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ウェルビーイングとは何か?

近年「ウェルビーイング」という言葉をよく聞くようになりましたよね。
「DX」や「ダイバーシティ」も一時期から盛り上がり、既に市民権を得た感じがしますが、ウェルビーイングはそれよりは認知の広がりが緩やかな気がします。それはウェルビーイングが影響を及ぼす範囲が多岐にわたり、色々な側面がある為に、とらえにくく曖昧なことが一つの原因ではないかと考えています。

改めてウェルビーイングにはどんな切り口があるのか、ということをまとめてみようと思います。

ウェルビーイング(well-being)の定義

ウェルビーイングと言えば必ず引用されるのが、1946年の世界保健機関(WHO)憲章の前文です。
「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)にあること」("Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.")

また、この全文は1998年に改正が発議されています。
「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、スピリチュアルにも、そして社会的にも、すべてが 満たされたダイナミックな状態にあること」(Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.)
結局は改正案は審議されていませんが、「dynamic」と「spiritual」という単語を組み入れることが検討されていました。

幸福との違い

一般的には、幸福(Happiness)には瞬間的に幸せな気持ちを表すニュアンス、ウェルビーイングは持続的に満ち足りている状態を示す、という別れ方をしているようです。Happinessの点が、ウェルビーイングという線を作り出す、というイメージかもしれません。

ちなみに精神科医の樺沢紫苑氏は、幸福を作り出す3つの要素を脳内物質で分けており、そこには、実現されるべき優先順位があるとしています。
1.セロトニン的幸福(穏やかさ):健康
2.オキシトシン的幸福(愛情):つながり、関係性
3.ドーパミン的幸福(高揚感):成功や達成要点

ウェルビーイングの因子

■前野氏の4つの因子
幸福学研究でも有名な前野 隆司氏によれば、ウェルビーイングの幸せには以下の四つの因子が関係しています。
第一因子:自己実現と成長の因子(やってみよう因子)
第二因子:つながりと感謝の因子(ありがとう因子)
第三因子:前向きと楽観の因子(なんとかなる因子)
第四因子:独立と自分らしさの因子(ありのままに因子)

■セリグマンのPERMAモデル
ポジティブ心理学の父であるマーティン・セリグマン氏は、人は以下の5つの要素を満たしていると幸せである、としています。
Positive Emotion(ポジティブな感情)
Engagement(何かへの没頭)
Relationship(人との良い関係)
Meaning and Purpose(人生の意義や目的)
Achievement/ Accomplish(達成)

■ギャラップ社のウェルビーイングに関する調査指標
140を超える国や地域で幸福度の研究をしているギャラップ社によれば、ウェルビーイングは以下の側面に分けられるとしています。
Career Wellbeing:仕事に限らず、自分で選択したキャリアの幸せ
Social Wellbeing:どれだけ人と良い関係を築けるか
Financial Wellbeing:経済的に満足できているか
Physical Wellbeing:心身ともに健康であるか
Community Wellbeing:地域社会とつながっているか

日本的ウェルビーイング

この分野の研究はこれまで欧米から発達してきましたが、近年では日本の国民性を考慮したウェルビーイング研究が進められています。集団主義と個人主義といった文化的背景も含め、東洋的な思想と西洋的な思想の違いなどが語られています。
予防医学研究者・石川善樹氏によれば、ウェルビーイングは時代や個人によって異なるものであり、だからこそ明確な定義がないものである、簡単に言えば「イキイキ」という状態がウェルビーイングであり、東洋的なウェルビーイングと西洋的なウェルビーイングは異なる、としています。

まとめ

ウェルビーイングには様々な側面や切り口があり、また定義が個人によって異なる為、明確な定義が難しいものです。だからこそ、企業経営でも社員のメンタルヘルスやモチベーションといった観点でウェルビーイング的観点が重視されながらも、実際の導入や評価が非常に難しいものとなっている領域です。
一方で個人として考える時には、上記のような切り口ごとにウェルビーイングを考えていくことは、自らの幸せを定義するにあたって非常に有効なアプローチだと思います。
意識しないと言語化もしない分野だと思いますので、コーチングなどを使いながら自身のウェルビーイングを認識しておくことが第一歩ですね。

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