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おもに読書感想文というより備忘録として。ジャンルは雑多:思想・哲学、言語・人類学、自然…

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おもに読書感想文というより備忘録として。ジャンルは雑多:思想・哲学、言語・人類学、自然科学・脳科学などに興味があります。自己啓発、Howto系はあまり読みません。東京生まれ、関西育ち。Amazonのアソシエイトとして適格販売により収入を得るプログラムに参加しています。

最近の記事

【棚田で米。 Second Season_day3】

[day3: 26th May 2024] 晴れ。日差しは強いですが、心地よい風が流れています。今日はいよいよ田植えです。おおくの人が(おそらく)時間通りに参集して説明などを聞いています。われわれ(今回参加は4名)は、昨年度の経験があるのでご説明を賜る必要もなく、やや重役出勤での登壇です(途中少し渋滞にはまったのが原因ですが)。 前回まではなかった境界ロープが区画ごとに貼られており、棚田の水面はきらきらと穏やかです。 苗を手植えする間隔を整えるための”棒”を頼りに、配られ

    • 【棚田で米。 Second Season_day1, day2】

       昨年ほぼ衝動的に参加した”棚田で米をつくってみる”では、米づくりの大変さを思う存分経験させていただき、猛暑、重労働、一人ぼっちのつらさなどから、もうやるべきではないとの結論に至りました(最終作業終了日にて)。  最後の交流会イベントにて、お知り合いになった方々から、それぞれの共同参加者(ご家族など)が”来年は参加しない”などの条件が重なり、「みんなで一区画を借りて、来年一緒にやりませんか?」とのお誘いを賜りました。 それであれば(合計5名)やってみようかな、との決心でSec

      • 『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』(スティーヴン・グリーンブラット著、河野純治訳、柏書房)

        読了日: 2024/5/15  ルクレティウスは、ギリシャ エピクロスの思想などに影響を受けて「物の本質について」を執筆しました。当時の著書は現代のようなページをめくる製本されたスタイルではなく、パピルスの巻物であったようです。当時の初期ローマ帝国は征服したギリシャ領土からの数多の知識と文化を享受(ギリシャ自体も近隣からの知識・文化を大いに吸収していた)し、次なる文化を醸成するに十全な環境にあったようです。  そして、ルクレティウスは(当然ながら)当時では科学的検証ができは

        • 『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン著、上遠恵子訳、新潮社)

          読了日: 2024/5/14  『沈黙の春』(新潮文庫)は未読ですが、環境問題、在来種・外来種、食糧問題などを扱う本ではたまに見かけます。内容はおおむね想像できそうなのですが、いずれ読むことにしよう(優先順位は低め…)。 最近、森田真生のエッセー付きのものが発売されましたが、オリジナル(に近い)本書を選びました。  同著者の絶筆となったのが本書『センス・オブ・ワンダー』とのことです(「訳者あとがき」参照)。幼少期の甥(ロジャー)とのメイン州の別荘周辺の自然散策を綴ったもの

        【棚田で米。 Second Season_day3】

        • 【棚田で米。 Second Season_day1, day2】

        • 『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』(スティーヴン・グリーンブラット著、河野純治訳、柏書房)

        • 『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン著、上遠恵子訳、新潮社)

          『はじめての人類学』(奥野克巳著、講談社現代新書)

          読了日: 2024/4/30  著者の本は初めて読みました。入門書としてちょうど良い程度であると感じました。  人類学に興味を持ったのはティム・インゴルド(第5章)でした。それは著者指摘「お前たちに俺たちの世界が分かるはずがない」「(p.167)のように距離のある科学/人文分野が混じり合う考察をインゴルドにて初めて経験したことに依ります。  「科学に解決できない問題など何もない」(p.166)との指摘も、ブライアン・グリーンが心や意識もいずれ科学によって解明されるだろうとす

          『はじめての人類学』(奥野克巳著、講談社現代新書)

          『カーストとは何か インド「不可触民」の実像』(鈴木真弥著、中央公論新社)

