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動画で“最初からバズを狙ってはいけない”理由。未経験者が動画を始める前に「決めておくべきこと」

編集者・動画ディレクターの山本です。今日は動画を作る手前の話をしたいと思います。

よく、これから動画を始めたい人に「何から始めれば良いの?」と質問をいただくのですが、そこでいつも話していることをちゃんと文章にまとめました。

前回のお礼

前回けんすうさんのXポストをきっかけに書いたnoteですが、大変多くの方から反響いただきました。読んでいただいた方、ありがとうございました。

単体のコンテンツで300いいねを超えたのは初めてでした。皆さんに役に立つのであればどんどん発信していこうと思っています!

🤔 なぜ“動画”なのか?

最近、突然上司から「動画が大事だから、うちでも動画をやろう」と言われて、未経験なのに急に動画担当になったという話をよく聞きます。

そういう方から「とりあえず動画を作ってみたんですけどどうですか?」という相談を受けるのですが、その動画はなんとなくどこかで見たことがあったり、パッとしない印象を受けたりすることがあります。

これはあるあるなんですが、「とりあえずやってみた事故」を被っているパターンです。PDCAを簡単に回せるものなら良いのですが、動画はテキストに比べて時間がかかります。なので、とりあえずやってみた→後から軌道修正、というフローによる損失がけっこう大きいのです。

やりながらチューニングする必要は絶対ありますが、もっと手前の段階で土台はしっかりしておくべきです。

そしてその土台を作るためには、改めて「なんで動画である必要があるのか?」を詰めておく必要があります。

🎥 動画をやる理由は、広さ? 深さ?

特に編集者やライターの方々は、メディアビジネスをする上で”露出量”についてかなりシビアに考えているんじゃないでしょうか?

PVやインプレッション(露出量)も大事ですが、ある程度、書き手の個性や情報のマニアックさも必要。PVに色はないけど、それを“どう書くか”には色がついています。だからこそ、コンテンツにおける「露出量」と「個性」のバランスに皆さん日々悩んでいるのではないでしょうか?

そこで考えたいのは、「動画コンテンツをやることで何が解消するの?」という視点です。広さか、深さか、動画を使ってどっち側を解消したいのでしょうか?

📈 コンテンツが届くまで

昔はコンテンツだけで良かったが、今のクリエイターは流通まで考慮しないといけない(著者作)

改めて、コンテンツが見る人に届くまでのステップを書き出してみました。真ん中が露出量、右がコンテンツの個性と置いています。

露出量が増えるから動画をやるのか、個性や質を担保できるから動画をやるのか。質と量、どっちを求めているのかを作り始める前にちゃんと考える必要があるのです。

「露出」を重視するケース
・全年齢対象の商材の認知を拡大したい
・短期的な売上の向上させたい
・広く人材を募集したい
など

「個性・質」を重視するケース
・特定ユーザーに対してのブランドイメージを向上させたい
・専門性の高い領域において影響力を持ちたい(研究やBtoB的な領域)
など

どちらを重視しているのか考えるだけでその後の動画の土台と、意思決定がどっしりしてきます。

大事なのは、動画を作ることや動画スキルの習得ではなく、それによるアウトカム。これを大事に進めていきましょう。

🚀 バズは狙わない

とはいえ、先述の質と量のバランスは難しい話だと思います。というのも、100:0でどっちが大事か決めることはできないと思います。

PVが大事だからこそ企画をちゃんと組み立てる必要があったり、コンテンツの面白さには量的なダイナミズムも必要だったりします。だからどっちも大事。

ただし、一つだけ初期段階でやってはいけないことがあります。

それは、最初からウケようすることです。いわゆる「バズ狙いをする」ということ。露出量の最大化(=バズ)という点では、投機的なメリットがありますが、編集者のような組織でビジネスをやっている人にとっては長い目で見たときに脆いからです。

