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ビラ配りからアプリ改善まで!初回購入率44%アップの裏側!

前提

クックパッドマートは、アプリで注文した食材が、マンションやコンビニに設置されたマートステーション(専用冷蔵庫)で一品から送料無料で受け取ることができるサービスです。

私たちは今年の1月〜3月末にかけて、コアターゲットを学芸大学駅・都立大学駅周辺エリアに定めた実証検証を行いました。すでに東京・神奈川を中心に関東の一部エリアで拡大している状態ではありますが、「今まで以上に集中的に受け取り場所を設置したエリアにで、買いもの手段のひとつとして多くのユーザーに受け入れられるか?」を知るために今回のプロジェクトを実施しました。

該当エリアですでに設置されている受け取り場所の状況調査から始め、認知を拡大するためになにをするのか?新規ユーザーの立場でアプリを使用したら改善すべきことはなにか?など、さまざまなトライをしました。その結果も含めてご紹介します💪

また、今回の記事は @ykaya @junko33 @assuuu で書いています。

【認知獲得】①ターゲットエリアでのビラ配り

この日は 部長, エンジニア, デザイナー, 営業, 学生インターン の5人体制

ビラ配りをすることになった背景や目的

ビラ配りは直接的なコミュニケーションを通じてユーザーと触れ合うことができるため、エリアを限定する場合は効果的な新規ユーザー獲得方法だとチームで判断しました。また、ビラを配ることで、ユーザーの反応やニーズをリアルタイムで把握し、サービス改善につなげることができると期待しました。

ユーザーの反応を開発者がちゃんと理解できるよう、エンジニアもデザイナーも含めて多くの職種の方が参加しました。CEOもビラを配ったのですが、一番時給の高いビラ配りと社内で会話がされていて面白かったのと同時に、成功のためになんでもやる姿勢に対して改めて好感を抱きました。

ビラのデザインや内容

ビラのデザインは、クックパッドマートのブランドカラーであるオレンジを基調とし、料理の写真や装飾を用いて視覚的に魅力的になるよう工夫しました。また、タイトル部分にはお得である訴求情報を入れ、ビラ配りの一瞬でも興味を引けることを意識しました。

配布していたビラは、クックパッドマートの特徴や使い方を簡潔に説明する汎用のリーフレット、プロジェクト中に公開しているコンテンツを紹介するチラシ。さらに、チラシを見た人がクックパッドマートを試すきっかけになるよう、期間限定の割引キャンペーン情報も記載したクーポンも配布しました。

実際に配っていたチラシ

結果と発見

ビラ配りの結果、他のSNS広告に比べてターゲットエリア内の新規ユーザー獲得数が大幅に増加しました。このことから、直接的なコミュニケーションを通じてユーザーにアプローチするビラ配りが、効果的な新規ユーザー獲得手法であることがわかりました。

ユーザー課題の発見

また、ビラ配りを通じて、ユーザー課題の発見ができました。具体的には、アプリの使い方に戸惑っている方や、ユーザー情報の入力に困っているユーザーなど、さまざまな課題が明らかになりました。これらの課題は、オンライン広告では容易には把握できなかったものであり、ビラ配りがユーザー課題の発見に有効であることが分かりました。ここで発見した課題は後述する新規獲得施策として施策が立ち上がりました。

【認知獲得】②冷蔵庫のパッケージ

現在のマートステーション(専用冷蔵庫)について

現在のマートステーションの1パターン

このマートステーションではアプリで注文した商品を受け取ることができます。
サービスを利用するユーザーのほとんどが商品の受け取りのために利用する場所であり、その中でデザインは解錠から受け取りまでの流れを自然に示す役割と、潜在顧客に対してマートの複雑なサービスモデルを直感的に伝える役割を果たしています。
第一にアプリと連携したスムーズな体験をユーザーに届けること、第二に認知獲得や販売促進の効果を得ることを重要視して設計しています。

