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【美術展レポ】横浜トリエンナーレと、半券サービスで中華街を満喫。

2024年は、家族で月イチ美術展巡りをしています。3月は、子どもがインフルエンザにかかってしまい、計画していた美術展と旅行が中止になってしまいました。事前チケットまで購入して楽しみにしていただけに、残念ですが仕方がありません。キャンセル不可の事前チケットはなかなかリスクが大きいなと感じてしまいました。

さて4月は、横浜美術館がリニューアルされたということで、3月15日(金)~6月9日(日)まで開催されている「第8回横浜トリエンナーレ『野草:いま、ここで生きてる』」に行ってきました。



トリエンナーレって?


いきなり余談になりますが、「◯◯ビエンナーレ」や「◯◯トリエンナーレ」って芸術祭の名前でよく聞きますよね。これは、イタリア語で「2年に一度」「3年に一度」という意味だったんですね。実は私は初めて知りました。

ビエンナーレ(biennale)とは、イタリア語で、2年に一度 という意味で、2年に一度開催される大型の芸術祭のことを指します。

トリエンナーレ(triennale)とは、イタリア語で、3年に一度 という意味で、3年に一度開催される大型の芸術祭のことを指します。

ビエンナーレ、トリエンナーレの違いって?2017年、国際芸術祭に行こう


横浜トリエンナーレ


「横浜トリエンナーレ」は、「トリエンナーレ」なので、3年ごとに開催される芸術祭ということです。今年は8回目になります。国際的に活躍するアーティスティック・ディレクターを毎回招き、世界のアーティストたちがいま何を考え、どんな作品をつくっているかを広く紹介することが特徴です。

横浜美術館入り口

【開催概要】
『第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで⽣きてる」』
・会期
2024年3⽉15⽇(⾦)〜6⽉9⽇(日) 休み:毎週⽊曜
・時間
10:00-18:00  (6/6-9は20:00まで開場)
・会場
横浜美術館、旧第⼀銀⾏横浜⽀店、BankART KAIKO、クイーンズスクエア横浜元町・中華街駅連絡通路

公式ホームページより

テーマは「野草:いま、ここで生きてる」

テーマから推測されることは、野草のようにたくましく生きている姿をアートで表現しているのでしょうか。

「野草:いま、ここで⽣きてる」というテーマは、中国の⼩説家である魯迅(1881〜1936年)が中国史の激動期にあたる1924年から1926年にかけて執筆した詩集『野草』(1927年刊⾏)に由来します。

公式ホームページより

展示のテーマキーワード「野草」は、中国の有名な小説家である魯迅の詩集に由来しているそうです。魯迅ですか…中国の作家ということ以外に、知識とぼしき私には時代背景はうかびませんでした。

- 魯迅は、古い秩序が崩壊し、新しい秩序が生まれた経験から絶望を受け入れ、闇の中から出口を見つけようとした。

- 「野草:いま、ここで生きてる」というテーマは魯迅の哲学に共感するものであり、無秩序で抑えがたい生命力を象徴している。

- 「野草」の人生哲学は、個人の存在があらゆるシステムを超えて尊厳ある存在へと高められることを示している。

公式ホームページから要約

このテーマは、魯迅の人生観と哲学に共感するもの、ということのようです。

ADはリウ・ディンとキャロル・インホワ・ルー

2024年の横浜トリエンナーレのディレクター
おふたりとも私と同年代だ


グランドギャラリー

さて、会場である横浜美術館に足をふみいれると、目の前に飛び込んでくるのは天井いっぱいに広がるインスタレーションです。そのちょっとおどろおどろしい雰囲気と、その大きさには圧倒されました。