          読了日: 2024/4/24  カースト制度のバラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラは習った記憶がありますが、本書主題の不可触民(ダリト、あるいはoutcasteなど)は知りませんでした。習ったが忘れたのだろうか?  最下層位を設定するような賎民思想は日本にもあり、同様な区分と思います。マハトマ・ガンディー(本書ではガーンディ表記)はヒンドゥー教の体制を保持したまま、つまりカースト制度を保持したままダリトへの保障を実現しようとし、アベンドーダリト自身に権利をあたえ、

          『カーストとは何か インド「不可触民」の実像』(鈴木真弥著、中央公論新社)

          『規則より思いやりが大事な場所で』(カルロ・ロヴェッリ著、冨永星訳、NHK出版)

          読書日: 2024/4/16  青、赤そして緑。著者執筆の3冊目でした。  専門の物理学テーマをわかりやすく読ませるシリーズとは異なり、彼の日常の思考や行動を垣間見るような綴りです。新聞雑誌記事などからの志向の派生、そして科学する人間の正義感や倫理観の大切さを感じられるようです。科学と思想・哲学の間…人類学のような捉え方が好ましく思えました。  科学分野の(自分にとっての)新しい知見、情報に触れることができる喜びもありますが、それよりも思想、哲学的な分野での知らないことに

          『規則より思いやりが大事な場所で』(カルロ・ロヴェッリ著、冨永星訳、NHK出版)

          『サピエンス全史(上)(下)』(ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳、河出文庫)

          読了日: 2024/4/10  以前から本書(単行本)を知っていましたが文庫版が出たので購読しました。  ホモ・サピエンスが巡ってきたながい時間を”認知革命”、”農業革命”、”科学革命”という3つの革命(第3部には”人類の統一”が入っています)に区分してとらえてゆくという志向はおおむね納得でき、ふむふむとなります。文字の発明により外部記憶が可能になった部分にも触れており、抑える点は抑えているとも感じました。最大公約数を探す意識でもって、様々な本を読でいくとこのようなまとめに

          『サピエンス全史(上)(下)』(ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳、河出文庫)

          『親ガチャの哲学』(戸谷洋志著、新潮新書)

          読了日: 2024/4/1  「親ガチャ」という言葉を知りませんでした。流行語大賞のトップテンにも入ってたりもするらしいです(流行語に興味がないので…)。 親ガチャとは、出生の環境を選べないため、その環境は生後の人生に大きな影響を与えるということです(らしです)。 社会的成功(主に金銭面)は、自助努力によるものか、出生によるハンデがあるのかというマイケル・サンデルの講義を見た記憶があります。こういうことでしょう。  自分の生まれた環境が好ましくないと感じる、または虐待など

          『親ガチャの哲学』(戸谷洋志著、新潮新書)

          『水中の哲学者たち』(永井玲衣著、晶文社)

          読了日: 2024/3/27 哲学Barなるものに短時間参加したことがあります。どう振舞っていいのか分からず、後日日経日曜版で哲学Cafeの特集があり、ある程度のルールが書かれてありました。専門的な哲学用語を使わない、哲学知識を見せびらかす場ではない、ほかの人の発言をよく聞き否定しない、など。 哲学というと難しい用語を使った、独特の理論展開で、結局”ことば”のこねくり回しなんじゃないの、と思われそうですが、本書はとてもやわらかく、現実の生身の人間の「なぜ」からはじまる親し

          『水中の哲学者たち』(永井玲衣著、晶文社)

          「生命とは何か 物理的にみた生細胞」(シュレーティンガー著、岡小天・鎮目恭夫訳、岩波書店)

          読了日: 2024/3/20  文系脳の小生には、数学、物理などは特にに難しく完全理解には到達できそうもありません。ゆえに本書のような説明書を読もうとするのですが、本書においても弊理解は空中を漂っているようで、着地しようとしている地点への目測を誤っているとも感じます。  シュレーティンガー著の本書の存在を知ってはいましたが、手に取ろうと思ったきかっけは『WHAT IS LIFE? 生命とは何か』(ポール・ナース著、竹内薫訳、ダイヤモンド社)でした。  量子論研究で有名なシ