マートステーションのラッピングを変えた理由

クックパッドマートを知らない人にとってはマートステーションを見ても冷蔵庫かどうかもわからない人が一定数いるため、マートステーションをきっかけにクックパッドマートを知ってくれる人が少ない現状がありました。
しかし、基本的な役割としてアプリと連携したスムーズな体験設計を第一としているため、元々のマスト訴求ではありません。
やれることはとにかく挑戦してみる。という考え方から、今回は認知を第一訴求に振り切り、主に三カ所のマートステーションで3パターンの訴求を検証しました。

今回設定したゴール

広告と同じようにずっと同じ場所にあるマートステーションを見て立ち止まってアプリをダウンロードすることは現実的に難しいため、今回はこのボックスがクックパッドマートの冷蔵庫であることを知ってもらうことをゴール(そこでは立ち止まらなくても、後で調べたり、後日リーフレットを持ち帰ってもらうこと)にしました。

スケジュール

1月2週目キックオフ
1月3週目リサーチ及びデザインパターン出し
1月4周目デザイン確定入稿
2月1週目貼り出し

とにかくスピード重視のプロジェクトだったため、まずは試してみるということを第一にスピード感を持ってリサーチをして表現に落とし込んでいきました。
検証のため今回は貼り替えるのではなく、上から撥水加工したパネルを貼り付けています。

それぞれのラッピングの訴求軸

実際に試したラッピングパターン
  1. 左にフローの図をのせてサービス理解を促し、右では新鮮な食材が購入できることを伝えています。

  2. 大きなマグロをレイアウトすることで、まずは人の目を引くことを第一にして新鮮な食材が購入できることを伝えています。

  3. 冷蔵庫であることをまず理解してもらうため、左では受け取り冷蔵庫というサインを入れ、右ではアプリで注文するサービスであることを伝えています。

結果と反省

広告媒体と同じように、ラッピングを変えたことによる意識変化の数値検証は難しいものがありましたが、ビラ配りの際にマグロのインパクトのある冷蔵庫を元に呼び込みを行ったりなど、会話のきっかけになりました。
また、今までマートステーションのラッピングはユーザー体験を第一に考え設計していたため、期間限定のラッピングは新たなチャレンジでもありました。実際にやってみて、期間限定であるのであればラッピングを変更して、そこでイベントやビラ配りをすることは効果的であると感じました。

プロジェクト開始時から話に出ていた検証のしにくさは、実際にやってみても大きく感じた部分で、計測方法の検討やインタビューの実施を今後はしていく必要があると思いました。

【新規獲得】①ビラ配りの中でのユーザー課題の発見と改善

先ほど記述した通り、ビラ配りを行っている中で数人と会話する機会がありました。中でも印象的だったのは、アプリをインストールしてすぐに使い始めて下さった方でした。興味津々でアプリを操作していましたが、アプリの最初の受け取り方法の選択で困ってしまいました。

初回起動時のオンボーディング改善

ユーザーさんの操作している画面を見ると、まだアプリを見始めていない段階で住所の入力に進んでしまっていて困惑していたのです。

このエピソードをきっかけに、最初の受け取り方法の選択自体を廃止し、まずは近くのステーションを選択してもらってアプリを見始められるよう変更しました。この改善策の結果、インストール後24時間以内の初回購入者割合が大幅に伸びたことが確認できました。ユーザー課題の発見と改善策の実施により、アプリの体験が向上し、新規ユーザーがサービスを利用し始めてくれることが増えたのです。

赤い斜線は消した画面

設定画面の改善

他のビラ配りをしている社員からも、ユーザーが受け取り名の設定に困っているという報告を受け、受け取り名の体験向上に向けてデザインの改善とロジックの変更を行いました。このように、数字上では分かりづらいような具体的な課題に対して、実際の利用シーンを観察して発見し、素早く改善できたことはビラ配りをやってみて本当に良かったと思える点でした。

Slackでのやり取り

【新規獲得】②インストールから24時間に初回購入をしてもらうために...

