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フリーランスの産休育休問題、現時点ではこれがベストな解決策 #011

先日、この記事を見てフリーランスの産休育休について考えてみました。

私自身、個人事業主ですが、フリーランスの場合、支援のみではどうにもならない問題があるため、現時点でベストなのは

動きが取りづらい時期は絶対的に信頼できる同業者に仕事を任せ、可能な限り速やかに仕事復帰

だと考えています。

フリーランスが出産や育児で仕事を休む場合、2つのお金の問題があります。

①休むと収入0、けど社会保険料負担は一瞬で再開
②休むと顧客離れ&勘が鈍るのが超心配

① 休むと収入0、社会保険料負担は一瞬で再開

フリーランスは、配偶者の社会保険の扶養の範囲内の収入の場合を除き、基本的には国保の加入者だと思います。国保には、出産手当金はありません。

また、雇用保険の被保険者でもないので、育児休業給付金もありません。

先の記事のコメント欄には「保険に入っとけばよい」というものもありましたが、世の中の所得補償保険は、妊娠出産を理由とする休業には支給されません(ただし、切迫早産など妊娠に伴う病気の場合は除く)。

つまり、現状、フリーランスで産休や育休を取ると、収入を得る手段が全くないということになります。

収入はなくなりますが、出産育児に伴って免除制度があるのは、2023年12月時点では、国民年金保険料のみです。

2024年1月から国民健康保険料も軽減措置が始まります。ただし、こちらは「免除」ではなく「軽減」なのでゼロになるとは限りません。

注目なのはその期間。

いずれも、免除または軽減は、出産の前の月〜出産の翌々月の4ヶ月間のみ、です。

この期間、体感では秒で過ぎ去ります。他方、会社員、公務員の場合は産前産後休暇中、育児休業中はずっと免除されているのでえらい違いです。

先に述べたとおり、フリーランスは出産育児で休業してしまうと収入ゼロですが、産後2〜3ヶ月からは社会保険料が普通にかかる。けど、産後2〜3ヶ月で働くためには本人の体調が良好で子どもを預かる施設や親族がいるなど、かなり恵まれたケースに限られます。

つまり

思うように働けないままフルで社会保険料負担が再開される、という状態がデフォルトになります。

ただ、調べてみると産前産後の国民年金の免除を受けている人数は、毎年わずか1万人です。

出典: 厚生労働省年金局
「令和4年度の国民年金の加入・保険料納付状況」

現状、フリーランスの妊娠した女性はすべからくみな、経済的基盤に不安をかかえて産前産後や育児に利用できる制度を探して利用しているはず(ですよね?)。なので、1万人という数字は、日本の年間全フリーランサー出産者数(被扶養者除く)と考えて良いはずです。

とすると、社会保険料の減免期間を何ヶ月か伸ばすのにそこまで予算はいらないはず、なので今後十分改善される余地のある話かな、と思います。

年間出生数約80万人なので、80分の1のなかなかのマイノリティなので後回しにされる度が高そうですが、将来のプレママフリーランサーのために声はあげないといけないな、と。

② 休むと顧客離れ&勘が鈍るのが超心配

ただ、私は、フリーランスの育休の最大の壁は、実はこちらの問題だと思います。

商売をしていると、継続して発注してくださるお客様はとっても大切です。弁護士の場合も、顧問契約があると、長期休みを取ろうとしても案件があれば対応しなければなりません。

また、長く休むと仕事の勘やスピード感を失うことも心配です。

私も、出産前後で対応できなくなったり対応が遅くなったりすることで顧問先との関係が悪くならないか、本当に不安でした。

今後、もしフリーランスにも出産手当金や育児休業給付金のような公的な給付制度が創設されたとしても、この問題は解消されません。

この問題に対処するために現時点で私が一番必要と考えるのが、最初に述べたとおり、産前産後のどうにもならないときに仕事をお願いできる同業者の存在なわけです。

仕事のクオリティ、人柄ともに素晴らしく、かつ、困ったときには助け合える、また、不本意に顧客を奪われるようなことはなく、安心して仕事を任せることができる。なかなかそんな人を見つけるのは難しいですが、もしそんな同業者がいれば、産前産後などどうしても身動きが取りづらい時期だけその人に仕事を任せられれば、しばし安心して休みが取れます。

とはいえ、いつまでも仕事を離れるとお客様が戻ってくれるか心配、また、仕事の勘もにぶる。そこで、体調と環境が整い次第、できるだけ速やかに仕事復帰する、ということもできれば、顧客離れリスクを最小化できます

私の場合、2人目の出産の時には事務所が2名体制で、いわゆるイソには安心して仕事を任せられる状態だったので、産前産後はめちゃくちゃ仕事をお任せしてしまいました。

というわけで、今フリーランスでこれから妊娠出産の可能性がある方には「超優秀で人柄も良い同業者を身近に見つけたら、その同業者にいつでも仕事をお願いできるように仲良くなる」ことが、最重要事項といえるでしょう。

これはあくまで2023年12月現在での私見ですし、ある程度妊娠出産の経過が順調な場合に限られる話ではあります。

それでも、80分の1のマイノリティが少しでも不安なく妊娠出産を乗り切れるよう、これからも私なりにベストな方法を考えて発信していきたいな、と思ってます。

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