          「生命とは何か 物理的にみた生細胞」(シュレーティンガー著、岡小天・鎮目恭夫訳、岩波書店)

          「昨夜の記憶がありません アルコール依存症だった、私の再起の物語」(サラ・へポラ著、本間綾香訳、晶文社)

          読了日: 2024/3/18  酒を飲みすぎて、”ブラックアウト”何度も経験しているらしい。かなり酔っぱらって昨夜の会話のディテールが思い出せないなど、年ごとに少しずつ多くなっている気はしますが、どうやら”ブラックアウト”とは、それとは幾分違うようです。  ふと気がつくと”あったこともない男の上に乗っている”こともあるらしい(著者は女性)([前奏 光の都]より)。つまり、”ブラックアウト”中は行動や判断を自分の中の別の人格が担っているような感じだろうか。読み進めると、いやま

          「昨夜の記憶がありません アルコール依存症だった、私の再起の物語」(サラ・へポラ著、本間綾香訳、晶文社)

          「ハンナ・アーレント 屹立する思考の全貌」(森分大輔著、ちくま新書)

          読了日: 2024/2/29  ハンナ・アーレント(本書表記に倣う。ちくま学芸文庫では"ハンナ・アレント"表記です)の著作は『人間の条件』だけ読んだことがあるのですが、なかなか難解で大いに時間を要しました。2019発刊の本書を書店で見つけて手に取りました。  アーレント解説本は他にもあるでしょうが、本書は全体主義への理解、批判をベースとしてアレント作品の『アウグスティヌスの愛の概念』、『ラーエル・ファルンハーゲン』、『全体主義の起原』、『人間の条件』、『革命について』、『エ

          「ハンナ・アーレント 屹立する思考の全貌」(森分大輔著、ちくま新書)

          「ダーウィンの呪い」(千葉聡著、講談社現代新書)

          読了日: 2024/2/27 0.はじめに  『理不尽な進化』を読み進化論や自然科学に興味を持ち、先月『利己的な遺伝子』を読みました。書店でたまたま本書に目が留まり(以前に著者の『招かれた天敵』(みすず書房、2023)を読み、とても良かったので)、購読した次第です。 本書はテーマ設定が明確であり、進化論をめぐる歴史と歪みがギュッとうまくまとめられていると思います。新書の紙幅都合もあるかと思いますが、ギュッとしすぎているとも少し感じました。 以下、記事が少し長くなりますので

          「ダーウィンの呪い」(千葉聡著、講談社現代新書)

          「ボックス21」(アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム著、ヘレンハルメ美穂訳、ハヤカワ文庫)

          読了日: 2024/3/2  シリーズ2作目まで遡ってきました(1作目『制裁』は既読)。エーヴェルトのパートナー(アンニ)に何があったのか知りたかったので。  その点は充足されたのですが、予想外だったのは、シリーズ中本書が最も面白いということでした(『3時間…』『3年間…』は未読です)。  初期作品でありややディテールの粗削りなところはありますが、ストーリーの構成と複層感とても良くできていると感じました。これはシリーズ化に邁進するだろう。  表紙帯に「ラスト三行、心をえぐら

          「ボックス21」(アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム著、ヘレンハルメ美穂訳、ハヤカワ文庫)

          「グレイラットの殺人」(M・W・クレイブン著、東野さやか訳、ハヤカワ文庫)

          読了日: 2024/2/2  シリーズ4作目で最大ページ、そして1番おもしろかった。ゴタゴタの範囲は警察組織を越え、MI5、軍隊へ広がりました(FBIは前作から登場)。  やや伏線はあったものの推理の展開と登場人物の関わりが程よく複雑で、700ページ超も適当なボリュームに感じました。  既刊文庫本は現状ここまでなので、同著者は一旦休憩(前シリーズには戻らないでおこう…いまのところ)。  本国では次作がリリースされているようです。

          「グレイラットの殺人」(M・W・クレイブン著、東野さやか訳、ハヤカワ文庫)