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ブランディー・ヤンガーInterview

ジャズ・ハープの旗手、ブランディー・ヤンガーが6年ぶりにブルーノート東京ほかに来日した。2022年にはグラミー賞最優秀インストゥルメンタル作曲賞に、初のアフリカ系アメリカ人女性作曲家としてノミネートされた。そのブランディーに、ハープでのジャズ活動のこと、またHipHop層にも人気を博している新作『Brand New Life』(ユニバーサル・ミュージック輸入盤)について話を聞いた。

 ブランディ-・ヤンガーの来日公演が、8月17日、18日、ブルーノート東京で行われた。2022 年にグラミー賞最優秀インストルメンタル作曲賞にノミネートされた後の、最初の来日公演である。また最新作『Brand New Life』がリリースされ、その評価が高いことから、話題になっていた公演だった。
ハープという楽器自体がゴージャスで美しく、またその大きさ!!リマーカブルだ。金色に輝くブランディーのハープがステージで奏でられると、そこには天上の音楽を降ろしてくるような妙なる雰囲気が漂った。今回は、新作にも参加したラシャーン・カーター(b)、アラン・メディナード(ds)という強力リズム隊との来日。そこに終盤、ソプラノボイスが見事なタティアナ・メイフィールド(vo)がボーカルで参加する編成だ。

素晴らしいステージだった。
ブランディーのステージは、ハープの音色の美しさを活かしながら、一つのジャンルにこだわるのではなく、ジャズを軸にR&B、またヒップホップへと拡張する。それでありながら、まごうことなくハープの存在感のため、音楽からはクラシックの影響も聴こえてくる。



ブランディーが楽屋で語った。
「やはりハープは、ヘブンリーなサウンドをもっていますからね。そこに、ラシャーンの低音が効いたベース、アランのユニークなドラムスという地底から響いてくるようなビートがあって、バランスがとれる。

私、占星術でいうと蟹座なの。だからかな、バランスをとることをいつも考えるのね。選曲も新作にちなんで、ドロシー・アシュビーの楽曲、私のオリジナル、カバー曲とバランスよく配置してみた。」

自分のハープはもって来られないですよね?
「それは難しいので、日本でレンタルしたのよ。」

楽器はどこのハープを使っていますか?
「アメリカの老舗ハープ製作会社、ライオン&ヒーリーウィ2台。小さめなハープを通常のライブ用に、そして大きなものも。また、フランスのCamac社のcustom electricをもっています。この会社はグランド・ハープだけではなくアイリッシュ・ハープも作っていて、多様なハープを製作している。

グランド・ハープは1台4万ドル以上しますから、なかなか手が出ないんです。
私は今ニューヨークに住んでいるんですが、いつもは大きなSUVを自分で運転し、それと押し車のコンビで何とか運んでいます。」

 ハープを選ぶときのポイントはどんなところが大事なんですか、と聞くと、次のように答えてくれた。
「椅子に座って肩にハープを置いてみる。そのとき肩にフィットするかどうかで私は決めています。もちろんサウンドと、ハープの姿も大事だけど」
 聞きたい話が山ほどあったが、まずなぜブランディー・ヤンガーが自分の楽器にハープを選んだのか、そこから話を聞いてみた。

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中川ヨウです。ジャズを核とした音楽評論/研究をしています。日々拡張するJazzの動き。LiveやNew Albumについて書きながら、拡張…

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