺サバイバル Ⅱ 対数期(log phase)Ⅱ-4 死体焼却 20XY年3月

           幸いなことに当面の食料と子犬という友を得ることができた。子犬に名前を付けよう。日高は「クレヨンしんちゃん」を観たことがあるので、「シロ」にすることにした。次になすべき仕事は明確だった。死体を集めて焼却しなくてはならない。  朝食を済ませた後、バールを拝借した工務店に向かった。ここにリヤカーがあることを確認していたのである。ついでに、金切り鋸と大きめのトンカチも拝借した。「拝借」という言葉を使うのは、きれいに整理されているため、使用後は返却したいと思っているからである。

          吉祥寺サバイバル Ⅱ 対数期(log phase)Ⅱ-4 死体焼却 20XY年3月

          7 のど捕捉&食道:違和感あれば検査

           前回の喉について、書き損ねたことがあるので補足しておこう。食品に関する最大のハザードについてである。死者は毎年4,000名を超える。原因食は多様だが、先日はウズラの卵で発生した。通常はもち、米飯、パンが多く、ナッツ類、飴玉、プチトマトが続く。お分かりだろう。多くの命を奪っているハザードは化学物質や食中毒菌という生物的要因でもない。食品そのものの物性と大きさという物理的要因であり、窒息が死因である。  やはり、65歳以上の高齢者が圧倒的に多い。高齢者はだ液の分泌と嚥下(えん

          7 のど捕捉&食道:違和感あれば検査