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週刊!リハマガ! ~整形リハビリの考え方~

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記事一覧

凍結肩とCHLの関係性 ~CHLの障害は多方向のROM制限に関与~

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変形性股関節症の歩行への介入を考える!

変形性股関節症(以下:股OA)は中高年に多く発症する病態で、圧倒的に女性に多く発症します。その理由として、股OAの原因となる、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全が女性に多いためです。 股OAは慢性的進行疾患で「前股関節症」「初期股関節症」「進行期股関節症」「末期股関節症」の4つの段階に分けられます。前期はほとんど関節の変化は認められませんが、進行するごとに関節裂隙の狭小化、骨の変形が進行していきます。 股OAの進行に伴い痛みや歩行障害が伴うことが多いです。症状が酷くなると、疼

Osgood-Schlatter病に対する効果的な介入は存在するのか? ~最新の文献から考える介入方法の提示~

運動会で走り終わった後、サッカーで走り回った後、ジャンプを繰り返した後、「膝が痛い」という子供たちがいます。この症状は、少し休めばまた運動することが出来る、もしくは運動をしなければ痛みは減るのですが、また運動後に痛くなることが多いです。 子供たちの膝の痛みの原因として「オスグッド・シュラッター病(OSD)」があります。この疾患は、一般的に成長が終わることで膝の痛みも軽減または消失することが多いです。 しかし、慢性的に膝にストレスが加わり続けると骨の表面が不整になってしまう

後脛骨筋の役割 ~この記事で後脛骨筋をマスター運動・アーチ・歩行への関与~

後脛骨筋は足部の運動だけでなく、安定性に寄与しており重要な筋肉になります。後脛骨筋の機能低下が生じると、足部の運動障害だけでなく、足部の変形や歩行障害に関与します。 今回の記事では、後脛骨筋の解剖と機能を復習し、「後脛骨筋をどのように評価するのか?」「効果的なトレーニングの方法は何か?」について記載していきたいと思います! 1.後脛骨筋の解剖と機能後脛骨筋は下腿の深層コンパートメントの属しており、内側に長趾屈筋、外側に長母趾屈筋、上方にはヒラメ筋線、後方はヒラメ筋に囲まれ

足と膝 ~膝OAで膝だけ見ていませんか?~

高齢化と肥満の人口増加に伴い、変形性膝関節症(以下:膝OA)を経験する人がますます多くなり、全世界における65歳以上の40%が膝OAと考えられています。 膝OAでは膝関節の変形、疼痛、腫脹、機能不全など多くの症状を示し、その症状の出現に伴い、活動量の低下、歩行能力が低下し、人々の生活の質が大きく低下してしまいます。 深刻な問題を解決するために、膝OAのメカニズムの研究が継続的に行われており、多関節の影響を受ける疾患である膝OAは、隣接する関節の生体力学的変化と関連している

大殿筋の機能低下が生じると… ~段階的負荷、トレーニングの工夫と注意~

大殿筋は身体の中でも最も大きい筋断面積を持つ筋肉で、身体の中で一番強力な力を発揮するとも言われています。 大殿筋の強力な力は股関節の安定性に寄与するだけでなく、腸脛靭帯を介して膝関節の安定性や胸腰筋膜を介して腰部の安定性にも寄与しています。また、バイオメカニクスの観点から足関節の安定性にも寄与していると述べられています。 そのため、大殿筋の機能は体幹~下肢の安定性においてとても大切になります。逆に考えると、大殿筋の機能不全が生じると体幹~下肢の安定性が低下し、多岐の障害に

腱炎・腱症・腱障害とは? ~介入は異なるのか?~

それぞれの言葉の定義を理解しておくことで、ドクターや多職種との連携もスムーズにいきますし、言葉の定義を知れば評価や介入にも生かすことが出来ます。逆に考えると、言葉の定義を知らないと評価も正確にできず、介入することで状態を悪化させる可能性もあります。 そこで、まず始めに”腱炎・腱症・腱障害”のそれぞれの言葉の定義について解説していきます。 腱障害(Tendinopathy)は痛みや腫れを引き起こすあらゆる腱の状態を指す広義の用語です。つまり、腱の状態をすべて含めた言葉になる

扁平足は改善するのか? 運動でどこまで改善する?

