与井杏汰

「よいあんだ」です。ショートショート的な短いストーリーを書いています。ちょっとした空き…

与井杏汰

「よいあんだ」です。ショートショート的な短いストーリーを書いています。ちょっとした空き時間で楽しんでいただける話を載せていきます。https://twitter.com/yoi_anda

最近の記事

領土争い

「今年は、中川県の勝利でした! さぁ、来年の対決はどのジャンルで、どちらの県が勝つのでしょうか? お楽しみに!」  MCがそう告げると、番組はエンドロールが流れ、CMに入った。 「これで2年続けて、中川県のモノだね」 「S島の人気は衰えないからな。この対決でさらに人気が上がってるし」  テレビを見ながら、若い夫婦はそんな感想を言い合った。 「ねぇ、私達も、今年の連休のどこかで、S島に行かない?」 「だな、しばらくインバウンドも多くて予約が取りにくいらしいから、夏以降でホテルに

    • 【雑文】 天気が良いので

      お疲れ様です。あるいはお元気ですか? 与井@自宅です。 今日は天気が良く、おまけに昼寝も熟睡できたので、ご機嫌です。 昼寝で2時間、そのうち深い睡眠(Byスマートウォッチ)が30分という、かなり良い疲労回復ができました。(昨夜からの睡眠も7時間でして) いろいろ休みの日もやるコトがたまっており、1つ1つは些細でも、タスクが溜まると(普段仕事でもそうですが)、義務(≒借金)が残っているような妙なストレスがあり、なんとなく不安になったり、精神的な疲労につながります。私がマジメ

      • 【雑文】 フリー

        毎度、多忙と疲労でもう週末の与井です。 フィクションのアイデアもありますし、適当に書き始めて(ノーアイデアで)いつの間にかストーリーになっているパターンも可能ですが、何となく先に雑文をちまちま書きたいお年頃です。 皆さん、フリーといえば、何を連想しますか? フリーランスの職業か、無料のサービスのことか、夜のお店で女の子を指名しないパターンのやつか、特定の恋人がいない状態のことか… フリー、という響きは、何となく楽しさとか得した感とか、あるいは無責任な危うさとか、いろいろ

        • 【雑文】 苦手分野の捉え方

          こんにちは。与井@疲労で披露です。 ヒーローになるには何か一つ足りないんだな。 皆さん、苦手分野はありますか? 例えば、これに関しては知識がない、この世界には興味がないから話題に入れない、この経験がないから恥ずかしい、で、仕事上のコミュニケーションとか、友人関係でちょっと不利かも、とか。 まぁ、ほとんどの人は万能ではないし、生きている時間は有限、また関心のある分野も人それぞれ。多様性とか言われる現代なら尚更、苦手分野はあっって当たり前です。 今回の話は、それって劣等感と

          万能リモコン

           高校生の宏伸は、暇に任せてネットオークションのサイトを見ていた。ふと、気になる商品が目に入った。 「万能…リモコン?」  それは、普通のテレビやエアコンのリモコンにも見える、黒い縦長の箱に、「+」や「ー」ボタンが十字についているシンプルなものだった。説明書きには「電気製品のみならず、人や動物もコントロールできる万能タイプです。単3電池2本で動作します」とあるだけで、詳細は書かれてなかった。 「いや、嘘だろ」  そう心の中で思ったものの、値段が安いこと、そして遊び心もあって、

          万能リモコン

          迷宮エレベーター

           ターミナル駅前の商業ビル。エレベーターのドアが開くと、誰もいないその空間に向かって、デート中の2人は談笑を止めずに入り込んだ。 「知ってた? ここの地下レストラン街は穴場だって」  智代は樹大にそう言うと、エレベーターの地下1階を押した。 「高層階とか見晴らしのいいところにあるレストラン街も多いけど、ここは地下だけど美味しい名店が揃ってるんだよ」  エレベーター移動中もそんなテンション高めの彼女を見て、ランチの場所1つでこんなに盛り上がれるって、付き合い始めの特典だよな、と

          迷宮エレベーター

          【雑文】 うらら

          こんにちは。与井@少し眠いです。 春うらら、と書こうと思って、「うらら」って何だ? 他には山本リンダの歌詞くらいでしか見かけない単語。 と思いあたり。 うららの意味もわからずに使用するのは物書きの端くれとしてどうなんだ、と思うし、「いくら」といえば「How much?」の日本語訳か、波野家の長男か魚卵系の3択だった平成までと異なり、令和では「YOASOBI」の女性ボーカルがその名を使用しており、バイデン大統領や岸田首相とも交流があるわけで、「いくら」業界ですらこれだけ主導

          【雑文】 うらら

          幸運クーポン

          「ねぇ見てこのアプリ」  電車の中で、佳美は手中のスマホをかざした。 「毎日、抽選で幸運が当たるんだよ」 「幸運? 何かと引き換えのクーポンじゃなくて?」  隣にいた昌宏は聞き返した。 「これはね。幸運がもらえるクーポン」  佳美はニコッと笑うと、そう答えた。 「どういうこと?」  昌宏の怪訝な顔に、佳美は軽く答えた。 「マサ君も試してみたら? 私はまだ当たったことないけど」  昌宏は教えられたアプリをインストールし、アカウントを登録した。早速クーポンが複数表示され、良くあ

