地図で読み解くインバウンド地方分散研究を読んでみる(じゃらんリサーチセンターさんの研究)
じゃらんリサーチセンターさんが出されているインバウンドの観光データ分析の報告書がありましたので読んでみます。
インバウンド関連の地域観光活性化や、周遊ルート開発のヒントになるかと思います。
今回は以下のプレスリリースに添付されていた資料から引用させていただきます。
結論
サマリとしては、以下です。
訪日外客数推移
まず、訪日外客数推移です。すでにコロナ前を超えています。旅行消費額は5.3兆円規模です。
インバウンド観光の目標値
観光立国推進基本計画から見ると、どんどん観光客が増え、インバウンド消費額を上げていくためには、地域に訪れる2人に1人が、もう一泊する、という水準を目標にしています。このように地域に分散させる、という考え方を推進しています。
観光立国推進基本計画はこちらです。
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001591810.pdf
(ちなみに、インバウンドも大きな市場ですが、国内旅行消費額は横ばいながら、22兆円規模の既存市場です)
地方分散への注力ポイントの整理
その上で、いくつかのバックデータを見ながら、研究員の方の視点としては、地域への分散として、まずは訪問客の周遊ルートに着目し、どれくらい分散されているか、さらに分散するにはどうするか?を議論されています。
ここから、今回のテーマである「地図で読み解くインバウンド地方分散研究」が提案されています。
ルート分散のための観点の整理
そこで、地域への分散を考えた時に、ルートをどのような観点で考えるかを示されています。
顧客のカスタマージャーニーを考えると、入国から出国までの間に、さまざまな観光スポットを訪れることになります。
既存の人気スポットはオーバーツーリズム状態(例えば京都など)ですから、さらに深掘りすると以下の観点になります。
筆者はこれをエリアルート戦略フレームとして紹介されています。
じゃらんリサーチセンターとーりまかし研究年鑑の、「インバウンド都道府県ポジショニング研究」を引用されているようです。
分析手法
これらを分析するために、ブログウォッチャー社のデータを使って、以下を分析されています。
データ分析:全国主要周遊ルート
実際のデータがこちらです。
台湾からのお客様は、東京・大阪・京都・九州を中心に周遊されています。
米国のお客様は、東京・大阪・京都・広島を中心に周遊されています。
台湾のお客様の周遊ルート
台湾のお客様に限ると以下のように周遊ルートが可視化できます。
広島県あたりへはあまり周遊されていないようです。
台湾のお客様について、地域ブロック別の分析で見ると、中国地方への周遊は少ないものの、アウト空港(出国)で岡山のランキングが上位にあります。
アウトの前の周遊プランを岡山や、中国地方で考えてみるのもいいかもしれません。
なぜ岡山には台湾のお客様が多い?
調べてみると、岡山と台湾は定期便が2023年3月に再開されており、台湾からのお客様が多数来られているようです。
ちなみに岡山県を訪れる台湾のお客様のデータは以下です。
米国のお客様の周遊ルート
次に米国の事例を見ていきたいと思います。
広島県が周遊のランキングに入ってきており、京都や大阪、東京の間に挟まれるスポットになっています。
ランキングとしても関東・関西に次いで中国地方が上位に食い込んでいます。宮島や平和記念公園などが人気なのでしょうか。
とすると、広島の他のスポットも自地域の周遊をさらに促進できる可能性がありそうです。
実際に自地域の分析・戦略にどう落とすか?診断チャートの活用
最後に診断チャートです。
具体的にこのようなデータ・分析を実行戦略に落としていくかの診断シートになります。
概要としては
具体的に今回の台湾、米国の事例を考えてみると
新しいモデルルートの検討ステップ
最後に、全体をまとめて、検討すべきステップを分解されています。現状把握から、どのように診断チャートを使って分析をし、モデルルートを作るか、というフレームワークになります。
まとめ
今回は、じゃらんリサーチセンターさんの研究論文を解説してみました。
参考になれば幸いです。