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おけいはんの減便と感じられる余裕

京阪電車ではこの9月に全路線でダイヤ変更を行うことを発表した。昨今の状況を踏まえて、減便中心のネガティブなダイヤ変更となるが、一方で少しばかり一部沿線都市では嬉しいだろう、便利だろうと思うし、「京阪、意外に余裕やん」と思ってしまうことも。

概要

まず、今回の変更のポイントをサラッとまとめると

・淀屋橋発の始発繰り下げと中之島発の始発繰り上げ
・平日朝ラッシュ(京橋駅7時〜8時台着)の大阪方面行きがトータル5本減便
・全日昼間の特急、準急、普通(宇治線と交野線を含む)を1時間に4本に減らす。同時に、淀屋橋〜出町柳間の快速急行を1時間に2本増やす。
・平日夕〜夜ラッシュの運転間隔を拡大し、実質減便。
・夜の淀屋橋発出町柳行きの「ライナー」を2本増発。朝の樟葉発淀屋橋行き「ライナー」も1本増発
・最終列車である淀屋橋発樟葉行き深夜急行→快速急行に変更。
・本線、交野線、宇治線最終繰り上げ(最大20分)
・全日昼間の石山坂本線のうち、坂本比叡山口行きの約半分を近江神宮前行きに変更。
・石山坂本線では学校長期休みのダイヤ(学休期ダイヤ)を導入。これが適用される平日朝ラッシュは減便する。

少し行きやすく、グレードアップ

現在、出町柳(京都)〜淀屋橋(大阪)間の特急が1時間に6本設定されているが、この内の2本を快速急行に置き換えて運転するという。

↑路線図、停車駅(京阪電車HPより引用)
特急は枚方市〜京橋(大阪)間がノンストップで人口の多い主要都市である大阪の寝屋川市や守口市に止まらないのが、ちょっとした「京阪あるある」。これらの市民の不満はよく聞くし、「なんで特急止まらんねん!止めてくれや!」という怒りも。現在昼間の準急だと京橋方面へは乗り換えなしで速達性はあるが、京都方面は萱島(かやしま)から北側が各駅停車で特急と連絡する枚方市or樟葉で乗り換えが必須となる。しかし、快速急行は特急の停車駅+寝屋川市、守口市、寝屋川市内の香里園(こうりえん)に停車する。これによって乗り換えなしで京都方面に行けるようになる。さらに準急と特急が減った分を快速急行で補うことでこれまでの優等列車は実質本数キープとなる。加えて、昼間時間帯は指定席車両「プレミアムカー」を連結した編成で運転されることもあって、停車する電車のクオリティも上がることになるし、最初から乗れるチャンスも大幅に拡大する。
↓その快速急行で使用されるであろう3000系。今は特急中心だが、デビュー当時は中之島線直通の快速急行専用だった過去があり、この車両にとっては原点回帰となる見込み。

最終が復活、でも寂しい

深夜帯にも淀屋橋発樟葉行き快速急行が増発することとなった。これは「深夜急行」という樟葉までの上り最終列車を置き換えるだけ。加えて、2021年4月に緊急事態宣言発令で運休している便を復活させることになる。「深夜急行」が停車しなかった守口市も追加されて、この駅へ夜遅くの帰宅での乗車チャンスが増える。そして、樟葉への最終も20分繰り上げながらも存置される。
それでも、京阪にしかないレア種別「深夜急行」が消えるため、ファンにとっては非常に寂しいのかも。しかも、運休中だからもう2度と日の目を見せることはないだろう。

先日は我が家の沿線である近鉄がダイヤ変更し、今秋にはJR西日本が減便を予定している。特にJRでは地元や国会議員などから大反発を食らっている現状がある。
京阪も大規模な減便はするが、減便しても、本線では本数を補完する列車を走らせる上に、石山坂本線も学校があるかないかでダイヤを変える仕組みを導入。京津線に至ってはほぼ現状維持なのも少し驚き。しかも、「ライナー」を増やして「密」回避需要に応えている。比較的柔軟性の高さを窺えるダイヤ変更となりそうでトータルでは悪くないだろう。そもそも現状で支線含めて各種別10分おきダイヤは個人的には比較的恵まれ過ぎていて、優しいなぁって思ってしまう。間隔が空いてもおそらく15分おきで京都〜大阪間の優等列車は10分おきでキープになる見込みなのもまだ恵まれている。しかも、守口市、寝屋川市内は乗り換えなしの利便性やあるいは乗車チャンスが微増する上に、これらの駅から「プレミアムカー」に本格的に乗れるようになる。

厳しい情勢で、ここまで地域の利便性を保つのは難しいと思うし、だいたいは切り捨てることしかやれそうにない。その点は京阪も例外じゃないし、京津線、石山坂本線という不採算の路線を抱えている。。でも、1時間に1本に慣れ過ぎた僕の感覚では、京阪はまだ、恵まれているのではないか。優等列車をキープさせたり、座席指定列車を拡大させたりするのはどこかしら余裕を感じ取れる。それでも、利用の減少はきちんと反映するなど変化も敏感にキャッチし、減らしつつも広がるニーズに応えていると思う。どんな風に変化するのか、これが吉と出るか凶と出るのか、9月のその日を待つとしよう。

ストリートミュージシャンの投げ銭のような感覚でお気軽にどうぞ。