人間の足部は複雑な構造をしており、さまざまな組織がそれぞれの機能を果たすことで、身体が支持されています。 そして、足部の骨・靱帯・筋が内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチの3つのアーチを形成します。これら、3つ個々のアーチの働きも大切ですが、協調的なアーチの関係性も大切になります。 足のアーチの構造と動きの変化は衝撃吸収、体重伝達、移動中の推進力の提供などの足部機能に不可欠です。また、足底腱膜などの軟部組織と合わせた弾性特性により、床反力を吸収し、分散させることができ、筋

足関節背屈の基礎 ~定義や運動方向を理解していますか?~

皆さんにまず問題です。 すべて知っている方はすごいです!この記事は読まなくてもよいくらいの足部マスターだと思います!足部には骨が26、関節は33、靱帯は107、筋肉が19存在しています。 これらの組織すべてが協調して働き、人の体を支えています。レオナルド・ダ・ヴィンチは「足は人間工学上、最大の傑作であり、そしてまた最高の芸術作品である」と述べたといわれるほど、足部は機能的であり、美しく動く必要があるのだと思います。 そのため、足部を構成する組織が1つでも障害されてしまう

症例から学ぶ肩関節可動域制限 ~拘縮肩・腱板損傷の可動域を拡大させる!~

今回の記事は肩関節周囲炎(拘縮肩)、腱板損傷の2症例から、関節可動域拡大に向けて、私が臨床でどのように評価・介入をしているのかを提示させていただきたいと思います! 問診や挙上動画から、「どのような点に着目するのか?」また「どのような評価が必要になるのか?」「評価からどのような介入が必要なのか?」など、私が臨床1~3年目の時に欲しかった内容を詰め込みました。参考になれば幸いです! 1.症例紹介(凍結肩)1症例目は肩関節周囲炎(凍結肩)の症例になります。顕著な可動域制限と運動

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股関節屈曲制限の原因はどこにある? ~基礎編~(軸・運動学的な視点)

股関節の屈曲可動域は立ち座り、足を組んだ座位、靴ひもを結ぶなどの日常動作で大きな可動範囲が要求されます。また、スポーツ活動ではジャンプ動作、蹴る、投げる、踏み込むなどの動作でかなり重要となります。 股関節はMobility関節であるため、本来は大きく動いてほしい関節ですが、動きが悪くなるとStabiility関節である腰椎や膝関節が動きを代償します。つまり、関節本来の役割が発揮できないので(作用が逆転)、腰椎・膝関節の障害発生の原因になると考えられます。 例えば、股関節屈

第一肋骨疲労骨折を見落とさないポイント! ~なぜ?そんな場所に痛みが出るのか?~

第一肋骨疲労骨折は発生頻度が全肋骨骨折の中でも0.05~5%%と発生率が少ないです。私は今までに3例の症例を経験していますが、1年に1人携わることができるかできないかの頻度になります。 ですが、第一肋骨疲労骨折を見逃してしまうと、骨折の痛みを肩関節や肩甲骨や胸椎の問題による痛みと考えてしまい、症状を悪化させてしまう可能性があります。そのため、第一肋骨疲労骨折を見逃さないために、発生原因と症状を頭の中に入れておく必要があります。 1.第一肋骨疲労骨折が生じる原因第一肋骨疲労

シンスプリント「最新知見から介入を考える!休めば治るからの脱却!」

シンスプリント(以下:MTSS)はランナー(長距離・短距離)に多く生じる疾患です。MTSSの特徴としては、脛骨内側部近位1/2~遠位1/3にかけて疼痛を訴えることが多いです。また、走ったり、ジャンプしたりすると同部位に疼痛が出現し、悪化すると疲労骨折に繋がることもあります。 シンスプリントのその他の特徴として ・女性に多い(中高生で多く発症) ・初期では運動開始時のみに痛みがある ・脛骨近位1/2~遠位1/3に疼痛、圧痛がある ・重度化すると安静にしていても疼痛がある(歩け

肩関節挙上制限 ~上腕骨と肩甲骨の運動学から考える評価と介入~

肩関節の運動は肩甲上腕関節や肩甲胸郭関節だけでなく、肩鎖関節・胸鎖関節、解剖学的な関節とは言えませんが第二肩関節など多くの関節の複合運動で達成される運動になります。 多くの関節運動が肩関節の運動に関与するのですが、挙上運動に限って言えば、上腕骨と肩甲骨の複合運動が重要になります。上腕骨の運動は肩甲上腕関節、肩甲骨の運動は肩甲胸郭関節の運動になります。 この上腕骨と肩甲骨の運動は古くから述べられており、Scapulohumeral Rhythm(肩甲上腕リズム)と名付けられ