こちらは、コンゴ共和国のサンドラ・ムジンガさんの作品です。

サンドラ・ムジンガ(コンゴ共和国)《出土した葉》2024年
サンドラ・ムジンガ(コンゴ共和国)《出土した葉》2024年

グランドギャラリーでは、ほかにもこんな作品がありました。

マイルズ・グリーンバーグ(カナダ)《マルス》《ヤヌス》2022年 
自らのパフォーマンスをスキャンし、そのデータをもとにつくられた彫刻作品
ヨアル・ナンゴ(ノルウェー)《ものに宿る魂の収穫/Ávnnastit》2024年 
北欧とロシア北部を移動するトナカイ遊牧民「サーミ族」の血筋をひくアーティスト
居住空間のインスタレーションは木や竹、廃材が使われている
エマニュエル・ファン・デル・オウウェラ(ベルギー)《VideoSculpture XXVIII》2023年
トランプ2020年のトランプ支持者による国会襲撃事件に関する映像を流し、映像にはノイズ・画面には傷がある。作品の下の配線がすごい…これもこの作品からのメッセージなのかな

グランドギャラリーの作品のごく一部ですが、かなりメッセージ性の濃い作品が多いな、という印象がありました。

つぎに、エスカレーターで一つ上の有料エリアに移動しました。
お出迎えしてくれたのが、天井から床まである大きなタペストリーといってよいのでしょうか。

テーマにもなっている「野草」の押し花のようにみえました。淡い色使いと植物そのもののありのままの形を、人の顔に見立てている作品もあって、見ごたえがありました。

お顔?モヒカンの人に見えませんか?感じ方は人それぞれ…

ここまでは、まあ良かったのですが、このあとの作品は、戦争や政治色が強かったり、子どもには強烈すぎる作品が多かったので、途中で困ったなあ……と正直思ってしまいました。

そのようななかで、2つ紹介します。

おや、無印良品を感じる作品!と思ったのがこちら。小学生もぐいぐいみていた作品。

作者は、オーストラリアの先住民族アボリジニの血をひくマシュー・ハリスさん。先祖のたどった複雑な歴史をテーマに絵画や立体作品を制作している方だそうです。

この箱は、物館の収蔵庫の棚に整然と並べられた膨大な数の箱が描かれています。中に収められているのは、アボリジニの人びとの遺骨や神聖な遺品だそうです。解説を読むと、とても重いテーマであることがわかりました。子どもにとってはさらに難しい……。

マシュー・ハリス(オーストラリア)《忘却の彼方へ》2023年

つづいて、こちらは土肥美穂さんの作品です。木や真鍮、銅板や糸、布、紙など様々な素材を接合させた立体作品を制作しているそうです。異素材の組み合わせがおもしろく、独特の美しさを感じる作品でした。写真ではうまく伝わりませんが、このような作品は実際に目で見るのがいちばんですね。

土肥美穂(日本)《buttai83》2021年



子どものアートひろば「はらっぱ」

横浜美術館には、子どものアートひろば「はらっぱ」というエリアがあります。いろいろな形のスタンプを使って創作したり、展覧会の感想を書いたり、休んだりできます。

こちらはホームページ引用
スキな色紙を選んで、スキなスタンプを自由に押して遊びます
出来上がった作品は室内に飾ってくれます。

小3になったばかりの次女にとって、ちょっとハードな作品の見学がつづき、退くつ気味だったので、ここでプチ休憩しました。

未就学児向けのコーナーかなと思いましたが、一緒のテーブルで、1才ぐらいのかわいい女の子がスタンプを押している姿をみて、「かわいいね〜。」なんて言いながら和みました。


横トリの会場はたくさん

横浜美術館のリニューアルでこの作品群は、正直ちょっとどうかな……?と思ってしまいました。

横トリ(横浜トリエンナーレ)の会場は、横浜美術館だけではなく、旧第⼀銀⾏横浜⽀店、BankART KAIKO、クイーンズスクエア横浜元町・中華街駅連絡通路でも開催されています。

チケットは3個所で利用できるので、別の日に他のエリアを見学することが可能になっています。ですが、他のエリアも内容が似ているようなので、家族での見学は遠慮しようかな…と思っています。

横浜トリエンナーレにびじゅチューン!


