万景峰号が持ち出した金額


万景峰号が日本から持ち出した額はどの程度になるのだろうか。
2003.06.28日付けの読売新聞に、その数字が載っている。
タイトルは「北朝鮮へ送金や持ち出し、3年で12 7億円 9割、渡航者運ぶ/財務省届け出分」というものだ。正式な発表ではなく、読売の独自記事のようだ。全てが不正持ち出しではなく、承認を受けているものもあることを念頭に置いて、読んでいただきたい。

その概略を抜き出しておく。


2002年までの3年間に、日本から北朝鮮へ送られた資金は、財務省が正規の届け出を受けているだけで合計約127億円に達していた。

外為法は、金融機関を通じて国外に送金する際、送金額が500万円(今年度からは3000万円)を超えた場合、財務相へ報告書の提出を義務付けている。

また、海外への渡航者が百万円を超える現金を持ち出す場合も、税関に届け出を出さなくてはならない。

同省によると、資料の保存期間である2000年度以降の3年間に、北朝鮮側と送金契約を結んでいる日本国内の銀行など金融機関を通じて送られた金は、年間3億15億円の範囲で推移し、合計14億900万円だった。

一方、渡航者による現金の持ち出し額は、合計で113億6千百万円で、各年度の合計金額の約九割を占めていた。この3年間では2000年度の39億2千3百万円が最も多かった。

渡航者の大半は、現在では北朝鮮との間を直接結ぶ唯一の客船航路である「万景峰(マンギョンボン)‘92」号を利用したとみられる。

外為法で定められた金額を超えなければ報告・届け出の義務はなく、不正送金や第三国経由の送金をチェックするのも困難なため、政府関係者は「実際に日本から直接、間接に北朝鮮に送られる金は、もっと大きいだろう」とみている。

また、渡航者の持ち出し金額は減少傾向にある一方で、届け出件数が増加していることについて、公安当局幹部は、「拉致問題や核開発問題の浮上にからんで、万景峰号に対する検査が厳しくなったことなどが影響しているのではないか」と推測している。

外為法の解説

外為法は、対外取引の正常な発展、我が国や国際社会の平和・安全の維持などを目的に外国為替や外国貿易などの対外取引の管理や調整を行うための法律です。
外為法に基づき、特定の貨物の輸出入、特定の国・地域を仕向地とする貨物の輸出、特定の国・地域を原産地・船積地とする貨物の輸入などを行う場合には、経済産業大臣の許可や承認が必要となります。

https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/01_seido/01_gaitame/gaiyou.html


日本から北朝鮮へ送られた資金(財務省まとめ)
年度 送金額
2000 4億4 5 00万円
2001  5億8700万円
2002  3億7700万円
※カッコ内は報告・届け出件数
持ち出し現金額
(3 1)3 9億2 300万円
(2 5) 3 8億4 000万円
(2 8) 3 5億9 8 00万円

万景峰号の入港回数や持ち出し品については、参院の答弁書にも記述がある。

直接渡航者が持って行くケースが多かったことが分かる。送金では確実に届くか不安があったのではないか。

その後、万景峰号は入港禁止処分となり、今に続いている。その法的根拠を次回に取り上げたい。



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