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 「英語は嫌いです!」 自信をつけた部長さんの話

私は現在、公立高校で非常勤講師とオンラインで大人向けのやり直しの英語講座を開講しています。そのオンライン講座を受講してくださっている生徒さんのお話です。

彼女は大手企業で部長職を担っています。週に1回の海外クライアントとのオンラインミーティングや、海外出張、国内でも外国人相手に仕事をしないといけないというポジションの方です。英語ができなくても正直、どこに行っても通訳の方がいるので、仕事では困らないそうです。ではなぜその方が私の講座に申し込んだのでしょうか? 

オンラインミーティング参加者のうち、半数は英語ができる、残り半分は全くできないのだそうです。彼女はできない半数に入っています。できなくてもいい、でずっとやり過ごしてきたそうですが、本当は英語を話したい、外国人とパーティや仕事以外で話をして交流を深めたいとう気持ちに気付いたそうです。

さて、超初級英語講座を受講して前半のステージが終わった時に、継続したいと言ってくださいました。英語も当初より明らかに上達していたので、それを実感してのことだったかと思いましたが、返ってきた言葉が「英語は嫌いです、学生時代からずっと」でした。嫌いだけど、話せるようにはなりたいのだそうです。その時点で実際英語力が上がっているのかの実感も彼女にはありませんでした。でも、私との講座は楽しいのだそうです。(やった!)

彼女は実は英語を学ぶ上では比較的恵まれた環境にいました。外国人のスタッフもいますし、週1回のミーティングは英語です。やろうと思えばいくらでも英語を話せるチャンスはありますが、今一つその機会を活かしていないようでした。

そんな彼女にある意味絶好のチャンスが訪れます。スペイン出張です。先方のクライアントはもちろん全員スペイン人ですが、英語で商談をするのだとか。どうしてもその時までに、英語で挨拶したい、自己紹介くらいはできるようになりたいと、今までになく、意欲的です。

約1ヶ月、通常の授業ではなく、出張に特化した内容の英会話講座に切り替えて、ホテルやレストランで使う表現や、自己紹介等を練習しました。今まで、宿題も満足にこなせなかった方が、初めて目を輝かせてやる気になりました。果たして、その成果はどうだったのでしょうか。

一生懸命覚えた自己紹介は、パソコンのデスクトップに出してそれを読んだだけだそうですが、それでも “英語が上手い”と褒められたそうです。街中や店では、英語はほとんど通じなかったそうですが、ホテルでは覚えたフレーズを使いそれでコニュニケーションが取れたそうです。パーティでも2往復くらい会話が続いたと喜んでいました。初めて彼女の口から「自信がつきました」という言葉が出ました。

自信というのは、自己肯定感が上がるということです。学生時代から英語ではいい思い出がないと話していた彼女が、初めて英語で自信を得たわけです。私も嬉しい。

今回、彼女が自信をつけた理由は、

1 英語を話したい、英語で外国人とコミュニケーションを取れるようになりたいという気持ちに素直に従ったから

2 英語講師のいうことをきちんと守って練習をしたから

3 切羽詰まった状況で諦めずに、前を向いたから です。

もし、彼女が「通訳もいるし、どうにでもなる」と思ったら、決して自信はついていないでしょう。今まで中途半端だった、英語への熱意がようやく開花した気がしています。

講座も残すところあと3回で終了です。中学文法を終わらせなくてはいけません。その後どうするかは彼女次第です。「本格的に英会話を学びたい」という意思表示もありました。私の元で継続するか別に移るかはわかりませんが、とにかく彼女の英語への自信と意欲が私にはとても嬉しい。彼女の自信がさらに強くなり、英語力向上のお手伝いが引き続きできたらいいな、と思っています。
あっ!彼女に「英語は好きですか?」と聞くのを忘れてました。
さて、彼女はなんと答えるでしょう?


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