          幸運クーポン

          【雑文】 春、新年度

          なんとなく新年度は楽しいですね。 何かが変わっていくような、一新されるような「雰囲気」が好きです。 (実際はあまり変化がないとしても) 日本の場合、新年(1月1日)と新年度(4月1日)の2回区切りがあります。 大晦日(12月31日)から元旦(1月1日)へ切り替わりは、厳かな、年末の押し迫った、ある種の息詰まった感じから、何も無い真っ白な「年」が始まる開放感(今年については元旦から大変な事が続きましたが)という終点→始点へ切り替えのようなダイナミックさがあります。 それに対

          【雑文】 春、新年度

          トロッコ問題

           トロッコがレールの上を走る。トロッコには5人の子どもたちが乗っており、開放感と疾走感に歓声を上げている。レールの先には別の子どもが遊んでいる。子どもは耳が不自由なのか、トロッコの歓声に気づいていない。レールの途中には分岐器(ポイント)があり、子どもが遊んでいる方向とは別のレールには1人の老婆が足を痛めてその場に佇んでいる。どうやら自分では動けないようだ。あなたはトロッコが分岐器を通過する前に、その転てつ機(切り替えレバー)を倒せる位置にいる。  あなたならどうするか。

          トロッコ問題

          【雑文】 現代に生きる幸せ

          春が近づいています。 寒いながらも、季節は順調に進んでると思います。 さて、大谷選手と水原元通訳の件は気になりますが、今回の記事を書くきっかけは、大谷選手のこれまでの活躍と、それを見て歓喜するたびに感じたことが関わっています。 私は(そしてこの記事を同時代に読んでいる諸氏は)、偶然この時代に生きています。中には未来から来た、とか、実は前世で希望を出して通った、とか、あの世もゴニョゴニョが通じるから、希望の時代があるなら覚えておくと良い、とか、そういった特殊事情の方もいるか

          【雑文】 現代に生きる幸せ

          夢の再生

          「あなたは自分の見た夢を覚えていますか?」  そんな問いかけに、真治は「いえ」と答える。するとその男が妙なものを取り出した。 「こちらはまだ一般には販売していないものですが」  男はそう言うと、その装置の説明を始めた。 「寝ている間にこの箱を枕元に置いて、こちらの輪を頭に巻いてください。目が覚めたら、この箱とリンクしたあなたのスマホでアプリを立ち上げると、あなたの見た夢が再生されます」  にわかには信じがたい、それこそ夢のような話だったが、お試し版ということで無償になるそうな

          1枚の似顔絵

           しばらく会えなくなるから、と彼女は包に入った板状の物を差し出した。 「これ、たまたま街で似顔絵屋さん見つけて、描いてもらったの」  僕は、包を開いて、中を見てみる。 「へー、いい感じの絵だね」  そこには、わずかに微笑む彼女の姿が美しく描かれていた。 「これからは遠距離になるけど、これ部屋に飾って、私のこと思い出してね」  彼女はそう言うと、今日は用事があるから、と手を振って別れた。  それから1週間後、彼女がこの街から居なくなった。僕は寂しさを紛らわすため、毎日部屋の似

          1枚の似顔絵

          「リアルいいね」開発者の思うこと

          *この物語はフィクションです。  世の中、SNSの普及で「いいね」流行りだ。  写真だろうと、文章だろうと、音楽だろうと、創作活動に携わる者は、いや、ただの思いつきの投稿しかしない者まで、誰かに承認されたい欲求と、それを簡単に叶える魔法のシステムで、とりあえず「いいね」の数が増えれば満足、少なければ落ち込む、そんな社会になってしまった。  だから、私は考えた。そして開発した。ネット上だけじゃない、リアル空間でも「いいね」が押せる世界だ。IoTって言葉をご存知だろうか。あら

          「リアルいいね」開発者の思うこと

          【雑文】 ドラマとかで見かける「時間」

          現代人、余裕がない人、多いと思います。小生もそうです。 小生どころか、極小性、超極小生、などと進化しても良いくらい、時間や気持ちに余裕がない時もあります。 ところがドラマを見ていると(そういう時間はあるんだ、という指摘はさておき)、超多忙であるに違いない医者や刑事、経営者や学校の先生などが、結構な暇ごと(失礼)に付き合ってるんですよね。悩みを持つ人の話をゆっくり聞いて寄り添ったり、一緒に解決したり、あるいは楽しい時間を過ごしたり。 「これは、小生が時間の使い方が下手なだけ

          【雑文】 ドラマとかで見かける「時間」

          判断力向上サービス

          「あなたの判断力を高めます」  谷繁はSNSで流れてきた広告を何気なくクリックした。 「いつも迷ってばかりのあなた。あの時、ああすれば…と後悔の多いあなた」  そんな大きな見出しが踊っている。 「そんなあなたの判断力を向上させます!」 「それでも迷ったら、高度AIがあなたの判断をサポート!」  なるほど。そういうサービスか。ま、今風だな。値段は?そう思って画面をスクロールする。 「今なら、1ヶ月無料で開始できます!」  お、そうか。どうせ暇だし、試しにやってみるか。谷繁は深く

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