クックパッドマートでは普段のスーパーではなかなか手に入りにくい食材から、100円の卵まで、大抵のものが揃います。しかしその反面、どれを買ったらいいのか迷ってしまって買えない人もいる、という実態がありました。アプリインストールから初回購入に至る方は10%にとどまっていました。

まだサービスに対して信頼をできていない方に、可能な限り手軽にサービスの最高体験を感じてもらうためにはどうすればいいか?食材のよさは実際に食べて実感してもらう必要があります。また、新しい買いもの体験も、受け取り冷蔵庫から商品を受け取ってもらうことでその価値を理解してもらうことができると信じています。つまり、新規ユーザーの方にはどうしても初回の注文・受け取りをしてもらう必要があります。

「おためしセット」

そこで今回トライしたのが特定のエリアのユーザーだけが購入できる「おためしセット」です。

ターゲットエリアのユーザー限定商品「おためしセット」

推し食材である和牛サーロインの切り落とし、アトランティックサーモンの切り落としを筆頭に、精肉店の豚こま肉やささみなど、日常的に使える食材7点5,00円相当がなんと2,650円!中の人たちも「ほしい....」「買いたい...」とつぶやいてしまうようなおトクさ!

このセットを販売していくため、アプリ内に掲載する特集、ビラのQRコードやWeb広告からの受け口としてのWebページをそれぞれ準備しました。

アプリで表示していた特集やWebページ

おためしセットPhase 01

毎日の朝会ではPV数、購入率をチェックし、その動向から特集の中面をアップデートしていきました。中面の改善と同時に、初期は目玉セットをどう訴求したらユーザーに刺さるのか?の検証も実施しました。

バナーの改善

金額とおトクさを伝える、ボリュームを伝える、期間やエリア限定であることを伝える、などの軸でほぼ毎日バナーを変更し、PVがどう変化するのかを見守りました。
結果、「みんながリピ買いしてる」「大人気」という軸が1番強いことがわかりました。

おためしセットPhase 02

おためしセットの他にも購入したいと思ってもらえるようなセットを複数用意しました。それぞれのセットで、このサービスならではのよさが伝わるか?いくらまでなら払おうと思えるのか?などを検証しました。

セットの例)

  • 端材や訳あり商品のセット

  • 約4kgの大容量セット

  • 時短ができる食材を集めたセット

  • 500円のセット

特集ページも、とにかく早く出して、出しながら改善する!を高頻度で実施していきました。

特集ページの改善

ディスカウントの内訳がわかるような見せ方、各商品の魅力を伝えるような見せ方、食べ方の提案を含めた見せ方など、トライを重ねました。

高スピードの改善で奮闘しましたが、最初に出したセットが1番惹きがあり購入率も高かったため、メインのおためしセットに注力することとなりました。

おためしセットPhase 03

初回注文の他にも課題はありました。サービスの継続利用です。おためしセットで初回の注文をしてくれたユーザーに2回目も注文してもらうために何ができるか?そのための施策を並行して実施しました。

お気に入りの食材があれば「あれをまた食べたい」と思ってまた注文してくれるのではないか?という仮説を前提に、初回に注文したセットをもう一度購入しやすくする導線や、2回目購入の方向けのセットを考案し、特集を制作しました。

例えば、初回にメインのおためしセットを購入した方向けには、セット内の目玉商品である和牛サーロインとその他2品を合わせたセット、というように。一度購入した魅力的な商品を軸に合わせ買いにおすすめの商品を提案していく形で5セット用意し、こちらもバナーで訴求軸を複数変更しながら動向を見守りました。

着手が3月下旬になってしまったこと、初回購入にかなりのパワーを割いていたこともあり、このトライについてはやり切ることができないまま、期間が終了しました。

結果

ビラ配り・冷蔵庫ラッピング改善のトライ・アプリ改善・おためしセットの一連の取り組みにより、アプリインストールから初回購入に至る方の割合を44%向上させることが出来ました!

普段の業務ではなかなか街に飛び出していくこともありません。(まさか会社員になってビラ配りをするとは思ってませんでした!笑)
今回のプロジェクトでは、チームの全員ができることをやっていくことを共通認識としながら、それぞれができるトライを実践しました。普段はマーケティング、アプリ、コンテンツはそれぞれのチームごとに業務を推進しており、どうしても全体での体験改善につながらない状態でした。それが、同じ施策を前提に動いたことで、初回体験の全体をカバーすることができたのではないかと思います。


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