むしろバズったコンテンツに引っ張られていろいろ作ってみた結果、思いの外すぐに飽きられてしまい、ある種の事故になることもあります。最初からバズることは、これから動画を極めたい人にとってむしろ毒ですらあるのです

だから、あえてバズは狙わない。動画作りの第一歩で大事なのはバズではなく、肩の力を抜くことだと考えています。

⏳ 個別の動画に時間をかけない

「動画を始めてみたもののなかなか続かない」と悩んでいる方に多いミスパターンは、1つの動画、1つのコンテンツに対して悩んでいる時間が多いということです。

実は動画を作るのが上手い人というのは、一つひとつのコンテンツにそこまで時間を掛けていません。もちろん「時間を掛けてない」というと全くの語弊がありますが、ここで伝えたいのは、マインド的に1個のコンテンツよりも常に全体を俯瞰で見ているということです。

具体的には、YouTubeチャンネルやTikTokアカウントという単位での俯瞰。私であればこの「山本のnote」として、どんな面白さを提供できているか俯瞰している、という話です。

改めてこちらの図ですが、必ずしも1つ目のコンテンツ(右端)から誰か(左端)に深く響く必要はありません。

何個も何個もコンテンツを出して、100個目で始めて誰かの役に立つ。バズを狙えばすぐに誰かに届けることはできますが、それは本当に「あなたの届けたい誰か」でしょうか?

繰り返しですが、1つ1つの動画コンテンツは肩の力が抜けていて良いのです。なぜなら本当に届けたい人たちに、自分のコンテンツはすぐには見つけてもらえません。だからこそ俯瞰をしつつ、地道に積み上げることが大事なのです。

💨 面白いけど続けられないものは避ける

地道に積み上げるなかで避けたいのが、「続かない」ということです。バズを狙わないこそ、続けることが大事です。

続かない原因として一番多いのは、「やり始めたら永遠に作り込んでしまう」「どこで完成とすればいいのか分からない」という話です。

それで大事なのが、自分なりに「フォーマット(型)」を作ることです。

フォーマットというのは例えば、Vlogや、視聴者の質問に答えるスタイルの動画、商品レビュー、お料理、恋愛の進捗共有、などなど。これらは視聴者(我々)の中でお馴染みになっているからこそ、誰がやっても見やすいという性質があります。

これらのフォーマットを当てはめて動画を作るところから始めてみてもいいかもしれません。自分がよく見るチャンネルの構成や字幕の入れ方を模倣してみても良いでしょう。そこをまず1つの完成ラインとします。

そしたら次はもう一歩深めましょう。そのフォーマットにはどんな価値があるのでしょうか? 例えば、単にコンビニで売っているパンをレビューをしても、あなたがその道のプロでない限りは価値を出しづらいでしょう。

人が価値を感じるものは、普遍的です。例えば、限られた人しかアクセスできない情報やモノ、失敗しないための情報・ノウハウ、喜怒に訴えかけるもの、などなど。自分だったら作れそうな価値を整理していきましょう。

フォーマットの本質は、コンテンツの「らしさ」や「人格」のことだと思っています。キャラやパーソナリティとも言いますね。それはテキストであれば文体に表れていても良いですし、動画であれば話し方に表れても良いです。高い論理性や、視聴者にひたむきに寄り添う姿でも良いです。カメラの構図やテロップに凝る、そんなのも十分フォーマットになります。

それらのフォーマットの中から、他人が価値を感じてくれる可能性があるのはどこか? それを作りながらシャープにしていくのが、良い積み上げと言えるでしょう。

だからこそ、どこかで無理をする人格は避けるべきです。少しの無理は効果的ですが、フォーマットごと無理をするとモチベーションが続かないからです

🔍 次回は具体的な見つけ方

ということで、今回は動画を作る手前の心構えについてでした。

次回は具体的なフォーマットの構築をしていく方法について書きますので、また少しお待ちください。

あとがき

note経由で私に問い合わせができることを知りました。何かご連絡をしたい方はお気軽にどうぞ!


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