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世界で進む「インクルーシブ」な社会って?

ランドセルのセイバンが運営する「探究子育てまなびメディア Soda! Soda!」の学びコンテンツ「教育のアレコレ」の最新記事『インクルーシブな社会とは?障がいのある息子の「分け隔てない」保育園生活が気づかせてくれたこと』を書かせていただきました。

この記事のテーマ「インクルーシブ」といえば!つい数日前、Soup Stock Tokyoが新たに始めた「離乳食後期の全店無料提供」に関するコメントがニュースになっていました。そのコメント

「年齢や性別、お子さま連れかどうかで区別をし、ある特定のお客様だけを優遇するような考えはありません」

Soup Stock Tokyo公式ホームページ「離乳食提供開始の反響を受けまして」
https://www.soup-stock-tokyo.com/story/sst.babyfood20230426/

が「まさにインクルーシブな考え方だなあ」とニュースを読みながらうなずいてしまいました。

「インクルーシブ」という言葉は「包括的な」という意味ですが「そんなわかりにくい言葉で説明された方がわからん!」と個人的には思ってしまいます(笑) わかりやすい表現を使うのであればインクルーシブとは「違いで分け隔てない」「みんなが対象」という意味。

私の住むスコットランドはインクルーシブな社会作りがどんどん進んでおり、いま企業や社会がとりわけ注意を向けている考え方でもあります。最近では世論調査などで「××、○○、△△、□□のブランドの中で最もインクルーシブと感じるブランドはどれですか」なんて質問や話題がよく持ち上がります。いまや「インクルーシブ」という考え方は企業イメージをも左右する大切な考え方となりつつあるよう。

さて、インクルーシブ社会とは「違いによって分け隔てない社会」と申し上げました。深く言うならば「違いがあっても、その違いを受け入れ、認め合い、みんなが自分らしく生きられる社会」

では「違い」とは何でしょう?私たちの中にはいろいろな「違い」が存在します。もちろん自分と全く同じ人物なんて存在しないのですから、全ての人はみんな違って当たり前なのです。

ところが、世の中はいろんな意味でグループに分けたがる傾向があります。

例えば性差性的指向

男女で分けることは、私たちが小さい頃から当たり前のように行われてきました。男性用の服、女性用の服、部活でも運動部は男女で分かれていませんでしたか?トイレや更衣室に関しても然り。整列する時でさえ男子の列と女子の列がありました。(あの列を分けることに意味はあったのだろうか……。)

驚くかもしれませんが、私の住むスコットランドの町の市民プールの更衣室は男女共用なんです!

市民プールの男女共用更衣室:
※プール側に許可をいただき撮影させていただきました。

更衣室の中にはたくさん個室があり、その中で着替えて荷物をコインロッカーに預けます。このシステムが思いの外、使いやすいのです。特に私のように子供がいる親の場合、

  • 男の子は何歳までなら女子更衣室でお着替えしてもいいの?

  • もし異性の更衣室を使っていたとして、 園や校のクラスメイト(異性)と出会ったら気まずくない?

  • 商業施設のトイレは?

などなど、子供が赤ちゃんの時はいいのですが、5歳前後になってくると少し考えてしまいます。日本では旅先のお風呂(大浴場)も困る方がいるのではないでしょうか?

これは子供が異性というケースだけにとどまりません。

例えば、一緒にプールに行く人が異性でかつ着替えに手助けが必要だったら?高齢、障がい、怪我など着替えに手助けが必要だけど、更衣室が一緒じゃないからプールに行くことは諦めないといけない……というのはインクルーシブが進むスコットランドに住む身としては、とても残念に感じてしまいます。

また最近注目されているLGBT+に関しても同じことが言えます。自分の体と心の性が異なる場合はどっちの更衣室を使うべきなのか。それによって他者から批判されたりジャッジされると、当事者は生きづらさを覚えてしまいますよね。

そう考えた時、市民プールの男女共用更衣室はすごく画期的なスタイルだと感じたのです。もちろんみんなが個室を使って着替えをするので、個人のプライバシーは守れます。(もちろん盗撮や性犯罪など、しっかりと対策を講じる必要がありますが……。)

私の住むスコットランドで身近に感じる「違い」と言えば人種

日本に比べて、スコットランドは多種多様な人種が入り交じっています。これはカナダやアメリカなど、移民が多い国では当たり前な光景。なので女性の必需品である化粧品コーナーに行くと、いろんな色のファンデーションが並んでいます。

いろんな色のファンデーションがずらり!

多種多様な人が混在すると、宗教生活スタイルも多様化してきます。

身の回りには宗教や持病・アレルギー関係で特定のものが食べられない人や、宗教に関係なく自分の意思でお肉を食べないベジタリアンや完全菜食主義者の人もたくさんいます。そのせいか、レストランにはベジタリアンメニューが必ずありますし、小学校の給食にもベジタリアンメニューが!スーパーでも「ベジタリアン向け」商品がたくさんあります。

葉っぱが目印の「ベジタリアンマーク」がついているパッケージ

そんな「違い」の中でも、今回記事を書くにあたって取材させていただいたのは、運動機能障がいのお子さんをもつひとりのママ。彼女は子育てを通して、インクルーシブプロダクトを展開するビジネスを立ち上げられた起業家でもあります。今回は、子育てや保育園での生活を通して気づいた「目には見えない大切なこと」をお話してくださいました。

みんなが自分らしく生きていける社会を実現するためのヒントのようなものを感じていただけたらと思っています。

後編ではスコットランドのインクルーシブ社会について写真つきで書かせていただいているので、そちらもお楽しみに!