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技術は年単位、経営は日単位

時々同業の整体師先生方から相談を受ける。技術のことだったり、接客の悩みだったり、開業の相談であったり。(あまりに悩んでいる人が多いのでわごいちSHOWROOMというプログラムも作ったほどだ)

さまざまな整体師の相談に乗っているうちに、おおよそ共通する傾向がある、そんなことを思うようになった。

まず技術について。

特に5年、10年、20年とキャリアを積んだ人に多いのが「自分の技術に確信を持てていない」ということ。みなある程度の自信はもっている。長年磨いてきた技術だから思い入れも愛着もある。しかし結果をみれば「もう少し」と感じている。自信はあるが確信に至ってない、そんな人が少なくない。

そういう人たちの典型的な過ちが「勝負が早い技術」に惹かれてしまうことだろう。

「3週間でマスターできる」「すぐ効果がでる」「誰でも効果が出せる」というような、まるでどこぞの牛丼屋のようなキャッチコピーの技術セミナーに飛びついてしまった人は少なくない。そしてそういう人は、大抵伸び悩む傾向を感じる。技術は年単位で磨くものなのだ。

最近ではすし職人も3ヶ月で養成する学校があるけれど、まあそれはそれで本人が良いのならいいけれど、飯炊き3年握り8年をみっちりと積み上げてきた本当のすし職人の握りとはやはり違う。

3ヶ月でデビューしてしまった人は、基本の握りが甘いから、ネタの豪華さや派手さで勝負するしかなくなる。SNSで映えを追求するしかなくなる。

しかしそういう方向性の職人はごまんといるので、どうしても競争が激しくなり、大抵は価格競争にのまれて負けてしまう。整体でも同じようなことはよく起こっていると思う。

技術は年単位。

なぜか最近こういう当たり前のことをいう人が減っているので、私はあえて言い続ける。技術は年単位で「本当の修行」を積み重ねないと、人から抜きんでる技術は決して身に付かない。


次は経営の話。

技術は年単位で地味にじっくり積み上げるものだが、経営はその逆である。よく言われるが経営はスピード感が大事なのは間違いない。

「朝令暮改」という言葉がある。朝に発令した法律をその日の暮れに改める(修正する)という意味で、良くも悪くも使われる。

経営に関してはこの「朝令暮改」は良い意味を持つ。良いと思うことはとにかくやってみる。やってみて違うなと思ったら、やり方変えてまたやってみる。なんどでもやってみることが大事。

例えばIT業界ではベータ版というやり方があると聞く。新製品がまだ未完成でもとりあえず「ベータ版です」といって世に出してしまう。色んな人に試してもらったデータを集め、プログラムを修正していき、精度の高い完成品に持っていく。

試作品だから欠陥はある前提だ。欠陥もオープンにしながらユーザーと共に開発していく。確かにこれなら製品化のスピードも精度もグッと上がるだろう。整体院の経営もこのベータ版のようにやってみるといいと私は思う。良いと思ったらとにかくやればいいのだ。

「失敗しないようにちゃんと吟味してから」なんて言っているうちに貴重な2年3年が過ぎていき、その年月は決して戻ってこない。
隣の整体院はすぐに行動し、いろいろな問題が起こるたびに修正改善を重ねたために、3年後に大成功しているかもしれない。その時に行動を起こさなかったあなたの院はどうなっているだろう。

実際に私が経営するわごいちも色々なベータ版を出している。冒頭で紹介した<わごいちSHOWROOM>もその一つだ。上手くいけばいいが、「なんだか思っていたのと違うな」と思ったら、その都度修正していくつもりだ。

「失敗するところをみられるのは恥ずかしいからできない」という人は、経営をしない方が良い。経営は決断力と行動力。それを持っていないと経営は後れを取り続けるだろう。厳しいけれどこれは現実。

ぐるっと整体業界を見渡すとあべこべの人も結構多い。つまり「経営は年単位。技術は日単位」な人たちだ。こうなるとまず成功しない。でもそういう人が意外に多いように思う。

<技術は年単位。経営は日単位>

自分の心にしみつくまで、何度でも言い聞かせていただくと良いと思う。


三宅弘晃

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