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訓練は獲得できる!理論からの希望の光

Dr. Geert Vanden Bossche2024年5月5日の投稿(substack)
Training is gaining! A glimmer of rational hope.
の翻訳です。著者HP(Voice For Science and Solidarity)には2024年5月6日にTraining is gaining! として投稿されました。
原文を参照の上ご利用ください。

免責事項:本稿は、特定の医薬品についての情報提供が⽬的であり、安全性や有効性を保証するものではありません。また、読者の皆様が本稿の情報を⽤いて⾏ういっさいの⾏為に関して責任を負うこともできません。医薬品の詳細、使⽤に関しては、かかりつけ医にご相談ください。

COVID-19に対する集団ワクチン接種が、感染やワクチンによって誘導された抗スパイク中和抗体からSARS-CoV-2がますます免疫逃避する原因であり、同時に、増加する免疫病態の原因であることを示す説得力のある科学的証拠がある(著書HP)[日本語版はここ]。免疫逃避によってワクチン・ブレークスルー感染が起こり、それによって免疫再集中として知られている現象が引き起こされた。高度にCOVID-19ワクチンを接種された集団で免疫再集中が起こると、免疫反応から逃避できる新たな変異株の出現が永続化し、集団ワクチン接種がSARS-CoV-2の進化動態に及ぼす影響が不可逆となる。

COVID-19ワクチン既接種者の体内で、mRNAワクチンによって誘導されたスパイクタンパク質が過剰に、かつ/または、長期に産生されることで引き起こされる病態を緩和するプロトコル(いわゆる『デトックス』療法)がいくつか提案されているが、今のところ、ウイルスの免疫逃避と、関連する免疫制御異常による悲惨な影響をなくす方法はない。

集団ワクチン接種プログラムの結果、高度にCOVID-19ワクチンを接種された集団のSARS-CoV-2に対する獲得免疫反応は、制御異常を起こしているが、細胞性自然免疫は、繰り返される免疫再集中現象によって訓練が妨げられているというものの、ほぼ影響を受けていない(著書HP)[日本語版はここ]。したがって、COVID-19ワクチン接種者の細胞性自然免疫を効果的に訓練し、私がまもなく高度にCOVID-19ワクチンを接種された集団で出現すると予測している、新たなβコロナウイルスに対する第一線の免疫防御を十分に強めることは今でも可能だろうか、という質問は筋が通っている。既に存在する多反応性非中和抗体による集団レベルの免疫反応のために、そのような新しいコロナウイルス系統は、多反応性非中和抗体によるウイルスの遠隔臓器への宿主内伝播の抑制からの逃避を自然に進化させている可能性がある。

mRNAワクチン接種やワクチン・ブレークスルー感染の結果、細胞性自然免疫の訓練が出来なかった人々の、細胞性自然免疫の訓練、特にNK(ナチュラル・キラー)細胞に焦点を当てた訓練が、MMRワクチン(麻疹・おたふく風邪・風疹混合ワクチン)、によって可能であるかもしれない、と私が考える理由を以下に述べる。NK細胞はウイルスに感染したり、病的に変化した宿主細胞の病原体由来自己模倣ペプチド(pathogen-derived self-mimicking peptides: PSMPs)を、NCR(Natural Cytotoxicity Receptor)によって認識する。麻疹やおたふく風邪やコロナウイルスの自己模倣ペプチドには、アミノ酸配列上、非常に高い相同性があるため、弱毒生麻疹ウイルスや弱毒生おたふく風邪ウイルスによって訓練されたNK細胞は、コロナウイルスに感染した宿主細胞も認識し、除去するだろうと考えることには妥当性がある。一方で、弱毒生コロナウイルスをワクチンとしてCOVID-19ワクチン接種者に投与しても、現在、スパイクタンパク質のS2サブユニット内の病原体由来自己模倣ペプチドをMHCクラスIと共に提示している細胞を、迅速に除去するという、極めて重要な役割を果たしている細胞傷害性T細胞が、弱毒生SARS-CoV-2ウイルスに感染した細胞を速やかに[1]認識し、除去してしまうため、効果がないと考えられる(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19439480/)。しかし、弱毒生麻疹ウイルスや弱毒生おたふく風邪ウイルスに感染した宿主細胞が提示し、NK細胞を活性化させる病原体由来自己模倣ペプチド(それぞれ、ウイルス融合タンパク質のアミノ酸113から130とアミノ酸103から120)はMHCクラスIIと共に提示されるため、このシナリオの標的とはならない。

