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『センスの哲学』感想 2024/04/15

先延ばしにしていた『センスの哲学』の感想を、書こうと思っているうちに時間が経ってしまった。まだまとまりに欠くが、先延ばしにしていても仕方ないのでとりあえず。

キーワードは「リズム」で、「意味」と対になる概念として登場される。意味を理解しようとするのではなく、リズムを直観できる能力がセンスだとされている。

本書では、まずリズムという切り口から芸術を多角的に検討され、次に意味とリズムという対立が脱構築される。そしてリズム=センスが良いとはどういう状態かという問いから、まるで枷がひとつずつ外されていくように、芸術の自由というものが拡張されていく。

芸術は、意味を読み取る対象として見るのではなく、まずはノることが大事。この点において「勉強とは別のノリへ身を投じること」という『勉強の哲学』の主題に繋がってくる。

「ノリからリズムへ」。

千葉さんが小説執筆を始めたことは大きく影響しているのだろう。創作とは、自分自身の身体性から「ノリ」を生み出すことともいえる。生み出すべきは意味よりもまず「リズム」で、まずはまとまった分量のものをとにかくリズミカルに切断していくことなのだ。だから本書は「量」の問題でもあり、「切断」という主題にも関連している。

実際、『センス』は改行が恐ろしく美しい。筆遣いが過不足ない洗練された抽象画を見ているような本だった。


✳︎最初の投稿時から書き直しました。読み直してみると、後半の議論がまだ理解しきれていなかったので、また時期がきたら読み返します。

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