見出し画像

令和5年度都立入試男女別定員緩和の影響

令和5年度都立入試での大きな変更点のうちのひとつに、男女別定員緩和拡大が挙げられます。
令和6年度入試ではこれがさらに拡大され、男女合同選抜になります。
そこで、男女別定員緩和でどのような影響があったのかをまとめていきたいと思います。

そもそも男女別定員緩和とは

男女別定員緩和10%が導入された、令和4年度入試では、次のような説明がありました。

男女別の募集人員の各9割に相当する人員を、男女別の総合成績の順により決定した後、募集人員の1割に相当する人員を、男女合同の総合成績の順により合格者として決定します。

( 例 )募集人員が男子100名、女子100名、計200名の場合

[1] 募集人員の各9割に相当する、男子90名、女子90名について、合格者を決定
[2] 残り1割に相当する、20名 ((100-90)+(100-90))は男女を問わず、合格者を決定
[3] したがって、合格者(計200名)は、男子90~110名、女子90~110名の範囲内で決定されます。

この定員緩和が20%に拡大されたのが、令和5年度入試でした。

男女別定員緩和20%の影響

都立入試を全校でみてみると、平均受験倍率(受験数÷定員)は女子のほうが0.06ポイント高かったのですが、平均実質倍率(受験数÷合格数)は男子が0.05ポイント女子を上回ることになりました。
これは男子の合格数が定員より少なくなった(男子の合格者が削られた)ことを意味しています。
具体的には以下の高校で格差が大きかったです。

三田、豊多摩、鷺宮、竹台、日本橋、神代、広尾、井草、竹早、東村山、東大和南

以上の高校では定員の20%以上の影響がありました。
なお、東村山と東大和南に関しては女子の定員が少なくなっています。

駒場 桜町、練馬、文京、向丘、江戸川、昭和、小平、松原、武蔵丘、豊島、城東、小岩、福生、大崎、東大和、保谷、東久留米西、高島、拝島、田無

以上の高校では10%から19%の影響がありました。
大崎、東大和、保谷、東久留米西、高島、拝島、田無では女子の合格者が削られています。

この10%から20%の影響は合格者数十人になります。
実際の合格者が元々の男女別定員より20人以上減っていた高校がいくつもあります。

男女同一の基準になる

男女合同選抜では、多くの高校で男子のボーダーラインがこれまでより上がり、女子のボーダーラインが下がることになります。
その結果、男女で同じボーダーラインになります。
令和5年度入試での全体的な国語の得点力向上もあり、特に男子では基準点の大幅な上昇が見られる高校が多いです。
男子はこれまで以上に内申対策を十分にしておく必要がありそうです。

一方、上位校では自校内申の男女差は小さいため、特に自校作成問題では男子は学力でカバーできていることが多くなりそうです。

また、推薦入試も合同選抜となるため、学力検査のない推薦入試では女子の合格数が多くなると予想されます。
現に、男女別定員のない普通科単位制(新宿や国分寺)の過去状況をみると、推薦で高内申の生徒が先に合格しているため、一般入試での男女の内申差はボーダー上では狭まっています。

つまり、男子は内申差を学力でカバーしているケースが多いわけです。
逆に女子は高内申でもしっかりと学力をつけておかなければならないともいえます。

男女合同選抜になり、どのような結果になるかは、終わってみなければなりませんが、今後高校選びに関してはより慎重になっていく必要がありそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?