MMRワクチン接種[2]によって、NK細胞を十分に訓練して、新たに出現するコロナウイルスのウイルス量を相当減少させることが可能だろうと考える一方で、そのような新たなコロナウイルス系統による重症疾患を防ぐためには、同時に、安全で有効な抗ウイルス薬を予防的に用いることが、やはり必要であろうと私は思う。さらに、もし、健康なCOVID-19ワクチン接種者がMMRワクチン接種を検討するのであれば、接種の2-3週間後に抗体検査を受けて、抗体が陽性となっているか確認した方が良い。小児期にMMRワクチン接種を受けなかった人は、抗体が陽性化するためには、4週間後に2回目の接種が必要になるかもしれない。

私は自分の考え/分析を情報提供としてのみ、共有しているのであり、これは医学的な助言ではない。私は医師ではないし、たとえ医師であったとしても、免疫学的考察のみに基づいて医学的助言を行うことはないだろう。それでもなお、例えば、イベルメクチンや、弱毒生MMRワクチンの安全性が確立されていることを考えれば、COVID-19ワクチン接種者が、彼らの細胞性自然免疫の訓練を進めながら、将来の、コロナウイルス曝露によるワクチン・ブレークスルー感染を防ぐにはどうしたらよいか、についての私の考えを検討することは価値があると私は信じる。中には、弱毒生MMRワクチンよりも弱毒生BCGワクチン[3]の方を接種したいと考える者もあるかもしれない。BCGワクチンによって自然免疫系が訓練されることを示唆する説得力のある証拠はある(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7938189/https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35930640/)。しかし、コロナウイルスとBCG、あるいは結核菌(Mycobacterium tuberculosis)との間のNK細胞反応の交差反応性を示唆する免疫分子学的証拠は今のところ得られていないため、極めて感染性の高いコロナウイルスに対する防御としてのBCGワクチンの使用は大きく経験的なものとなる[4]。

結論:COVID-19ワクチン接種者を新たに出現するコロナウイルスから防御する、安全で有望な方法として、有効な抗ウイルス薬と、承認された弱毒生麻疹、あるいは、おたふく風邪ウイルスワクチン接種を組み合わせることには科学的な合理性がある。この方法によって、そのような新たなコロナウイルスがCOVID-19ワクチン接種者の低下した獲得免疫系を圧倒するリスクを軽減し、少なくとも、ウイルスの毒性を減少させることに役立つかもしれない。


脚注
[1] すなわち、ウイルス感染の初期段階で
[2] 風疹ウィルスの病原体由来自己模倣ペプチドとコロナウイルスの病原体由来自己模倣ペプチドのアミノ酸組成の間の類似性を私は(まだ)確認していない。したがって、現在のところ、弱毒生風疹ウィルス単独で、COVID-19ワクチン接種者のNK細胞をSARS-CoV-2感染細胞を感染初期段階で殺すことができる程十分に訓練することができるかどうかは、わからない。
[3] BCG(Bacillus Calmette-Guérin)は主に結核に対して用いられるワクチンである。
[4] 結核菌(Mycobacterium tuberculosis)はヒトの結核を引き起こす細菌である。非常に感染性の高い病原体で、主に肺を侵すが、他の臓器も侵しうる。


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