ちょっと怖い作品がつづき、気持ちが少々沈んでしまったところで、NHK横浜放送局で開催中の横浜トリエンナーレ関連イベント、『びじゅチューン!』のなりきり美術館の存在を知りました。

「これは見逃せない!」と思い、私たちは20分ほど歩いて向かいました。

横浜トリエンナーレ×なりきり美術館

最終日だから?ガラガラでしたので、ひととおりなりきり体験をしました。

浮世絵は作業を分担している。チームワークで作品を仕上げていくことがわかる展示
雨は愛すがどう描く?
絵師になりきって、雨のスタンプでスキな雨をふらせる体験。
スタンプを重ねておすことで、オリジナルな雨の様子が描ける。
体感!ザパーンドプーン北斎
「冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏」を拡大映像化。
絵のなかの舟に乗る人物になりきって、映像の前で「ジャーンプ!」判定は「中波」
洛中洛外 グルメチェック
屏風の横のモニターに示された京のグルメや人物を探すクイズ形式の体験展示
意外とおとなも必死に探してしまいました。

ひととおりの体験を楽しみ、気分も新たになったところで、お腹が空いてきたため、少し早めの晩ごはんを食べに中華街へ向かいました。


横トリチケットでお得な半券サービス


横浜トリエンナーレは、チケットでお得なサービスが受けられます。対象の商業施設・商店街はたくさんあり、そのなかに中華街のお店も含まれていました。

会計10%オフや、ドリンク1杯無料や、デザートサービスなどの特典が受けられます。


いざ、横浜中華街へ



インバウンド需要で、中華街も外国人旅行者が多く、まるで海外旅行の気分。子どもに「中国に来たね〜。」と話しながら中華街をぶらぶらと歩きました。

半券サービスを利用できるお店で食事をしました。「あ〜美味しかった。」と満足しながら会計をしようとしたところ、提示したチケットに対し、店員さんから「そんなサービスは知らない。うちはやってないよ。」と言われてしまいました。


半券サービス利用でプチ騒動

おどろいたことに、店員さんは誰ひとりこの特典のことを知らなかったのです。

ホームページをスマホでみせて、このお店は特典を受けられることを説明すると、中国人の店員さんは、店長と思われる方と電話で話しはじめました。

以降は、想像の会話です。

店員:「なんか横浜トリエンナーレとかいうイベントでうちが割引だしてるみたいだけど、知ってる?」

店長:「知らないよ、なにそれ?」

店員:「ソフトドリンク1杯無料だって」

店長:「そうなの?りょうかい。」

(すごい剣幕でした……。)

チケットをもう一度提示すると、レジを打ち直してくれましたが、今度はチケットを返してくれなかったため、このチケットは何度も使えることを説明しました。

その後、店員さんはまた店長に電話をしていました。

あきらかにめんどうな客扱いされてしまいましたが、何度かのやりとりのあと、店員さんはチケットをポイッと投げるようにして返してくれました。

なぜか、その態度にちっとも悪い気がしませんでした。

そう、海外にいったときに感じる異文化体験
中国に行ったときの、あの無愛想な応対を思い出しました。

なんだか海外旅行をした気分を味わって、楽しかったなあ

ライトアップされた街並みはさらに中国感がアップ、食事で満足したにもかかわらず、ゴマ団子や肉まんも買って帰りました。記事にまとめながら、食べ物の写真をいっさい撮っていなかったことに気づきました……。

中華街の門は立派です
赤ちょうちんが可愛いね


横浜トリエンナーレから、びじゅチューンなりきり美術館、そして最後は中華街で擬似海外旅行体験をしてきました。

最初の展示では、気分がドーンと沈みがちでしたが、最後は中華街で美味しいものを食べ、ぶらぶらと海外旅行の雰囲気を味わえました。心の変動が大きくて、正直疲れましたが、満足な一日だったということにしましょう。

以上です。


長い記事を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
また読みにきてくださると嬉しいです。


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